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腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

その種類は約1000種類以上、数は100〜1000兆個といわれる腸内細菌。その働きや構成バランスによって、私たちの腸内環境は大きく影響します。今回は腸内環境に影響を与える、5つの「構成要素」を調べてみました。

腸内環境の構成要素その1:食生活

腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

腸内環境を改善する「改善菌」を増やす基本的な方法は、改善菌やその“エサ”を食事から摂取することです。

代表的な改善菌の一つが、腸内で糖類を分解し乳酸を作り出す乳酸菌で、その“エサ“となるのが食物繊維とオリゴ糖です。改善菌のエサとなる育菌食材(プレバイオティクス)には菌を増やし活性化させる働きがあります。

「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」をバランスよく摂取するのに加えて、ヨーグルトや発酵食品で乳酸菌を摂取し、プレバイオティクスで改善菌の“エサ”を取り入れる食生活を心がけることが、腸内環境の正常化につながります。プレバイオティクスとなる代表的な食材には以下のようなものがあります。日々の食生活に取り入れていきましょう。発酵食品を取り入れたレシピは「kinrte!」のレシピ記事にも多数掲載中です。

・食物繊維…きのこ類、海藻類、こんにゃく類、ネバネバ食材(オクラ・めかぶ・納豆・山芋・アボカドなど)
・オリゴ糖…ごぼう、玉ねぎ、アスパラガスなど

「便秘予防の食事レシピ」(健康長寿ネット)を元に作成

また呼吸により体内に取り込まれた酸素の一部である活性酸素の産生が過剰になっている状態も、腸内環境が乱れる原因の一つとされます。抗酸化作用のある食材として以下のようなものも取り入れていくといいでしょう。

緑黄色野菜、果物、緑茶、玄米、全粒小麦などです。色やにおいがある食材は抗酸化作用がある食材

「便秘予防の食事レシピ」(健康長寿ネット)

腸内環境の構成要素その2:運動

腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

腸内環境を整えるためには、適度な運動を定期的に行うことも重要です。運動は良質な睡眠の習慣にもつながるとともに、体の振動や筋肉の動きで腸内の便の動きをサポートします。時間を見つけて散歩をしたり、ひと駅歩く習慣をつけるのもいいでしょう。

腸管への刺激を外から与える意味では、腹部のマッサージなども取り入れるといいでしょう。腹部を優しくマッサージしたり、うつぶせに寝転がった状態で体をゴロゴロと左右に動かしたりする刺激によって、腸のぜん動運動が高まります。ぜん動運動を整えて排便反射を促すことで、便秘を防ぐとともに腸内環境の改善へとつながります。

腸内環境の構成要素その3:ストレス・過労

腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

腸内環境に影響するのは、食事や運動習慣だけではありません。不安や緊張を抱えているとき、おなかが痛くなった経験はありませんか? 私たちの精神状態と腸内環境とには深い結びつきがあり、ストレスにより腸内フローラが変化することは古くから指摘されているとともに、最近の研究ではそのメカニズムも徐々に明らかになってきています。

肉体的な疲労や細菌感染といった「生物的な刺激」、寒さ・暑さや打撃などの「物理的な刺激」、抗生物質の服用などによる「化学的な刺激」、そして先行きへの不安や怒りなど「精神的・社会的なストレス」など、体に対するストレスはさまざまな種類があります。これらのストレスがもとで自律神経に影響し副交感神経系が抑制されると、自律神経によって制御されている消化器の働きにも変化が生じます。

ぜん動運動の低下や消化液の分泌低下によって、腸内の有害菌が増殖して腸内フローラのバランスが乱れたり、その結果、栄養がうまく体内に吸収できなくなってしまうのです。そして腸の調子が悪いと脳がさらにストレスにさらされる……という悪循環にも。胃や腸の動きを正常にするためには、リラックスできる環境を作ったり、きちんと睡眠をとったりするなど、日頃からストレスにうまく対処するよう心がけることも大切になってくるのです。

腸内環境の構成要素その4:加齢

腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

腸内フローラは生涯を通して変化し続けます。つまり、どんなに生活習慣に気をつけていても一定のバランスを保てるわけではなく、加齢に伴い腸内細菌の量などが変わってしまうのです。腸内フローラに影響を与える“加齢要因”として、以下の例が挙げられます。

・身体的変化…味覚や嗅覚の低下、歯が少なくなることによる咀嚼機能や嚥下機能の低下

・食事内容の変化と低栄養…年齢変化とともに好みの味付けが変わったり、食べる量が減る

・生活環境…入院やケア施設への入所による生活の変化

・抗生剤などの薬剤…疾病等の治療に用いる薬の量の変化

「腸内フローラと老化」を元に作成

同じ「腸内フローラと老化」の論文で紹介された、0歳から104歳までの健常者367人を対象として、腸内フローラを詳しく解析した研究結果によると、乳幼児期にはビフィズス菌がもっとも優勢ですが離乳後にその割合は減少し、60歳代以降にはさらに減少してしまうことや、70歳を越えると「高齢者型の腸内フローラ」になる人が多いことが判明したといいます。

また別の研究によれば、100歳以上の「百寿者」の腸内フローラは、70歳代以降に見られる「高齢者型腸内フローラ」とは異なり、70歳代以前の状態を保っているという特徴があるともいわれています。

加齢は誰もが避けられないものですが、食事や生活習慣に気をつけながら健康に過ごせれば、いつまでも若々しさを保ち続けられるかもしれません。

腸内環境の構成要素その5:環境因子

腸内フローラに影響を与える5つの「構成要素」とは?

菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないといわれています。ですが、食中毒などで腸内細菌が大きく変化する「ディスバイオシス」とよばれる事象が起こるケースがあります。

ディスバイオシスとは「腸内フローラの異常」という意味。体調の変化などのきっかけにより、腸内細菌の数が大幅に減ったり、本来少ないはずの菌が増加なするど、構成比の変化や細菌構成が異常になることを指します。

ディスバイオシスの原因は、食生活の乱れや食中毒など感染などの影響も大きいですが、抗生物質の服用や大気中のPM2.5などのナノ粒子といった環境因子による影響もあるといわれています。

腸の健康は、これらの「構成要素」の元となる私たちの生活習慣に密接に関わっています。もし腸の調子がよくないと感じているようであれば、生活習慣を大きく見直してみましょう。腸の調子や腸内環境が改善するきっかけになるかもしれません。

【参考文献】
「腸内細菌と健康」(e−ヘルスネット 厚生労働省)
「便秘予防の食事レシピ」「生活習慣で乱れた腸内環境を整える方法」(公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)
辨野義己「ストレスと腸内環境」(『Stress & Health Care』No.208 財団法人パブリックヘルスリサーチセンターストレス化学研究所 2013年)
新井万里、水野慎大、金井隆典「腸内フローラと老化」(『日本老年医学会雑誌』53巻4号 日本老年医学会 2016年)
内藤裕二「気になる消化器病 腸内フローラの異常(ディスバイオーシス)」(『消化器のひろば』No.11 日本消化器病学会 2017年)

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