便秘で起こる「腹痛」の理由や痛みを、医師に正しく伝えるには?

2019.11.17

数日間お通じがないときに、なんとなく下腹部に感じる不快感。もし、おなかの張りや痛みを感じるようになったら、医師の診察を受けるべきタイミング。しかし、そのおなかの痛み、どのような痛みか正しく伝えられるでしょうか?

ひと言で「腹痛」といっても原因や症状は多種多様です。便秘が要因となりえる痛みはどのような症状なのか、そして医師への上手な”かかり方”について紹介します。

そもそも「腹痛」は、医師でも見分けが難しい!?

便秘で起こる「腹痛」の理由や痛みを、医師に正しく伝えるには?

腹痛の発信源となるおなかは、体の中でも最も多くの臓器が密集している部位です。そのため、同じ「おなかが痛い」という症状でも、粘膜が炎症を起こしている胃腸炎や、ストレスが引き金となっている痛み、さらには消化器系のがんなどの重篤な病気による激しい痛みなど、痛み方や痛みの起こる部位はそれぞれの原因によって異なります。

日常生活の中でよく見られる症状「腹痛」をテーマに取り上げた、広島県医師会による『救急小冊子』では、「腹痛(おなかが痛い)のポイント」として、腹痛の診断の難しさについて以下のように触れています。

腹痛のため、病院を受診する原因疾患として最も頻度が高いのが消化器疾患です。しかし、腹痛をきたす消化器疾患は多種多様で、自然に治癒する軽症のものから、生命にかかわる重症なものまで幅が広く、診断が容易でない場合があります。

『救急小冊子』

便秘は身近な症状なだけに「排便がないから便秘だと思う」と自己判断したり、「しばらくしたら治まるから」と放置しがちですが、例えば、便やガスがまったく出ない場合、腸閉塞が起こっている場合があります。さらに、自律神経の影響で腸のぜん動運動が低下する過敏性腸症候群や、さらに大腸がんなどの病気の初期徴候として便秘が見られるケースもあります。

このように、大きな病気の兆しとして便秘の症状が現れている可能性もあるのです。

便秘のときに痛みを感じやすい場所は?

便秘で起こる「腹痛」の理由や痛みを、医師に正しく伝えるには?

おへそを中心に、おなかを「右上」「右下」「左上」「左下」の4エリアに分けたときに、どのエリアが痛むかという情報は、医師がおおよその原因を診断する目安になります。

便秘の要因には主に、大腸や直腸の働きの異常による「機能性便秘」と便の通過が物理的に妨げられる「器質性便秘」がありますが、どちらも起こりやすいとされている箇所が「S字結腸」。S字結腸の痛みは、おなかの左下に痛みが出ることが多いとされています。

便秘の痛みを正しく伝えるには?

便秘で起こる「腹痛」の理由や痛みを、医師に正しく伝えるには?

医師の判断が難しい腹痛だからこそ、痛みの症状をきちんと伝えることが重要です。「伝えきれなくても、お医者さんなら分かってくれる」「あまり痛みを訴えるとワガママだと思われる」と思い込まずに、痛みの情報源は自分の体にあると捉えて、痛みの程度や性質をきちんと伝えられるようにしましょう。

日本緩和医療学会が発行した『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド増補版』では、「痛みの伝え方」として、以下のような方法が紹介されています。

痛みの強さを表す言葉や“ものさし”をもっておく

原因が同じでも、人によって痛みの感じ方はさまざまです。痛みの性質をどのように言葉で表現すればいいか分からない場合、例えば以下のような「痛みの表現」がありますので、それらの中から当てはまるものを選んで伝えましょう。

・ズキンズキンと脈打つ痛み
・ギクッと走るような痛み
・重苦しい痛み
・さわると痛い
・気分が悪くなるような痛み  など

『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド増補版』P35より一部抜粋(出典:短縮版『McGill 痛みの質問票』,2007)

また医療機関によっては、痛みを「0から10のうちいくつか」で尋ねたり、アンケートで尋ねて、より正確に痛みの度合いをくみ取る工夫をしているケースもあります。もしアンケート項目に症状がピッタリ当てはまらない場合は、アンケートに合わせる必要はなく、自分の言葉でありのままに伝えましょう。

普段の生活で、痛みの日記やメモをつけておく

最初に痛みを感じた日時や状況、どのような対処をしたか、そして痛みが続いた日数などを記録しておきましょう。

また体調の変化や生活習慣によっては痛み止めが効きにくい場合もあるため、旅行や運動などの趣味、多忙による寝不足や食欲不振といった生活習慣も把握しておくとなお良いです。

受診時には、痛みの感じ方を整理して伝える

いざ診察室で症状をすべて伝えようとしても、すぐには難しいかもしれません。痛みの場所や、痛みが続いた日数のほか、どんなときにどんなふうに痛かったか、また日常生活でどんなことに困っているかもメモにとっておき、医師に伝えましょう。

「痛みのため、家族と会話をするのもおっくうになる」「仕事に集中できない」「熟睡できない」など、普段どおりにできないと感じる事柄は遠慮なく伝え、完全に痛みがとれて問題なく日常生活が送れるようになるまで、何度でも相談を。

日記やメモは毎日続けることではなく、痛みの原因を探ることが目的です。そのため、違和感を感じたとき、気づいたときのみ記録できればOK。最近では、SNSやアプリを使って体調を記録する人も多いようです。

ポピュラーな症状だからこそ、日々のさまざまな不調が便秘の腹痛として現れていると捉えたいところ。きちんと体の痛みを向き合い、必要に応じた正しい治療を受けるようにしたいですね。

便秘の日常的な対策方法は、過去記事「本来は“するりと出るもの“なのに…〜便秘とは?」でも紹介していますので、合わせて参考にしてください。

【参考文献】
知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント」(『救急小冊子』 広島県医師会)
患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド増補版』(日本緩和医療学会)
わかりやすい病気のはなしシリーズ49 便秘』(日本臨床内科医会)

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