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「たっぷりの水分摂取は便秘にいい」はウソ? 意外と知られていない「誤った健康知識」3選

昔の「常識」が「実は間違いだった」と判明したり、多くの人が信じているからといって正しいとは限らないことは、健康に関する情報にもよくあることです。最近の研究によってこれまでの説が覆ったり、一般に浸透している知識は“誤り”だったり…。意外な「健康知識」の3つの事例を紹介します。

たくさん水を飲むと便秘は改善する?

「たっぷりの水分摂取は便秘にいい」はウソ? 意外と知られていない「誤った健康知識」3選

便秘の原因のひとつに、「便中の水分が乏しく硬くなり、排便が困難になる」というのがあります。便秘症状に対する看護ケアの中でも、水分摂取は予防的ケアや便秘症状への改善手段として、臨床現場でも日常的に行われているそうです。食物繊維や脂質とともに、水分の摂取不足は便秘の要因になります。

その知識から「水分をたくさん摂取することで便秘が解消される」と思っている人は意外と多いとか。便秘のケアとしての水分摂取の効果について検証した論文では、「1日の水分摂取量が500mL以下の場合」では水分摂取によって便秘症状の改善につながるものの、「脱水傾向がない場合は水分摂取量の増加による排便状態への効果を裏付ける有効なエビデンスはなかった」と指摘されています。

また、十分な量の水分摂取と便秘との関係性を調べた研究も複数あるものの、結果は一致しているとはいえないのです。

つまり、便秘を感じている人が水をたくさん飲んだとしても、体が水分不足の状態でない場合、あまり効果は期待できないということのようです。

「1日30品目を目標に」は、もう古い?

「たっぷりの水分摂取は便秘にいい」はウソ? 意外と知られていない「誤った健康知識」3選

「1日30品目食べましょう」というフレーズを、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。はじまりは1985年にさかのぼります。当時の厚生省が策定した「健康づくりのための食生活指針」の中に、多様な食品で栄養バランスとるために、「1日30品目」という数字目標を掲げたところから、このフレーズが知られるようになったのです。

ところが、それから15年後。文部科学省・厚生労働省・農林水産省が共同で策定した2000年版では「品目数」が削除され、「バランスのとれた食事」という表現に変更されていました。代わりに「主食、主菜、副菜を基本にバランスの良い食事を」「調理方法が偏らないようにしましょう」「手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう」などのアドバイスが付け加えられていたのです。

そもそも1日あたりの摂取カロリー量というのは、体形や年齢、ふだんの活動エネルギー量によっても変わってきます。「1日30品目」という数字にこだわるのではなく、偏りのないバランスのとれた食事をするように心がけるようにしましょう。

ひじきの鉄分はそれほど多くない?

「たっぷりの水分摂取は便秘にいい」はウソ? 意外と知られていない「誤った健康知識」3選

古くから「ひじき」といえば、鉄分が多く含まれた食材のイメージがあります。ところが、2015年に5年ぶりに改訂された「日本食品標準成分表」では、「ひじき」に関するデータに注目が集まりました。

それまでのデータによると、ひじきに含まれる鉄分含有量は、100グラムあたり55.0mgでした。しかし、2015年の改定版では、ひじき100gあたりの鉄分含有量は「鉄釜だと58.2mg、ステンレス釜だと6.2mg」。つまり、調理鍋の種類によって鉄分含有量に差があるという結果だったのです。

これだけであれば「昔は鉄鍋が一般的だったから、ひじきに鉄分が多いと思われていた」という話ですが、日本ひじき協議会があらためて発表した情報では、日本産のひじきの鉄分含有量は7.7mgだったのに対し、韓国産は47.6mg、中国産は47.7mgとなっていました。そしてこの調査の対象となった「ひじきの加工に使用している釜はすべてステンレス製」だったのです。また、同協議会は加工方法について次のように指摘しています。

日本標準食品成分表にある「煮熟後乾燥」したものではなく「蒸煮後乾燥」したもので、蒸煮の際の釜の材質による鉄分含有量の違いはないと推測しております。

日本ひじき協議会「ひじきの鉄分について」

加工方法や産地による違いも考えられるため、ひじきの鉄分量については今後の研究や調査の結果を見てから判断するのがよさそうです。

しかし、日本人がひじきを含む海藻類から摂取する鉄分は、鉄分摂取量全体の4%程度というデータもあるのです。つまり、ひじきに含まれる鉄分量がこれまでのデータより少なかったとしても、他の食材(肉や卵、魚、野菜)からの摂取で事足りるということなのです。

これまでの情報やデータが間違っていたからといって、そのことを批判しても意味がありません。大事なのは正しい情報を知ること。自分から誤った情報を広めないように、正しく新しい健康知識をしっかりとアップデートしておきましょう。

【参考文献】
『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』(厚生労働省)
吉良いずみ「便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー」(『日本看護技術学会誌』12巻2号 日本看護技術学会 2013 年)
松本義信、津崎智之、奥和之、小野章史「ひじき加工時の加熱時間の違いによる鉄含有量の変化」(『川崎医療福祉学会誌』Vol. 27,No. 1 川崎医療福祉学会 2017年)
「ひじきの鉄分について」(日本ひじき協議会 WEBサイト)

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