おうちでゆっくり過ごす時間は、ストレス発散のためにも大切なひととき。しかし、おうち時間が増えてくると、どうもおなかの調子が……という人も少なくないでしょう。例えば、運動不足になったり、カンタンな食事が増えたり……。それらが便通異常の原因になっているかもしれません。
運動時間をすぐに増やせないなら、まずは腸にうれしい食事を取り入れてみてはどうでしょうか。例えば、意識的に食物繊維を摂取し、腸の活動をサポートしてあげることもオススメです。今回は、食物繊維たっぷりのプリンの作り方を紹介します。お子さまとのクッキングにもぴったりですよ。
目次
運動不足も便通異常の原因のひとつに!
食物繊維を積極的に摂ろう

運動と腸の活動には深い関わりがあります。大腸のぜん動運動が低下し、内容物をスムーズに送り出すことができなくなる便通異常の大きな原因のひとつが、運動不足。出歩くことがなくなると、一日の運動時間が大幅に減り、腸の運動も低下してしまいます。
また、起床時間が変わったり、食生活が不規則になるなど、生活のリズムが崩れると自立律神経が乱れる原因に。自律神経がうまく働かないため正常な腸のぜん動運動が起こらず、便が滞ってしまうのです。逆に、腸内での水分の吸収がうまく行われず、便がゆるくなってしまう人も。
こんなときは、散歩や室内でできる運動をはじめたり、生活習慣を整えることが大切です。他に、食事で腸の環境をサポートしてあげてもいいでしょう。
サポート方法の一つは、野菜や穀物、海藻類などの食物繊維が豊富に含まれた食材を毎日継続して摂るように心がけること。中でもオススメの食材が「もち麦」です。
なぜなら、もち麦は食物繊維の「量」だけでなく、その「バランス」に優れた食材なのです。
食物繊維は「バランス」が大切!?
もち麦がオススメの理由

食物繊維は、大きく2つの種類に分けられるのはご存じでしょうか。
まずは、水に溶ける「水溶性食物繊維」。便をやわらかくしたり、腸内細菌のエサとなり排便をスムーズにする働きがあります。2つめは、水に溶けない「不溶性食物繊維」。水分を吸収してふくらみ、便のかさを増やして腸を刺激する働きがあります。
食物繊維はただ量を多く摂ればいいのではなく、この水溶性と不溶性の、2つの食物繊維の摂取バランスも重要だと言われています。例えば、不溶性ばかり多く摂ると腸内の水分が吸収され、便が固くなりかえって便通異常を引き起こす原因に。適切なバランスはその人の腸の状況によって異なりますが、一般的に「不溶性2:水溶性1」が理想的なバランスだと言われています。
ここで、もち麦の食物繊維摂取量を見てみましょう。

上の表から分かるように、もち麦は100g中に不溶性食物繊維が7.3g、水溶性食物繊維が4.8gと、理想のバランスと言っていいでしょう。他の穀物を見てみると、白米は不溶性食物繊維がほぼゼロ、水溶性食物繊維が0.5g。大麦は不溶性食物繊維が6g、水溶性食物繊維が3.6gと、食物繊維の量・バランスともにもち麦のほうが優れていることが分かります。
また、もち麦は主食として毎日・毎食取り入れられるというのも大きなメリットです。毎日の食事で食物繊維の量だけでなくバランスまで気を使うというのは、正直むずかしそう。しかし、主食のごはんにもち麦を混ぜるだけなら、手軽に無理なく好バランスの食物繊維を摂取することができますね。
もち麦は味にクセがないので、主食以外にもサラダやおかずにも活用しやすい食材です。そこで今回は、もち麦を使った手軽に作れるおやつをご紹介します。
もち麦とバナナのプリンの作り方
■材料(2個分)
もち麦……大さじ1
バナナ……大1本
牛乳……100ml
砂糖……小さじ2

【ポイント】
バナナに含まれるペクチンと牛乳のカルシウムの力でプリンを固めます。バナナは黒い斑点が出たものがペクチンの含有量が多いので、よく熟した黒いバナナを使いましょう。
■作り方
①鍋にたっぷりの湯を沸かし、もち麦を入れ、ときどきかき混ぜながら15分ほどゆでる(湯がなくなってきたら差し湯する)。ゆで上がったらザルにあげ、流水で洗ってぬめりを取り、水気をしっかり切る。

【ポイント】
もち麦は多めにゆでて、冷蔵や冷凍で保管しておくと便利です。
※冷蔵で2~3日、冷凍で2~3週間保存可能。
②バナナは皮をむき、一口サイズに切って耐熱皿に並べる。ラップをかけ、500Wの電子レンジで2分加熱する。
③②と牛乳、もち麦、砂糖を合わせ、ミキサーやブレンダーでかくはんする。

【ポイント】
バナナのかたまりがなくなればOK。
麦は多少粒が残っていても、プチプチとした食感がおいしいです。
④プリンカップやマグカップに注ぎ、冷蔵庫で冷やし固める。好みでシナモンをかけてもおいしい。
もっちりプチプチ! 卵・ゼラチンなしで固まる不思議なプリン

卵もゼラチンもなし! バナナと牛乳だけでしっかり固まる、不思議なプリンのできあがりです。
もっちりとした食感と、バナナのやさしい甘さがうれしい、素朴なおやつです。プチプチとしたもち麦の噛みごたえも楽しく、腹持ちがいいので朝食代わりにもなりそう。

卵もゼラチンも入っていないのにしっかり固まるのは、バナナに含まれる食物繊維の「ペクチン」のおかげ。ペクチンは牛乳のカルシウムと混ぜ合わせることで、凝固する作用があるのです。そこにもち麦の粘性も加わって、卵やゼラチンを入れなくてももっちり食感のプリンに変身してくれます。
とても簡単に作れるので、お子さまとのおやつ作りにも最適です。ペクチンとカルシウムの作用を学びながら作れば、ちょっとした自由研究になりますね。卵がいらないので、卵を控えているお子さまでも安心して食べられます。
板チョコレート20gを電子レンジで溶かし混ぜ、チョコレート味にするのもオススメです。ココア、抹茶パウダーなどをまぶしてもおいしいです。

もち麦の食物繊維と、バナナの食物繊維がたっぷり摂れて、おなかにやさしいおやつ。バナナの自然な甘みを生かして、砂糖控えめなのもうれしいですね。
生活習慣が乱れたり、運動不足になったりしてしまいそう……。そんなときは、間食で上手に食物繊維をプラスして便通改善に役立ててみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
「便秘予防の食事レシピ」(「健康長寿ネット」公益財団法人長寿科学振興財団)