世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

2019.09.27

イタリアの人々にとって、バルサミコ酢は日本の味噌やしょうゆのように食卓に欠かせない存在だそうです。それもそのはず、長期間熟成されたバルサミコ酢には深いコクと豊かな風味があり、シンプルな調理法でも食材のおいしさを引き立ててくれるのです。洋食に限らず使い勝手のいいバルサミコ酢について知り、普段の食卓を手軽にランクアップさせましょう。

「高貴な酢」と呼ばれた
バルサミコ酢の歴史

バルサミコ酢とは、ぶどうを原料にした果実酢の一種。煮詰めたぶどうの果汁を伝統的な製法によって木樽で長期間熟成させて作ります。最高峰とされるランクのバルサミコ酢は、最低でも12年もの熟成期間が必要とされています。

伝統的なバルサミコ酢の生産地として知られているイタリア・モデナ地方は、11世紀からバルサミコ酢を製造していたと言われています。歴史の中でもバルサミコ酢は貴重な食材とされ、国王や教皇への贈り物として用いられるほどの高級品。また、貴族階級の間では花嫁の「最高の嫁入り道具」とされていたそうです。西洋の人々にとって、バルサミコ酢は最高級の贈り物だったのです。

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

日本でもバルサミコ酢は、「高級な酢」というイメージが強いかもしれません。たしかに一般的に使われている穀物酢と比べると値段が張りますが、「酢」ではなく「調味料」として考えるとどうでしょうか。

バルサミコ酢の大きな特徴は、その長い熟成期間にあります。うま味のもととなるアミノ酸は熟成期間が長いほど増加し、味わいを深めていきます。そのためバルサミコ酢には深いコク、豊かな風味があり、ひとさじ加えるだけで料理の印象をガラリと変えてくれます。ただ「酸味」を加えるだけでなく、料理をグッとおいしくする優れた調味料なのです。

使い方も難しくはありません。酸味がおだやかなので、味噌やしょうゆのように調味料の一種として気軽に加えてみてください。ドレッシングはもちろん、肉料理のソースや煮込み料理のアクセントに、またジャム感覚でアイスクリームにかけてみるのもオススメです。

今回はいつもの酢をバルサミコ酢に替えた酢豚の作り方をご紹介します。新鮮なおいしさにビックリしますよ。

バルサミコ酢豚の作り方

■材料(2人分)
豚ロース肉(かたまり)…200g
赤・黄パプリカ……各1/2個(どちらかを1個でも可)
ズッキーニ……1/2本
酒…大さじ1
塩・こしょう…各少々
しょうがの絞り汁…小さじ1
片栗粉…大さじ1
サラダ油…適量

<タレ>
バルサミコ酢…大さじ3
しょうゆ…大さじ1
砂糖…大さじ1
酒…大さじ1
片栗粉…小さじ1
塩…ひとつまみ

(あれば)ねぎ…3cm分

■準備
・豚ロース肉は一口大に切る。パプリカは乱切り、ズッキーニは縦半分にして1cmほどの厚みに切る。
・タレの材料は混ぜ合わせておく。
・あればねぎを繊維に沿って千切りにして水にさらし、白髪ねぎにしておく。

■作り方
①ボウルに豚ロース肉、酒、塩、こしょう、しょうがの絞り汁を入れ手でもみ込む。5~10分ほどおいたら片栗粉を加え、もみながら肉の全体に片栗粉を定着させる。

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

【ポイント】
調味料をもみ込むことで肉にしっかり下味がつき、
食感もやわらかになります。

②中華鍋もしくはフライパンにサラダ油を2~3cmほど注ぐ。中火にかけ、油の温度が170度(菜箸を入れたら泡が上がってくるくらい)になったら野菜を入れる。上下を返しながら軽く焦げ目がつくまで揚げ、ザルなどに上げて油を切っておく。

③豚肉の余計な粉を払い、同じ鍋で揚げていく。170度の油に入れ、上下を返しながらきつね色になるまで揚げたら、ザルなどに上げて油を切っておく。

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

【ポイント】
肉と野菜を別々に揚げることで、それぞれが最適な火の通し具合に。

④鍋の油を取り除き、キッチンペーパーで軽く拭き取る。鍋に<タレ>の材料を入れ中火にかけ、ふつふつと沸いたらすぐに肉を加えて火を止める。混ぜて肉全体にタレが絡んだら野菜と一緒に皿に盛り、白髪ねぎを飾って完成。

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

【ポイント】
タレの材料はあっという間に煮詰まってしまうので、すぐに肉を入れて火を止めましょう。野菜はここで混ぜずに後から盛ることで、色鮮やかに仕上げます。

まろやかな酸味と深いコク!
いつもの酢豚をおめかし気分で

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

バルサミコ酢の芳しい香りがなんとも食欲をそそる、バルサミコ酢豚の完成です。素揚げした野菜を後から盛ることで、食感もよく、色鮮やかに仕上げました。

見た目だけでなく味もいつもの酢豚を「おめかし」したような新しいおいしさ。バルサミコ酢をたっぷり加えたのに酸味はおだやかで、ぶどうのコクと甘みがじわ~っと広がります。鼻から抜けるバルサミコ酢の香りにうっとり酔いしれてしまいそう。

酸味が豚の脂をさっぱり感じさせ食欲が増してよりおいしく食べられ、また、酸によって唾液の分泌が促されます。肉料理には積極的にバルサミコ酢を取り入れたいですね。

伝統的な製法で、その高貴なおいしさを守り続けてきたバルサミコ酢。味噌やしょうゆのような感覚で、気軽に料理に取り入れてみてくださいね。味付けのバリエーションが広がりますよ。

世界の発酵食品レシピvol.21:バルサミコ酢豚

【参考文献】
「唾液緩衝能」(Quint Dental Gate)

このレシピの監修者

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よしもとこゆき

世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。http://table411.net/

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