便通異常の原因となる「7つの生活習慣・行動」

おなかを重く不快な気分にさせる便通の異常。日常的に悩む人も多いはず。では、そもそもどのような原因で生じるのでしょうか。理由はさまざまですが、生活習慣や日常の行動が便通異常の原因となっていることもあります。

今回は何日も便がでない状態はもちろん、毎日排便をしていてもすっきりしない感じが残るといった便通異常に注目して、それらを引き起こす原因となる「7つの生活習慣・行動」を紹介します。便通異常で悩んでいる方は、ご自身の生活習慣と照らし合わせながら解消のヒントを探っていきましょう。

便通異常の定義と種類

そもそも便通異常とはどういう症状なのでしょうか。便通異常の種類とあわせて、それぞれ詳しく見ていきます。

主な定義の共通点は「残便感」「排便が困難」

多くの人が悩みを抱える便通異常には、排便習慣自体に個人差が大きいこともあり、実は明確な定義がありません。学会や団体によって定義となるポイントは少しずつ異なっています。

【さまざまな「便秘の定義

  • 「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」(日本内科学会)
  • 「2~3日に1回の排便でも排便状態が普通で本人が苦痛を感じない場合は便秘といいません」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)
  • 「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」(日本緩和医療学会)
  • 「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」(日本消化器病学会関連研究会『慢性便秘症診療ガイドライン2017』)

主な定義を見比べると、排便頻度についても一定の基準があるわけではないことが分かります。表現はそれぞれ違いますが、一般的には「残便感がある」「排便に困難を伴う」ときは便通異常の可能性があるといえそうです。

便通異常の種類は大きく3種類。大腸の不調から来る便通異常は3タイプ

便通異常には、その原因によって以下の3つの種類に大きく分けられます。

  • 腸内にできた炎症や病気の影響で物理的に便が滞る「器質性」のもの
  • 腸以外の体の病気が引き起こす「症候性」のもの
  • 腸の働きの乱れから起こる「機能性」のもの

多くの人が日常的に悩みを抱える便秘は大腸の働きが悪くなるために起こる「機能性」を指すことが多く、機能性はさらに以下の3タイプに分類できます。

  • 弛緩性:腸のぜん動を行う筋肉が緩み、ぜん動運動が弱まることで起こる便通異常。
  • 痙攣性:本来連続するはずのぜん動運動が断続的になり、便が通過する時間が長くなることで起こる便通異常。
  • 直腸性:便意を我慢し続けると直腸の神経の感度が鈍り、直腸に便が到達しても便意が感じないために起こる便通異常。

便通異常の要因が1つではないように、大腸の不調がもたらす「機能性」のものが起こる理由も複数あります。便通異常を引き起こす生活習慣や行動には、以下のようなものがあります。いずれも現代生活には身近なもので、少なからず思い当たるのではないでしょうか。

機能性の便通異常を引き起こす「7つの生活習慣・行動」

1:運動不足

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

運動不足は、2つの側面から便通異常の原因になります。日常生活の中であまり体を動かさない人は腹筋が衰え、快適な排便に必要な筋力が不足する場合もあります。さらに運動不足による「血液循環の悪化」も便通異常を招く原因のひとつです。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2019年)の結果によると、20歳以上で運動習慣のある人の割合は男性33.4%、女性25.1%で、7割近い人が運動習慣がない状況です。

適度な運動を習慣づけると、筋力不足を解消できるうえに、体内の血液循環を改善して腸を活発にすることができます。普段の生活で運動する習慣をとりいれ、腸の働きを活発な状態に保つようにしましょう。

2:バランスの悪い食生活

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

偏った食生活は便通異常を引き起こします。特に「食物繊維」は、便通異常を予防する上で欠かせない栄養素です。食物繊維は整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。そして食物繊維は、便の体積を増やす材料になるため、たくさん摂取することでスムーズな排便をサポートしてくれます。

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日当たりの食物繊維の目標摂取量は15~64歳で男性19〜21g以上、女性17〜18g以上です。この摂取量の基準は食品に由来する食物繊維をもとに算出されていますので、なるべく食事を通して摂取するように心がけましょう。

3:不規則な食事時間

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

毎日の食事時間が不規則になると胃腸への負担が大きくなり、便通異常を引き起こしやすくなります。規則正しく1日3回、決まった時間に食事をとりましょう。

特にいつも朝食を食べないという方は注意が必要です。朝食後は胃腸が活発になり、1日の中でももっとも便意を催しやすいタイミング。朝は少し余裕をもって準備をはじめ、便意がないときでも定期的にトイレに行くなどして、朝食後の排便を習慣化させるようにしましょう。

4:食事量や水分の不足

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

ダイエットなどの影響で食事量が不足すると、便の量も減り、排便の回数は減少します。特に夏場は水分不足が原因で便通異常を引き起こしやすくなります。

というのも、便に含まれる成分のうち約80%は水分です。そのため体の水分が不足すると便の水分量が減って硬くなり、スムーズに排便できなくなってしまいます。便通異常のときは水分をよくとることに加えて、カフェインやアルコールは利尿作用があるためコーヒーや緑茶、お酒を控えめにするように心がけましょう。

5:加齢

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

加齢によっても便通異常になることがあります。特に高齢者の便通異常は食事量の減少や、運動不足、生理的機能の低下など、複合的な要因が重なって引き起こされます。

下剤などの薬を使うケースもありますが、使い続けていると自力で排せつする力が弱る「下剤依存症」になることがあるので注意しましょう。意識的に食物繊維を多くとり、適度な運動をするなど、なるべく便通異常になりにくい生活習慣を心がけてください。

6:ストレス

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

仕事などによる精神的なストレスや、暴飲暴食や過度の飲酒、不規則な生活などによってストレスを受けると交感神経が活発になり、副交感神経神経の働きが低下します。その結果、腸のぜん動運動は抑制され、便を押し出せなくなり便通異常になってしまいます。

逆に副交感神経の働きが強すぎると、ぜん動運動が活発になり便の水分が吸収される前に排出されておなかの調子を崩してしまいます。大事なのは交感神経と副交感神経のバランスなのですが、ストレスを感じるとそのバランスが崩れてしまい、便通異常またはおなかの調子を崩す原因になってしいます。

7:排便リズムの乱れ

便秘の原因となる「7つの生活習慣・行動」

便意を何度も我慢していると便通異常になることがあります。職業的にすぐにトイレに行けないなど、そういう状況にある人に起こりやすい便通異常です。改善方法としては、毎日の生活の中でトイレに行く時間を習慣化させることで、自然と便意を促すことができます。

1日の中でもっとも胃腸が活発になりやすい朝食後は、トイレに行く習慣をつける絶好のタイミング。毎日、同じ時間にトイレを済ませたいからと、下剤などを安易に使用するのは避けましょう。

まとめ

便通異常の原因はひとつではありません。個人の体調や体質、偏った食生活や運動不足など、さまざまな原因が重なって起きるものです。便通異常になりやすい人は、まずは生活習慣を見直し、自分に合った対策を見つけるようにしましょう。

長期にわたって便通異常が改善されない場合は、何らかの疾患が原因の可能性もあります。たかが便通異常と自己判断せずに、早めにかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

【参考文献】
「令和元年『国民健康・栄養調査』」、「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」(厚生労働省)
日本消化器病学会関連研究会、慢性便秘の診断・治療研究会『慢性便秘症診療ガイドライン2017』(南江堂 2017年)
「食物繊維の必要性と健康」「過敏性腸症候群」「便秘と食事」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)
「便秘予防の食事レシピ」「便秘」(公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)
「排便障害」(徳島県医師会Webサイト)


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