世界の発酵食品レシピvol.22:
豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

2019.11.06


日本でもメジャーな調味料として口にする機会の多くなってきたバルサミコ酢。イタリアの食材を扱う専門店のみならず、スーパーでもさまざまな種類のバルサミコ酢を見かけるようになりました。

実は、その中で「本物のバルサミコ」と呼べるものはごく一部だということを、ご存じでしょうか。今回はおいしいバルサミコ酢の見分け方と、バルサミコ酢を使ったちょっとおしゃれな肉料理をご紹介します。

そのバルサミコ酢は「ニセモノ」かも?
おいしいバルサミコ酢の見分け方

バルサミコ酢の生まれ故郷であるイタリアでは、伝統的な製法で作られたバルサミコ酢を「アチェート・バルサミコ・トオラディツィオナーレ(Aceto Balsamico Tradizionale:伝統的なバルサミコ酢)」と呼び、原料や製法が法律で厳格に定められています。その規定の細かさは、ぶどうの品種や産地にまで指定がなされるほど!

そこまで厳しい規定ができた理由は、バルサミコ酢の価値の高さに要因があるといえるでしょう。1000年もの昔からモデナ地方で伝統的に作られてきたバルサミコ酢は、1900年代に入るに従ってその人気が加速する一方で、生産が追いつかなくなります。そこで、もっと手軽にバルサミコ酢を量産しようと、伝統的な製法とは異なる効率的な製法で作られたバルサミコ酢が世界中に出回るようになったのです。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

イタリア人からいわせると「バルサミコ酢もどき」にあたるこれらの製品、実は日本でもよく売られています。本来ぶどう果汁を熟成させることで生まれる深い真紅の色は、酢に着色料を加えただけ。砂糖や香料も添加され、本来のバルサミコ酢とはかけはなれた製品なのです。

こういった事情から、「伝統的なバルサミコ酢の製法を守ろう」と、厳しい規定が生まれることになりました。その中でも、12年または25年の熟成期間を経た2種類のバルサミコ酢だけが「DOP(Denominazione di Origine Protetta)」というEUの品質認定を受けることができ、「最高のバルサミコ酢」とされています。

ただし、DOP認定のバルサミコ酢は大変貴重で、100mlで数万円(!)はくだらないほどに高価。日本ではお目にかかる機会もそうそうありません。

そこで日常使いのバルサミコ酢としてオススメしたいのが、「IGP」という認定を受けたバルサミコ酢です。IGPはイタリア語で「Indicazione Geografica Protetta(保護指定地域表示)」という意味で、ヨーロッパ各地の特産物の品質を保護するためにEUで定められた規定です。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

IGPのバルサミコ酢の規定はDOPほどは細かくありませんが、それでもしっかりと熟成期間やぶどうの品質、製法に決まりがあります。ただ、DOPの熟成期間が12年または25年に対し、IGPは60日~3年と短いため、DOPのバルサミコ酢よりは大量生産でき、手軽に手に入る製品なのです。

IGP認定のバルサミコ酢は、日本でも手軽に手に入ります。バルサミコ酢本来のおいしさを守りながら、普段の料理に惜しみなく使える気軽さが魅力。ぶどう由来の奥深い味わいを存分に楽しめます。店頭でバルサミコ酢を求める際は、ぜひIGP認定のマークのついた商品を探してみてくださいね。

豚とりんごのバルサミコ酢ソテーの作り方

■材料(2人分)
豚ロース肉(厚切り)…2枚
りんご…1個
バルサミコ酢…大さじ3
砂糖…大さじ1
しょうゆ…大さじ1と1/2
酒…大さじ2
塩・こしょう…少々
薄力粉…適量
サラダ油…大さじ1/2
バター…10g

(好みで)葉野菜…適量

■作り方
①豚肉は赤身と脂身の境に4〜5ヵ所切り目を入れて筋切りをしておく。肉の両面に塩、こしょうを少々ふり、薄力粉を薄くはたく。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

【ポイント】
肉が縮んで形が悪くなるのを防ぐため、筋切りをしておきましょう。

②りんごは皮をむいて10~12等分に切り、芯を除く。ボウルに入れ、バルサミコ酢、砂糖を加えマリネしておく。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

【ポイント】
りんごには前もってバルサミコ酢と砂糖をまぶしておくことで浸透圧の作用で水分が出やすくなるので、火の通りが早くなります。変色、劣化を防ぐ効果も。

③大きめのフライパンにサラダ油をひいて中火にかけ、豚肉を入れ、酒、りんごを汁ごと加える。豚肉に軽く焼き目がついたらりんごも一緒に裏返し、フタをして弱火で3分加熱する。

④りんごがやわらかくなったらフタをとってしょうゆ、バターを加える。強火にしてソースを煮詰め、とろみがついたらできあがり。皿に盛り、好みの葉野菜を添える。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

【ポイント】
バルサミコ酢には肉をやわらかくする効果があります。

肉とりんごをバルサミコ酢がつなぐ
幸せな味のハーモニー

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

旬のりんごをたっぷり使った、さわやかなソテーのできあがりです。

ぶどうを原料とするバルサミコ酢とりんごは、果実同士なので相性抜群。バルサミコ酢の酸味がりんごの甘さを引き立てつつも、肉との架け橋になってくれています。

りんごと肉を一緒に食べると、カラメルに似たコクのあるバルサミコの香りとりんごのさわやかさ、豚肉のうま味が口中で溶け合い、たまらないハーモニーを奏でます。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

バルサミコ酢に含まれる酢酸には肉の筋繊維をほぐし、保水力を高める作用があるので、一緒に調理することで肉をやわらかくしてくれます。安いかたまり肉を煮込み料理にする際などは、隠し味にバルサミコ酢を加えると肉がやわらかくなるばかりか、ほのかな酸味と複雑な風味でおいしさをグッと格上げしてくれますよ。

ぜひ、IGP認定された「本物のバルサミコ酢」を普段の料理に取り入れてみてくださいね。伝統に裏打ちされた極上の味わいで、食卓をより豊かなものにしてくれるはずです。

世界の発酵食品レシピvol.22:豚とりんごのバルサミコ酢ソテー

このレシピの監修者

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よしもとこゆき

世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。http://table411.net/

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