心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

私たちの体の中や表面には、たくさんの細菌がすんでいます。特に腸の中には無数の腸内細菌が生息し、それぞれの腸内細菌が異なる役割を持ち、互いに密接かつ複雑にバランスを取りながら、腸の機能や心身の健康にも影響を与えています。しかし、体の中にあるはずなのに、普段の生活の中で自身の体が腸内細菌の存在を感じられる瞬間はあまりないかもしれません。

それでは、1つ1つの腸内細菌は非常に微細なものですが、それが集まるといったいどのくらいの重さになるのか、ご存じでしょうか?  今回は、体内の腸内細菌を実感するために、その重さを体のさまざまな臓器や部位と比べてみました。

腸内細菌と牛乳パック1本、重いのはどちら?

心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

腸内細菌は種類にしておよそ1000種類、個数にして100兆個ほどの細菌が存在し、その重さは個人差や諸説ありますが、1kg~2kgほどだといわれています。1~2kgといえば、牛乳パック1本分から2本分と同じくらいの重さですね。腸内細菌は目に見えないほど小さいのに、全部集めるとそんなに重いの? と驚いてしまいます。

人体を構成する細胞の数は、2013年に発表された論文では約37兆個と推定されるともいわれていますので、腸内細菌のほうが細胞よりも、はるかに数が多いことがわかります。

※「An estimation of the number of cells in the human body」

腸内細菌の重さを、臓器と比べてみると…?

心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

それでは、腸内細菌の重さは他の臓器などと比較するとどの臓器や部位と同じくらいなのでしょうか。

人体でもっとも重さのある臓器の一つが「脳」です。成人の脳の平均的な重量は男性が約1350g、女性は約1250g。ちなみに日本人と欧米人との間では体格差はありますが、脳の重量差はあまりないのだそうです。脳に次いで神経細胞が集まっていることから「腸は第二の脳」ともいわれますが、その腸内の細菌が脳と同じ程度の重さだと知ると、その呼び名も「なるほど!」と思えてきます。

次いで「肝臓」の重さは大人で1000~1500gほどあります。「肺」は左右合わせて男性で約880g、女性で約636g、もっとも大切な臓器の一つ「心臓」は男性が約340g、女性が約310gといわれています。腸内の細菌は臓器の中では脳や肝臓と同じくらいの重さがあるのです。

※東京都健康長寿医療センター「身体指標・臓器重量」のデータによる

腸内細菌の重さと「女性の片腕の筋肉量」は同じくらい!

心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

筋肉は筋繊維の束の集まりで、人の体には大小合わせ430種を超える筋肉が存在し、これは体重の30~40%に相当します。2010年に発表された18歳以上の日本人4003人を対象とした筋肉量の調査では、両腕の全体(上肢)部分の筋肉量の平均値は男性が5.2kg、女性が3.2kgというデータが示されています。

そのデータを元に単純に計算すると、片腕の筋肉量は男性で2.6kg、女性で1.6kgとなります。腸内細菌の重さは「女性の片腕の筋肉」と同じくらいの重さと考えられます。

※「日本人筋肉量の加齢による特徴」より

腸内細菌の重さと同量の血液を失うと…

心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

成人の体内で循環している血液の量は、体重の約13分の1といわれています。体重50kgの人であれば50÷13=約3.8kgとなります。こちらを元に計算すると体重が20kgの人の循環血液量が約1.5kgとなります。1リットルの血液の重さが約1kgですので、約1.5リットル分の血液量に相当します。

また、成人は循環血液量の3分の1以上を失うと、血圧が低下して出血性ショックに陥り、生命の危険があります。また、2分の1以上失うと心停止をきたします。先ほどの例のように体重が50kgの人ならば、循環血液量は約3.8kg。その3分の1は約1.3kg、2分の1は約1.9kgになります。いいかえれば、腸内細菌の重さは「成人の生命維持に必要な血液の重量と同じくらい」なのです。

心臓や肺よりも重い?!体内の腸内細菌は何kgある?

今回は、腸内細菌の重さを実感しやすいよう、体の中に臓器や筋肉量、血液量と比べてみました。小さくて目に見えなくても、1~2kgもの重さになる腸内細菌は、私たちが心身ともに健康に過ごすために重要な役割を担っています。

腸内の環境を整えて、腸内細菌たちによりよい働きをしてもらいたいものですね!

【参考文献】
「腸内フローラとは」(「健康長寿ネット」 長寿科学振興財団)
Eva Bianconi et al.:「An estimation of the number of cells in the human body」(『Annals of Human Biology』vol.40 2013年)
「脳」「失血」(『日本大百科全書』 小学館)
「身体指標・臓器重量」(東京都健康長寿医療センター「病理解剖コラボレーション(共同研究)・事業病理解剖症例の特徴」)
谷本芳美、渡辺美鈴、河野令、広田千賀、高崎恭輔、河野公一「日本人筋肉量の加齢による特徴」(『老年医学会雑誌』第47巻1号 日本老年医学会 2010年)
「血液の基礎知識」(日本赤十字社)
「令和元年度学校保健統計」(文部科学省)

RECOMMEND
おすすめ記事
pagetop