日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

2019.12.17

腸内を元気にすることで、美や健康を底上げしようという「腸活」。腸内フローラを整えようとヨーグルトを毎朝食べている人も多いはず。スーパーやコンビニなどに行けばさまざまな種類のヨーグルトを目にしますが、そもそも「ヨーグルト」とはどういう食べ物なのでしょうか? 意外と知られていない「ヨーグルト」の定義や種類のこと、いろいろと調べてみました。

ヨーグルトは「発酵乳(はっ酵乳)」に分類される

日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

店頭で販売されているヨーグルトのパッケージをよく見てみると「発酵乳(はっ酵乳)」と書かれていることがわかります。

実は日本には「ヨーグルト」という規格はなく、食品衛生法にもとづく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で定められた「発酵乳」が「ヨーグルト」に該当します。

この省令では、発酵乳とは「乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの、またはこれらを凍結したもの」と定義され、無脂乳固形分が「牛乳と同じ8.0%以上」、1ml当たりの乳酸菌数または酵母数が「1,000万以上」と決められています(ただし、「発酵後殺菌した発酵乳」は乳酸菌数・酵母数の規定はなし)。

日本ではそれらの条件をクリアしたものが「発酵乳」と認められ、一般名称の「ヨーグルト」として販売されているのです。

それでは、ヨーグルトの国際規格は?

日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

一方、国際的には「ヨーグルト」の規格は明確に定められています。FAO(国際連合食糧農業機関)及び、WHO(世界保健機関)によって設置された政府機関「コーデックス委員会」が定める国際食品規格によると、ヨーグルトの定義は「乳酸桿菌のラクトバチルス・ブルガリスと乳酸球菌のストレプトコッカス・サーモフィラスの2種類で乳酸発酵しているもの」とされています。

欧米などで「ヨーグルト」と表記されたものは、必ず「ブルガリア菌」と「サーモフィラス(サーモフィルス)菌」の両方が含まれていましたが、世界的なトレンドを受けて近年では「あらゆる乳酸桿菌属と乳酸球菌のサーモフィラス菌」で発酵したものを「ヨーグルトの一種」として認める方向になったといいます。

ヨーグルトをつくる乳酸菌には「ブルガリア菌」「サーモフィラス(サーモフィルス)菌」「アシドフィルス菌」などさまざまなものがあります。これらの菌の組み合わせや発酵温度の違いで、味や風味は変化します。最近は乳酸菌の機能性についての研究も進み、人間の健康に有益な働きをする微生物「プロバイオティクス」が、ヨーグルトに添加されたものも販売されています。手軽に摂取できるプロバイオティクスの代表格としても「ビフィズス菌」「乳酸菌」などは、日本でも広く知られています。

牛乳以外を原料とする世界各国のヨーグルト

世界中には乳を乳酸菌で発酵させたさまざまなヨーグルト(発酵乳)があります。ここではちょっと変わった3種類のヨーグルトを紹介します。

ケフィア

日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

「ケフィア」は、黒海とカスピ海に挟まれた「コーカサス地方」で古くから食べられてきた、牛や山羊など動物の乳を使った発酵乳です。ケフィアの中には乳酸菌だけでなく「酵母」も含まれています。多いものでは30種類以上の微生物が含まれているとも言われています。

ケフィアは酵母によってアルコール酵母するため、発酵時に炭酸ガスが発生し容器が膨らんでしまいます。そのため、ヨーロッパでは容器に穴を開けて販売されていますが、日本では食品衛生上、容器に穴を開けて販売することができないため、市販することができません。日本でケフィアを食べるなら、手づくり以外に食べる方法がないという、貴重なヨーグルトでもあるのです。

ギリシャヨーグルト
(グリークヨーグルト)

日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

まるでチーズのように濃厚でクリーミーな食感が人気の「ギリシャヨーグルト」。普通のヨーグルトは乳製品をあたためて発酵させるのみですが、ギリシャヨーグルトは「水切り」という行程が加わります。水切りを行うことで余計な水分や乳清(ホエー)が除去され、より濃厚な味わいになります。

国によっては「水切りヨーグルト(strained yogurt)」「ヨーグルトチーズ(yogurt cheese)」と呼ばれているとか。普通のヨーグルトよりもたんぱく質を多く含み、肉や魚に比べると低カロリーということで、欧米諸国やヘルシー志向な女性たちの間で大人気のヨーグルトのひとつです。

マツォーニ

日本の食品の規格では「ヨーグルト」はないって本当?!

南コーカサス地方の国・ジョージアの発酵乳として有名なのが「マツォーニ」です。マツォーニは一般的な乳酸菌とは異なり、「クレモリス菌」という乳酸菌と「アセトバクター菌」という酢酸菌で発酵し、少し粘り気があります。

日本の一般的な室温(20度〜30度)でも発酵するため、特殊な器具を使わずに自宅でも気軽に手づくりすることができます。酸味が控えめなので、ヨーグルトが苦手という人にもおすすめ。マツォーニに含まれるクレモリス菌には、腸内環境を整える種類の菌株もあるといわれています。

腸活で大事なことは、継続して乳酸菌を摂り入れること。ヨーグルトはそのまま食べるだけでなく、料理に使ったり、ソースにしたりと、いろいろアレンジできるので、毎日飽きずに食べ続けることができます。ヨーグルトのことに少し興味がでてきたら、自分好みのヨーグルトを探してみてくださいね。

【参考文献】
・「【業務関連情報】世界中で愛されるヨーグルト」(独立行政法人 農畜産業振興機構)
・「発酵乳等の表示基準の一部改正に関するQ&Aについて 」(消費者庁)
・「発酵乳とは」(一般社団法人 日本乳業協会)
・福島市立渡利中学校「市販のヨーグルトを種菌にヨーグルト発酵させる条件を探る」(国立研究開発法人科学技術振興機構 中高生の科学研究実践活動推進プログラム 2016年)

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