世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビーとマッシュルームの和風タルトフランベ

2019.08.20

古代ギリシャの時代からヨーロッパの人々に愛されてきた発酵食品・アンチョビー。チーズやみそなどの菌を使った発酵食品とは異なるプロセスで発酵させているとご存じでしょうか。

その秘密を知れば、うま味たっぷりのアンチョビーを毎日の食卓に取り入れたくなるはずです。

酵素の力でうま味を引き出す!ヨーロッパの伝統食材・アンチョビーの秘密

アンチョビーとは、カタクチイワシを塩漬けにして水分を抜き、オイル漬けにした保存食です。その原型は古代ギリシャの時代に生まれた「ガルム」という魚醤だと言われ、ヨーロッパではとても歴史の古い食材です。塩気とうま味が強く、料理の風味づけによく用いられます。

このアンチョビーも、発酵食品の仲間のひとつ。ですが、ヨーグルトやチーズ、みそなど菌の力で熟成を進める発酵食品とは発酵のプロセスが大きく異なります。

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

魚介類の内臓や筋肉には、組織を分解する酵素が含まれています。魚が死んでしまうと、この酵素の働きを制御できず、タンパク質をアミノ酸に分解する「自己消化」という働きが生じます。アンチョビーや魚醤、塩辛などの海鮮系の発酵食品は、この「自己消化」によって熟成されているのです。

酵素の力で、腐敗の原因となる微生物の発生を抑制して保存性が高まるとともに、うま味成分も大幅に増加。少量加えるだけで料理を格段においしくしてくれます。今回は、発酵によってうま味が引き出されたアンチョビーを使った気軽な前菜を作ってみましょう。

アンチョビーとマッシュルームの和風タルトフランベの作り方

■材料(2人分)
冷凍パイシート…1枚
マッシュルーム…4~5個
アンチョビー…15g
青ねぎ(小口切り)…適量
マヨネーズ…大さじ1
みそ…小さじ1
こしょう…少々
オリーブオイル…適量

■準備
・冷凍パイシートは使う30分以上前に冷蔵庫に移して解凍しておく。
・マッシュルームは軸を切り落として縦薄切りにする。
・オーブンを200℃に予熱する。

■作り方
①作業台やまな板に薄力粉(分量外)をふってパイシートを置き、およそ2倍(3mmの厚さが1.5mmになる目安)になるまで、めん棒でのばす。ふちをフォークの背で抑える。

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

【ポイント】
パイシートは1.5mmの厚さまで薄くのばしてください。形は長方形でも正方形でも、お好みで。

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

【ポイント】
パイ生地がふくらみすぎないように、ふちをフォークで押さえておきましょう。

②マヨネーズとみそ、こしょうを混ぜ、パイ生地の全面に塗り広げる。マッシュルームを並べ、アンチョビー、青ねぎを全体に散らす。オリーブオイルを全体にふりかける。

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

【ポイント】
マッシュルームは焼くと水分が飛んで縮むので、少し重なるようにぴっちりと並べてください。仕上げにオリーブオイルを少量ふりかければ、パリッとこうばしく焼き上がります。

③200℃のオーブンで約10分、またはトースターでパイ生地がきつね色になるまで焼いたらできあがり。

サクッと軽やかな食感とアンチョビーの塩気で、アペタイザーにピッタリ!

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

オーブンから漂うこうばしい香りに、焼き上がる前からおなかが鳴ってしまいそう! アンチョビーのうま味とマッシュルームの香り、パイ生地のサクッとした食感の調和が絶妙なおいしさです。

「タルトフランベ」とは、フランスアルザス地方の郷土料理。薄焼きのピザのような生地にクレームフレーシュ(サワークリームの一種)を乗せて焼いたものですが、手に入りやすい冷凍パイシートとみそ&マヨネーズでアレンジしました。アンチョビーとみそ、和と洋の発酵食品がつながり、不思議なほどにマッチ。ぜひ試していただきたい組み合わせです。

アンチョビーのキリッとした塩気は、どんなワインとも相性抜群。フランス流にアペリティフ(食前酒)を決め込んで、ご機嫌な1日を過ごしてみませんか。

【参考文献】
岡崎尚「水産加工品の製造(2)」(『水産と海洋』第21号 2012年3月 広島県立総合技術研究所・水産海洋技術センター)

世界の発酵食品レシピvol.20:アンチョビとマッシュルームの和風タルトフランベ

このレシピの監修者

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よしもとこゆき

世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。http://table411.net/

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