実は身近な発酵食品。腸内環境のために「パン」で、乳酸菌をとろう!

乳酸菌をとれる食品といえば、ヨーグルトや味噌、キムチといった、発酵食品が思い浮かびますが、最近では、大手パンメーカーから乳酸菌入り食パンが発売されたり、コンビニで乳酸菌入りのパンが人気商品になったりするなど、「乳酸菌をとれるパン」に注目が集まっています。

でも実はもともと、パンは乳酸菌とは切っても切れない「発酵食品」なのです。今回は、主食として毎日手軽に食べられるパンに含まれる、乳酸菌について解説します。

パン作りには、もともと乳酸菌が欠かせない

実は身近な発酵食品。腸内環境のために「パン」で、乳酸菌をとろう!

パンで乳酸菌をとると聞くと、パンに乳酸菌を添加するようなイメージを持たれるかもしれませんが、そもそも、焼き上げる前の生地を作る前段階である「パン種」は、酵母と乳酸菌を豊富に含んだ初種(スターター)を起こすことから始まります。

酵母はパンを膨らませるうえで欠かせない原材料のひとつ。そして乳酸菌は、パンの香りや食感といった、パンの品質を高めるためにとても重要です。どのような種類の酵母や乳酸菌をもとにパン種を作るかによって、パンの種類が変わってきます。

実は身近な発酵食品。腸内環境のために「パン」で、乳酸菌をとろう!

パン種のなかで知名度が高いものが、フランスの厳格な法律に基づきライ麦粉や小麦粉から乳酸菌の種継ぎをして酵母を生育させて作る「ルヴァン種」、イタリアの子牛の町内物質から取り出した乳酸菌を小麦粉と混合して作る「パネトーネ種」、ドイツのライ麦粉に水を入れてこねる際に自然に入る粉や待機由来の酵母や乳酸菌を利用して作る「ライサワー種」があります。

ほかにも、ホップの花から酵母をとったイギリスの「ホップス種」や、サンフランシスコ湾岸地方特有の酵母を用いたアメリカの「サンフランシスコサワー種」など、パン種の原料や土地ごとの気候風土によって生育する菌は異なりますが、どのパンも乳酸菌と酵母で構成されており、各地の風土に合わせたパンが発展していったとされています。

サワー種のパンを食べて、乳酸菌をとろう!

ずっしり重い、独特の風味をもつ「ライ麦パン」

実は身近な発酵食品。腸内環境のために「パン」で、乳酸菌をとろう!

ドイツのライ麦パンは、代表格はサワー種の代表格。高緯度にあるドイツでは、寒冷地でもよく育つライ麦がパンの原料となっています。

特にドイツのサワー種は、ライ麦粉や小麦粉と水を混ぜて放置したもので、乳酸菌の働きによってパン生地が酸味を帯びています。この働きがパンの風味改良、生地の改善、保存性の向上などの効果を発揮。

ライ麦を含むパン生地は膨らみにくいため、生地の目が詰まってずっしりと重く、かめばかむほど穀物の滋味が感じられ、少し「すっぱい」と感じる酸味と独特の風味が特徴です。日本のパン屋さんなどで「ドイツパン」と呼ばれるパンは、黒っぽくて少し硬く、酸味を感じるパンが多いはず。

果物もたっぷり。クリスマスシーズンの伝統パン「パネトーネ」

実は身近な発酵食品。腸内環境のために「パン」で、乳酸菌をとろう!

もうひとつ代表的なサワー種のパンが、果物の砂糖漬けや干しぶどうを入れたパン菓子のパネトーネ。主にイタリア北部で伝統的に作られています。クリスマス時期に、高級スーパーなどで見かけた方も多いのではないでしょうか?

レーズンやレモン、オレンジなどのドライフルーツが入った明るい卵黄色の円筒形で、軽い食感。特に名高いのはミラノのものといわれています。パネトーネ種の特徴により焼いた後でも保水性が高く、長期保存が効くため、贈り物として用いられることも多いパンです。

パネトーネの誕生にまつわる逸話には、宗教と密接に関連した話からおとぎ話まで多種多様。人びとに古くから親しまれていたパンだということが分かります。

年末年始で疲れた胃腸に、パンで乳酸菌を取り入れよう!

パンを作るときには、何年も同じサワー種を培養し続けて使うため、土地だけでなく、それぞれのお店ごとに菌類の種類や組み合わせに違いが生まれます。そのため、できあがるパンは店ごとに個性的ある風味になるのだとか。まるで日本の酒蔵や味噌蔵を思わせますね。

年末年始のご馳走にちょっと疲れたな…というときに、手軽なパンを食事に取り入れて、乳酸菌を腸内に体内に届けましょう!

【参考文献】
藤本章人「パンと微生物」(『モダンメディア』63巻8号 栄研化学株式会社 2017年)

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