眠ったはずなのにすっきりしない……。そんな悩みの理由は「十分な睡眠時間がとれない」「時間はあるけれど眠れない」「交代制勤務で決まった時間に眠れないなど」など、人によってさまざまですが、誰もが「自分の睡眠を改善したい!」と思っているのではないでしょうか?
今回は「眠り」を改善したいみなさんに、元寝具メーカー勤務で快眠セラピストの三橋美穂氏が、睡眠について20年間以上研究してきた中で見つけた、誰でもすぐに実践でき、効果がある睡眠トレーニングメソッドの指南書『眠トレ!―ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』をご紹介します。
目次
よい睡眠は「長さ」×「深さ」から

本書で三橋氏は、よい睡眠とは「長さ(量)」だけではなく「深さ(質)」が大切だといいます。眠りにはノンレム睡眠とレム睡眠がありますが、レム睡眠中は記憶を整理・定着させ、心の疲れを癒やす一方、ノンレム睡眠中は脳を休ませ、成長ホルモンの分泌を促し、疲労回復効果があるといいます。
睡眠時間の確保はできたとしても、眠りを深くするにはどうすればいいのでしょうか? 眠りが深まるには「基本ルールがある」と三橋氏。
(本書20ページ)
- 体内時計を整える…規則正しい生活を心がける
- 日中は活動的に過ごす…眠気のもとになる「睡眠物質」を脳にためる
- 体温のメリハリをつくる…就寝前に体温をあげておいて、睡眠中に下がると熟睡度UP
- 就寝前はリラックスする…心身を落ち着かせて眠りに入る
- 寝室を快適な環境にする…快眠できる快適な環境を整える
どれも基礎的なことに思えますが、実践するとなると意外と大変だったりしますよね。そこで、本書で提言されている、ぐっすり眠り目覚めるための方法の中からいくつか紹介します。
眠トレ:「自分にとってのベストな睡眠時間を知る」

人それぞれに最適睡眠時間がある。短すぎても長すぎてもダメ。
(本書101ページ)
睡眠については、一般的に7時間~8時間くらいが健康リスクが少なく、最適な人が多いといわれていますが、実際は最適睡眠時間には個人差があるといいます。三橋氏によると、「1週間ごとに睡眠時間を変えていく」ことで自分の最適睡眠時間が見えてくるのだそうです。
例えば、1週目は8時間睡眠をとり、日中のパフォーマンスや疲れ、眠気、集中力などを確認します。2週目は7.5時間、3週目は7時間というように睡眠時間を変え、自分の体調がよい状態を見つけるという方法です。
入眠までの時間が短ければいいという訳ではなく、たくさん寝ればいいという訳でもない。次の日にすっきり過ごせる睡眠時間をまずは見つけることで、睡眠が乱れた時にも立て直しが可能になります。
眠トレ:「戦略的に『仮眠』と『早寝』を取り入れる」

最適睡眠時間が足りない場合でも、週末の寝だめはNG。「仮眠」と「早寝」が有効なのだそう。
ランチのあとにコーヒーを飲み、椅子に座って15分間目を閉じるだけ
(本書120ページ)
昼休みなどちょっとした時間にもできる仮眠。横になる必要はなく、視覚から入る情報を遮断するだけでも、十分脳の休息になるといいます。決まった時間に仮眠を取り入れることで午後のパフォーマンスが上がる可能性があります。
週の半ばに早寝をすることも平日の睡眠不足を補うには有効な方法です。
(本書121ページ)
週の前半にたまった睡眠の不足を取り戻すのに絶好のチャンス。「仮眠」と「早寝」を上手に取り入れたいですね。
眠トレ:「夕食よりも朝食を重視する」

体内時計の観点からは、朝食:昼食:夕食の割合は「4:3:3」または「3:4:3」が理想とされています。
(本書28ページ)
睡眠には食事の量も大きく関わってくるといいます。夕食よりも朝食のボリュームが多ければ朝型に、朝食より夕食のボリュームが多ければ夜型に。体内時計を整えて、朝にすっきり目覚めるためには、朝にしっかり食べる生活にしていく必要があります。
眠トレ:寝つきが悪い時には…

加齢と共に寝つきにかかる時間は増えるそうですが、作者の三橋氏が自身で試してみて、寝つきがよくなった方法も紹介されています。
(本書107ページ)
- 入浴のタイミングを早くする
- 4-7-8呼吸法&カウントダウン法
- リラクセーション音楽を聴きながら眠る
- 耳栓をする
- 電動ベッドで中立姿勢をとる
- 夕食を早めに軽くとる
「4-7-8呼吸法」とは息を吸ったり止めたりしながら、数を数える方法。「カウントダウン法」は目をつむって100から1つずつ数を減らして数える方法で、すべて本書で紹介されている眠トレです。人によって合うものは違うので、自分にピッタリな方法を探しましょう。
よい睡眠を自分にプレゼントできるのは自分だけ

睡眠不足は、記憶力、集中力、判断力、洞察力、コミュニケーション力、感情のコントロールにも関係し、自律神経の働きが鈍ると身体機能が低下し、肥満につながることもあるのだとか。
本書では、睡眠の質を高める32の眠トレ、忙しいビジネスパーソンや冷え性、子どもなどのケース別に、戦略的に眠る18の眠トレ、中途覚醒や更年期、頻尿など眠りの悩みを解決する16の眠トレの併せて66の眠トレが紹介されています。
「眠トレ」といっても、毎日つらくても続けなくていけないトレーニングというわけではなく、心がけたり、少し気をつけるだけでできることもありますので、まずはできることを少しずつ行って、睡眠の質を高めていきたいですね。
よい睡眠を自分にプレゼントできるのは自分だけなのですから。