おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

2019.11.21

便秘のときは特に、おならのニオイが気になる…という人は多いのでは? また便秘ではないのに、いつもと違う強いニオイになることも…。誰しも気にするおならの「素」となっている成分、そしてニオイの原因についてひもといてみるとともに、その対策を紹介します!

おならの「素」の“99%”は無臭⁉?

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

おならはすなわち、大腸の中にたまったガスのこと。その大腸内のガスの組成を調査した論文によれば、最も多い成分は窒素で23〜80%。その他には、酸素、炭酸ガス(二酸化炭素)、水素、メタンが含まれ、これらを合計すると組成に対する割合は約99%になります。

窒素や酸素、二酸化炭素は私たちをとりまく空気の主成分ですから、ニオイがないのはご存じの通り。さらに、水素にもメタンにもニオイはありません。大腸内のガスであるおならは、そのほとんどが無臭のガスでできているのです。

ではなぜ、おならはにおうのでしょうか? 99%が無臭となれば…、残りの約1%にニオイがあるということになります。この約1%の成分は硫化水素などの揮発性硫黄化合物。おならに含まれる主な臭気ガスとそのニオイは…。

硫化水素=腐った卵のようなニオイ
メタンチオール=腐敗臭(卵やキャベツの)
トリメチルアミン=魚くさい
硫化ジメチル=硫化物臭、腐った
スカトール=糞便臭
インドール=糞便臭

国立医薬品食品衛生研究所の資料より 「化合物とにおいの説明」

あの、みなさんを悩ませるおならのニオイは、わずか1%程度のガスが生み出す、さまざまな悪臭の“複合体”なのです。

ニオイのあるガスが発生するのは、腸内細菌のしわざ

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

そのニオイの素は、腸のどんな作用から生まれるのでしょうか? 臭気ガスは、腸内細菌の働きによって消化された食べ物が発酵したり、腐敗したりすることで発生します。

たんぱく質や脂質の多い偏った食事が続いたり、不規則な生活やストレス、そして便秘によって腸内フローラの細菌のバランスが崩れ、ウエルシュ菌や病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌など、体に悪影響をもたらす細菌が優勢になってくると、先ほどの臭気ガスを発生させます。

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

肉を食べるとおならやうんちのニオイが強くなるのは、これらの細菌が動物性たんぱく質に含まれる、必須アミノ酸の一つ「メチオニン」をエサとするからです。メチオニンのように、その構成要素に硫黄が含まれるアミノ酸を「含硫アミノ酸」と呼びます。この硫黄が、細菌がエサとする過程でニオイの元となる硫化水素へと変化するのです。

メチオニンが多く含まれる食品は、肉や魚介類、そして卵。同じ重量で比べると、肉も魚介類でも脂身よりも赤身に多く、卵では鶏卵よりもうずらの卵に多く含まれています。また「畑の肉」とも呼ばれる大豆や、ごま、ナッツ類にもメチオニンは多く含まれます。

【主な食材の、可食部100g当たりのメチオニンの量】

・くろまぐろ(赤身、生)…760mg
・くろまぐろ(脂身、生)…570mg

・うし(リブロース、赤肉、生)…360mg
・うし(リブロース、脂身、生)…90mg

・鶏卵(全卵、生)…390mg
・うずら卵(全卵、生)…450mg

・だいず(全粒、国産、黄大豆、乾)…510mg
・だいず(全粒、国産、黒大豆、乾)…480mg

・ごま(乾)…680mg
・カシューナッツ(フライ、味付け)…420mg

厚生労働省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編』の「可食部100 g当たりのアミノ酸成分表」より抜粋

便秘ではないけれど、ふだんよりもおならのニオイが強くなっていると感じたら、腸内環境の乱れによって、ニオイの素となるガスの発生量が増えている可能性が考えられます。

おならのニオイと便秘には、同じ対策で!

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

この腸内環境の乱れは、便秘をもたらす一因にもなります。さらに便秘によって、ますます腸内環境の乱れが続き、腸の内容物が腐敗するなどして有害物質が生成され、下腹部不快感・膨満感・腹痛・悪心・嘔吐などをきたす恐れがあります。

つまり、腸内環境を整えてあげれば、おならのニオイ対策にもなり、同時に便秘対策にもなります。ニオイ対策&便秘対策を2点紹介します。

肉食中心の食事を改善する

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

対策の一つは、ニオイの素を生み出す動物性たんぱく質の摂取量が過剰になっていないかどうか、食事習慣を見直すことです。厚生労働省が示した「食事バランスガイド」を参考に、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳」「乳製品」「果物」の5種類の食品・食材をどのくらいのバランスで食べればいいのかを確認してみましょう。どこかに偏りがあるのか、すぐ見つかるはずです。

しかし、ニオイ対策や便秘解消のために、極端な食生活にしてしまうのは禁物。例えば、脂質をまったく摂らないと栄養のバランスが崩れてしまううえに、日本人の常習性便秘の約3分の2を占めるとされる「弛緩性便秘」の場合、脂質の摂取が不足すると、そこに含まれている脂肪酸による大腸の刺激が減り、便秘がひどくなってしまう可能性があるのです。

食物繊維を十分に摂る

おならのニオイは便秘が原因? おならの“組成“とニオイの素、そしてニオイ対策を知ろう!

厚生労働省が策定した『日本人の食事摂取基準(2015年版)』に示された食物繊維の摂取目標量は、男性(18〜69歳)は1日20g、女性(18〜69歳)は1日18gとされています。一方、年代別の食物繊維摂取量は、男女ともにどの年代も目標量を下回っています。

年代別の食物繊維摂取量

18〜29歳:男性…11.8g、女性…10.8g
30〜49歳:男性…12.6g、女性…11.6g
50〜69歳:男性…14.9g、女性…15.1g

『日本人の食事摂取基準(2015年版)』より

ふだんから食物繊維を多く含む食品を食べるように心がけると、便の量を増やし、排便のリズムを正常な状態に回復させることにつながります。食物繊維は腸内に存在する体に有用な菌のエサとなる「プレバイオティクス」の代表格。同時に、乳酸菌やビフィズス菌などの「プロバイオティクス」を体内に取り入れるように、食生活を見直していきましょう。

【参考文献】
寺井岳三、植田秀雄、行岡秀和「放屁モニター ─消化管活動の指標としてのおなら─」(『におい・かおり環境学会誌 2005年36巻5号』におい・かおり環境協会)
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編』(厚生労働省)
「便秘と食事」「腸内細菌と健康」「食物繊維の必要性と健康」(e-ヘルスネット)
「食物繊維の働きと1日の摂取量」(健康長寿ネット)

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