大腸内は酸性? 中性? アルカリ性?ビフィズス菌が大腸のpH値に与える影響とは?

「生きたままビフィズス菌を腸に届ける」なんて売り文句をよく耳や目にするので、腸内環境を整えるにはビフィズス菌の存在が重要ということは知っているものの、実際にはビフィズス菌がどんな働きをしてくれるのか、腸内がどのような状態になればいいのか分からずに、毎日せっせとヨーグルトを食べている……なんてことはありませんか?

ビフィズス菌と私たちの腸との関係についてきちんと知れば、もっと腸を大切にしたくなり健やかに過ごせるはず。今回はビフィズス菌が私たちの腸に与える影響について、ご紹介します。

そもそも大腸の中のpH値は?

大腸内は酸性? 中性? アルカリ性?ビフィズス菌が大腸のpH値に与える影響とは?

人の腸内には、約100兆個ともいわれる、数百〜1000種類の細菌が生息しています。それらの細菌がグループでまとまって「腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)」を形成し、腸内環境によい影響を与える菌、悪さを働く菌、状況によって立場を変える菌がバランスをとりながら共存しているのは、よく知られています。そんな菌たちが生息する大腸の中は、「酸性」「アルカリ性」のどちらなのか、ご存じでしょうか?

人間の大腸内の酸性・アルカリ性の強さを表す「pH」の値は、胃に近い側でpH値が5〜6、胃から遠い側ではpH値は6〜7になっています。マウスの腸を調べた研究によれば、盲腸(大腸の入り口)のpH値は6.4〜6.8くらい、結腸(大腸の中央部)はpH値は6.6〜7.0くらい、直腸(大腸の出口側)のpH値は6.8〜7.2くらいとのことで、同じ傾向が見られます。中性の数値が「7」で、それより数値が低いと「酸性」、高いと「アルカリ性」ですから、バランスのいい腸内はだいたい「弱酸性」の状態となっていることがわかります。また、胃に近い部位ほど、pH値は低く酸性に傾き、胃から遠いとpH値は高くなっているのも読み取れます。

健康な肌は弱酸性であるといわれるように、腸内も弱酸性の状態になっていれば、腸内フローラの理想的なバランスを保つことができるといわれています。

乳酸菌やビフィズス菌は腸内を「酸性」にする

腸にいい菌といえば「ビフィズス菌」や「乳酸菌」という名前を思い浮かべますが、これらの菌は改善菌の代表と言われており、腸内の糖分や食物繊維を食べて発酵させることで、有害菌や腸内の腐敗産物を減少させおなかの調子を整えていると考えられています。

乳酸菌(乳酸桿菌:にゅうさんかんきん)は乳酸を、ビフィズス菌は酢酸と乳酸を作り出します。ビフィズス菌が作り出す酢酸は大腸の運動を刺激したりバリア機能を強固にしたり、炎症を抑えたりするといわれており、腸にとって重要な存在です。また、乳酸は他の細菌によって代謝され、酢酸やプロピオン酸、酪酸などになることで、腸の中を「酸性」へ傾きます。

有害菌はアルカリ性の環境を好み、腸内を「アルカリ性」にする

一方、有害菌は酸性よりもアルカリ性の環境を好み、腸内をアルカリ性へと傾けます。腸内がアルカリ性の時は有害菌が活動しやすい状態で、免疫力を弱めたり、炎症を起こしたり、発がん性物質を作りだしたりと悪い働きをします。

反対に、腸内が酸性に傾くと有害菌は増殖ができなくなり、毒性物質が作られなくなります。また、有害菌のほとんどはアルカリ性の環境を好むため、もし外から腸内に入って来たとしても、腸内が酸性に保たれていれば、その増殖を防げるのです。

ビフィズス菌で、腸内を酸性に保って健康に!

腸内を酸性に保つ方法の第一は食事です。腸内環境の改善するビフィズス菌を摂るのと同時に、ビフィズス菌などの「エサ」となる栄養を摂ることで、腸内環境を整えていくことができます。

ビフィズス菌や乳酸菌は、それを含むヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物、味噌などの発酵食品などから摂取できます。ただし、これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはないといわれています。そのため、毎日続けて摂取し腸に補充することが重要です。

そして、改善菌のエサになるオリゴ糖や食物繊維の成分は消化・吸収されることなく大腸まで達し、改善菌の量を増やしてくれます。オリゴ糖は大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどに多く含まれます。食物繊維は大豆や納豆などの豆類、いも類、切り干し大根、オクラ、ごぼう、ブロッコリー、きくらげ、乾燥しいたけ、海藻、果物類などに豊富に含まれています。発酵食品で直接的に改善菌を取り入れつつ、オリゴ糖と食物繊維が含まれている食品を積極的に食べて、腸内を酸性に傾けていきましょう。

腸内を酸性に保つもう一つの方法は、食習慣に加えて睡眠や運動などの基本的な生活習慣のリズムを整えることです。中でも腸のぜん動運動をサポートして、便を動かすのに役立つのが適度な運動です。便をスムーズに送り出すためには、腹筋や、体の深部にある腸腰筋の動きが重要になります。しっかりと腸に動いてもらうために、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を使ったり、ウオーキングやランニングで下半身の運動を増やすよう心がけましょう。

私たちの腸は弱酸性に保つことで改善菌が活動しやすい環境になることがわかりました。改善菌を増やすことができる、ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、漬物、味噌などは比較的摂りやすい食べ物ですが、毎日、続けて食べることがポイントですね!

【参考文献】
安藤朗「腸内細菌叢に影響を及ぼす因子」(『モダンメディア』65巻4号 栄研化学 2019年)
田原優「腸内フローラ代謝産物による概日時計制御」(三島海雲記念財団 「平成26年度(第52回)受贈者および研究報告【自然科学部門】」WEBページ )
安藤朗「腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能」(『日本内科学会雑誌』第104号 日本内科学会 2015年)
「ビフィズス菌がおなかの調子を整えるのはどうしてですか?」(腸内細菌学会WEBサイト)
「ビフィズス菌」「腸内細菌と健康」「食物繊維の必要性と健康」(e-ヘルスネット 厚生労働省)
「腸内フローラとは」「生活習慣で乱れた腸内環境を整える方法」「食物繊維の働きと1日の摂取量」(健康長寿ネット)
「4月 腸内環境を整えて、元気な毎日に」(全国健康保険協会WEBサイト)

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