「筋トレ」は長く続けないと効果が出ない。でも、同じトレーニングを続けると飽きてしまい、なかなか継続が難しいことも……。そこで、長く続けるためには、新しいトレーニングを取り入れていくことが大切だといいます。
今回は、1960年に開催された「第17回オリンピックローマ大会」のウエイトリフティング競技に出場された窪田登氏の著書『筋力トレーニング法100年史』から、筋トレにまつわる意外な歴史を紹介します。
目次
トレーニングの歴史は、紀元前にさかのぼる

史実によると、既にエジプトでは、紀元前2500年頃から筋力を発達させる為の運動が行われていたようである。
(本書18ページ)
今から約4500年前の、紀元前2500年という太古の昔から、人はトレーニングを行っていたそうです。エジプトの他にも、アイルランドではおもりを投げる競技があったり、中国では軍人の採用選考として重いものを持ち上げさせる試験があったり、古代ギリシャ時代には、今のダンベルの原型となる「ハルテレス」も存在していたといいます。筋力を強さを競う競技や試験、そしてトレーニング器具があったところから、紀元前から筋力を鍛える何らかのトレーニングが行われていたと想像できると窪田氏は述べています。
1950年前後には今日でもなお多くのウエイト・トレーニング愛好者に親しまれているトレーニング方法が種々開発された
(本書121ページ)
本書によると、近代的なウエイト・トレーニングが始まったのは1800年代初頭のこと。ドイツ人の体育指導者、ゲーツムーツにより、ダンベル体操が広められたことをきっかけとして、その後の1950年代には現代も続けられているトレーニング方法が開発されます。そして、後に筋力と持久力を同時に発達させるためにさまざまなトレーニングを1セットずつ行う「サーキットトレーニング」など、数々のトレーニング方法が生み出されて今日に至っているのです。
正しいやり方で効率よく…という考えは、19世紀ごろから

筋肉をつけるには「厳しいトレーニングをたくさん行いさえすればいい」というわけではありません。今でこそ通説ですが、それも歴史を重ねて編み出された方法だといいます。
本書にもバーベルなどを使用したウエイト・トレーニングについて、以下のように書かれています。
どの運動においても、正しい姿勢で少回数持ち上げるやり方のほうが、不正確な方法でそれの3倍もの回数を繰り返すよりずっと効果が大きい
(本書52ページ)
また、現在でも用いられている「高負荷・低回数制」のトレーニングは既に19世紀頃から一部で採り入れられていたことになると窪田氏。
筋力トレーニングは、文字通り筋力・パワー強化を目的としたトレーニングである。この目的のために『高負荷・低回数制』のトレーニング法がよいことは、今日では広く知られるところである。
(本書80ページ)
現代の筋トレの方法が確立したのは、意外と最近だった!

トレーニングをすれば筋肉量は増える。でも、どのような方法でどれくらい? という科学的な視点で考えられ始めたのは、1950年代のこと。つまり、現代の筋トレの方法が確立してまだ100年も経っていないということなのです。
ウエイト・トレーニングへの本格的な科学のメスが加えられ出したのは、1950年頃からのことだから、まだ50年余りの歴史しか経っていないというのが実情である。
(本書119ページ)
本書は、雑誌『トレーニング・ジャーナル』で1984年~1985年に掲載された「筋力トレーニング法の系譜」に加筆修正されたもので、初版発行は2007年。本文では筋トレが確立してから「50年」と表記されていますが、現代からさかのぼると70年ほど前になります。
自分に合ったやり方を見つけることが筋力アップの近道

本書には筋トレの歴史とともに、過去に実践されていたものから現代にに至るまでのさまざまなトレーニング方法が紹介されています。また、アーノルド・シュワルツェネガー氏をはじめとした歴代の筋肉美を持つ人々の写真なども載っています。
「筋トレ」は文字通り、トレーニングをして筋肉を付けていくものですが、闇雲に行ってもうまくいかず、かえって体を傷めてしまうことにもなりかねません。自分の体の状態に合った正しい方法で、トレーニングのバリエーションを増やしながら、続けていきたいものですね。
歴史を知ればより深く、筋トレの意味を理解できるかもしれません。現在、ウエイト・トレーニングを行っている方やトレーニングの歴史について学びたい方にピッタリな1冊です。