女性に人気のある秋の味覚といえば「いも・くり・かぼちゃ」。その中から今回は、甘みをたっぷり蓄えた旬の「かぼちゃ」を使ったレシピをご紹介します。かぼちゃには、便通改善に効果のある栄養素が詰まっています。秋の味覚を楽しみながら、スッキリお通じを目指しましょう。
目次
女性の悩み「便通」に、
旬のかぼちゃで対策しよう!

男性よりも女性のほうがお通じの滞りの悩みを抱えていることは、データでも明らかになっています。厚生労働省が実施した平成28年の国民生活基礎調査によれば、お通じの滞りの有訴率を男女で比較すると、20代で約5倍、30代で約4倍、40代、50代では約3倍も男性より女性の方が高いのです。
女性が便通異常になりやすい理由はさまざまですが、ダイエットが便通異常の原因となってしまうことが多いそうです。まず、減量のために食事制限をしていると、食べる量=便のかさが減り、腸の動きがにぶってしまいます。
食事から摂取できる水分も減るので便が硬くなりやすいですし、腸の潤滑剤として大切な脂質も不足してしまいがち。そんなときに意識して摂取したい栄養素が、「不溶性食物繊維」です。
不溶性食物繊維は水分を吸収すると膨らみ、便のかさを増やし、腸を刺激するため便が出やすくなります。そんな不溶性食物繊維を多く含む野菜の中でもおすすめなのが「かぼちゃ」です。
「かぼちゃは甘いから太りやすい」とダイエット中には敬遠されがちですが、食べすぎにさえ気をつければ大丈夫。糖質量は100gあたり20.6gと、ごはん(100gあたり37.1g)、食パン(100gあたり46.7g)と比べると低めですし、栄養豊富で腹持ちがいいので、ダイエット中こそ積極的に取り入れたい食材なのです。
栄養も食物繊維も摂れるかぼちゃは
便通改善にうってつけ

「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」ということわざがあるくらい、かぼちゃは栄養豊富な緑黄色野菜として知られています。甘くホクホクしていることからいも類のイメージがありますが、実はウリ科の植物。
特にビタミン類が豊富で、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンCがバランスよく含まれています。通常、ビタミンCは加熱で壊れやすい栄養素ですが、でんぷんに守られているおかげで、他の野菜類よりも損失が少ないのも特徴です。便通改善はもちろん、栄養バランスの向上にもかぼちゃはうってつけの食材なのです。
そこで今回は、旬のかぼちゃを使ったお菓子のレシピをご紹介します。これまた便通改善に効果のあるりんごを合わせて、ハロウィーンにもピッタリのパイに仕立ててみましょう。パイ皿や型がなくても作れるので、手軽に挑戦できる一品です。
パンプキンアップルパイの作り方
■材料(直径18cm1個分)
<かぼちゃフィリング>
かぼちゃ……1/4個(400g)
牛乳……50ml
砂糖……大さじ3
溶き卵……1個分
塩……ひとつまみ
シナモンパウダー……適量
<りんごの蒸し煮>
りんご……1個
砂糖……大さじ2
レモン汁……小さじ1
シナモンパウダー……適量
冷凍パイシート(20cm×20cm)……2枚
卵黄……1個
■作り方
①かぼちゃをアルミホイルで包み、オーブンに入れ180℃で30分ほど焼く。竹串を刺して、すっと通るようになればOK。

【ポイント】
オーブンでじっくり蒸し焼き状態にすることで、
かぼちゃの甘みが引き出され、
食感もホクホクと濃厚になります。
時間がない場合は角切りにしてボウルに入れ、ラップをかけて電子レンジでやわらかくなるまで加熱してもOKです。
②かぼちゃを加熱している間に、りんごの蒸し煮を作る。
りんごは皮をむいて芯を除いていちょう切りにし、砂糖、レモン汁と一緒に鍋に入れてひと混ぜする。フタをして強火にかけ、沸騰してきたら弱火にして7~8分煮て火を止め、シナモンパウダーを加える。

【ポイント】
りんごは煮すぎるとぐずぐずに溶けてしまうので、
ほどよく食感を残しましょう。
透明感が出てきたくらいができあがりの目安。
③スプーンで①の種とわたを除き、実をボウルに取り出す(皮は捨てる)。スプーンやマッシャーなどでつぶしてペースト状にし、<かぼちゃのフィリング>の残りの材料をすべて加えてよく混ぜる。

【ポイント】
りんごの蒸し煮に加えたシナモンを
かぼちゃフィリングにも加えることで、
味に一体感を出します。
④パイシートの1枚は18~20cmほどの皿またはボウルなどを裏返して重ね、包丁で円状に切り取る。かぼちゃフィリング、りんごの蒸し煮をのせる。

【ポイント】
フチから1cmは余白を残して具材をのせましょう。
⑤もう1枚のパイシートを1.5cm幅の帯状に切り分ける。編み込むようにして①にのせ、はみ出た部分は包丁で切り取る。

【ポイント】
編み目が交互になるようにのせていくと、
焼き上がりが美しくなります。
⑥はみ出た生地をまとめ、麺棒で2mm厚に伸ばし、1.5cm幅の帯状に切り分ける。⑤のフチを覆うようにしてのせ、フォークや包丁で線を入れるように抑えて生地を圧着させる。
卵黄に水大さじ1を加えて混ぜ、ハケでパイ生地全面に塗りひろげる。

【ポイント】
余った生地でフチを覆い、
フォークでしっかりと接着します。
⑦190℃に余熱したオーブンで35分ほど焼き、全体がきつね色になったらできあがり。

【ポイント】
水で薄めた卵黄(塗り卵)を塗ることで、
おいしそうな焼き色に仕上がります。
かぼちゃの甘さ&りんごの酸味が絶妙!秋の味覚が詰まった絶品パイ

香ばしいかおりが何ともおいしそうな、焼き立てのパイのできあがりです。
パンプキンパイもアップルパイも単体ではメジャーなお菓子ですが、かぼちゃとりんごは相性のいい食材。ふたつの秋の味覚を、今回はぜいたくに一個のパイに詰め込んでみました。

バターの香りが芳醇なサクサク食感のパイ生地に、ねっとり甘いかぼちゃフィリング。その濃厚な組み合わせに、りんごがほどよい酸味を添えて軽やかにしてくれます。
パイ生地のサクサク、かぼちゃのねっとり、りんごのシャリシャリ……と食感のコントラストも楽しく、ついつい2切れ目に手を伸ばしたくなります。

りんごも、秋においしくなる果物のひとつ。りんごに含まれるペクチンという水溶性食物繊維の一種は、水分を保持し便にうるおいを与える作用があります。かぼちゃの不溶性食物繊維と合わせて摂取することで、便のかさを増やし、さらにうるおいを与えて排便をスムーズにする相乗効果が期待できます。

秋は、夏に収穫されたかぼちゃが、1~2カ月の貯蔵期間を経て甘さが増して最もおいしくなるシーズンです。食物繊維と栄養が豊富なかぼちゃを料理やおやつに取り入れれば、旬の味を楽しみながら便秘対策ができますね。ハロウィーンにもピッタリの一品ですので、かぼちゃのおいしい時期にぜひ一度お試しください。

【参考文献】
「平成28年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)
「かぼちゃの栄養」(農畜産業振興機構WEBサイト「冬至とかぼちゃ」)