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“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜

緑茶、烏龍茶、紅茶‥‥。香りも味も多種多様な「茶」の世界ですが、その原材料になっているものは、すべて同じ「チャノキの葉」というから驚きです。知れば知るほど奥深いお茶の世界。それぞれのお茶がどのように作られ、どのように分類されているのか調べてみました。

緑茶、紅茶、烏龍茶…、原材料は同じなのに、味や色が違う理由は?

“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜
“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜

日本の緑茶、中国の烏龍茶、イギリスの紅茶。それぞれ香りも味もまったく違う飲み物ですが、すべてツバキ科の常緑低木「チャノキ」から摘み取られた「茶葉」から作られています。つまり、お茶の世界というのは同じ「原材料」を使いながらも、茶葉の「加工方法」によって分類されていることになります。

「チャノキ」の原産地は諸説あるようですが、中国雲南省あたりから世界に広がったというのがもっとも有力な説。最古の茶の専門書は8世紀に唐の陸羽が記した『茶経』というもので、その後、約1世紀遅れて日本に伝わったとみられています。

水上裕造「緑茶の香りの特徴」の図を元に作成

お茶には大きくわけて「不発酵茶」と「発酵茶」の2種類があります。日本でもっとも飲まれている緑茶は「不発酵茶」、烏龍茶や紅茶は「発酵茶」に分類されています。

茶葉を熱して発酵を止める「不発酵茶」

“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜

不発酵茶とは、製造過程で茶葉を発酵させずに作るお茶のこと。摘み取った茶葉を「蒸し」や「釜炒り」することで、茶葉の酸化酵素を破壊して発酵を止めるのが特徴です。一般的に「緑茶」と呼ばれるものは、すべて不発酵茶に分類されています。

緑茶は、チャノキの栽培方法、加工方法などによって細かく種類がわかれます。例えば、同じ緑茶でも「煎茶」と「玉露」は、チャノキの栽培方法が異なります。煎茶は日光を遮らずに栽培するのに対し、玉露は日光を遮断して栽培します。茶葉の摘み取ったあとは同じ工程をたどるため、栽培方法の違いだけでも茶のうま味や香りが変化するというわけです。

“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜
「玉露」よりも短期間、覆いをかぶせて栽培する「かぶせ茶」

最近は、緑茶を日常的に飲むことで「健康にいい効果がある」という研究報告も増えています。特に注目されているのは茶葉に含まれる「カテキン」という渋み成分。カテキンを摂取することで血圧、血糖値の抑制、抗菌作用、抗がん作用、抗ウイルス効果(インフルエンザ予防)に至るまで、さまざまな効果があるといわれています。また緑茶のうま味成分「テアニン」は、ストレス緩和やリラックス効果があるという報告もされています。

発酵のさせかたによって分類される「発酵茶」

“発酵”で作られるお茶があるって本当?〜不発酵茶と発酵茶〜

緑茶とは違い、摘採した茶葉を発酵させたものは「発酵茶」と呼ばれます。製造方法や発酵の進み具合によって、大きく「強発酵茶」「半発酵茶」「後発酵茶」の3つにわけられます。紅茶は「強発酵茶」に分類されるもので、摘採した茶葉を萎凋(ある程度乾燥)させ、もみ込み、高温多湿の発酵室などで完全発酵させて作ります。

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ウーロン茶の茶葉

ちなみに烏龍茶などの「半発酵茶」は、紅茶になる前の途中段階で発酵を止めたものです。

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竹の葉に包んで発酵させたプーアール茶の茶葉

発酵茶の中でも、前述の2つと作り方が異なるのが「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」。酸化酵素ではなく、カビや乳酸菌といった「微生物」を加えることで茶葉を発酵して作ります。四国地方の「阿波晩茶」「碁石茶」「石鎚黒茶」、富山県の「バタバタ茶」などは「後発酵茶」として古くから親しまれています。中国の「プーアル茶」も後発酵茶の一種。それぞれの地域や文化によって製造方法には若干の違いがあるようです。

原材料は同じにも関わらず、栽培方法や、加工方法、混合物の有無等で、お茶の種類は細分化されています。普段なにげなく飲んでいる緑茶や紅茶がどのようなものなのか、一度調べてみると意外な発見があるかもしれませんよ。

【参考文献】
1. 「チャ」(『日本大百科全書』小学館)
2. 水上裕造「緑茶の香りの特徴」(『におい・かおり環境学会誌』46巻2号 2015年)
3. 『〜消費者に応える!!〜茶の健康効果20選』(日本茶業体制強化推進協議会 2020年)
4. 日本茶業中央会監修『緑茶の事典 改訂3版』(柴田書店 2005年)
5. 「さがせ、菌の『お国自慢』 いま地産微生物が熱い!」(国立研究開発法人産業技術総合研究所Webサイト)
6. 「後発酵茶」(『飲み物がわかる辞典』講談社)

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