意外と知らずに食べている!? ヨーグルトとビフィズス菌との関係性とは?

2019.06.28

お店の乳製品売り場に行くと、さまざまな種類のヨーグルト製品があります。皆さんがヨーグルトを選ぶ基準はどのようなポイントでしょうか? 「ビフィズス菌」と書いてあるものを見ると、「体によさそう」とか「おいしそう」と感じてなんとなく手に取ってしまう…という方も少なくないのではないでしょうか。今回はビフィズス菌とヨーグルトとの関係について解説します。

ヨーグルトには、必ずビフィズス菌は入っている?

意外と知らずに食べている!? ヨーグルトとビフィズス菌との関係性とは?

生まれて間もないころからわたしたちの腸内に存在している「ビフィズス菌」。ヨーグルトや乳酸菌飲料などのパッケージなどでたびたび見かけるため、乳酸菌の一種…と思われがちですが、厳密は別の細菌です。『世界大百科事典』の「乳酸菌」の項目では次のように解説されています。

糖を分解して乳酸を産生することによってエネルギーを獲得する細菌の総称。数属にまたがる多くの種を含む。乳酸菌は,食品工業,発酵工業の分野で,乳酸飲料,チーズ,バターなどの生産その他に関与しており,このような分野では,糖を分解して主として乳酸を産生する細菌をすべて乳酸菌と呼ぶ傾向がある。たとえば,ビフィズス菌属Bifidobacteriumは,分類学上は放線菌目アクチノミセス科に属しているが,乳酸菌製剤として市販されている。これは,ビフィズス菌が長年にわたって乳酸杆菌属Lactobacillusに属すると考えられていたためでもある。

「乳酸菌」(『世界大百科事典』)より抜粋

乳酸菌は発酵のために必ずヨーグルトに入っているのに対し、ビフィズス菌が入っていない製品も少なくありません。それでは、あえてビフィズス菌を加えているものには、どんなメリットがあるのでしょうか。

乳酸菌とビフィズス菌との違いは?

意外と知らずに食べている!? ヨーグルトとビフィズス菌との関係性とは?

乳酸菌とビフィズス菌はどちらも糖を分解して「乳酸」をつくり出しますが、ビフィズス菌はそれに加えて「酢酸」や「ビタミンB群」などもつくり出すのが特徴です。

酢酸は乳酸よりも殺菌力が高いため、腸内の悪玉菌の抑制に効果的といわれているほか、O157の感染防止、免疫力アップ、ガン予防、花粉症などのアレルギー症状の改善などに効果があるという研究結果も報告されています。

また、それ以外の特徴としては、乳酸菌は“自然界に広く生息”しているのに対しビフィズス菌は“主にヒトや動物の腸管に生息”していたり、乳酸菌の形は“球状や棒状”であるのに対しビフィズス菌の形は“分岐した棒状”であったりと、細かな違いもあります。

ビフィズス菌にも種類がある

ビフィズス菌にもさまざまな種類があり、いまのところ32菌種に分類されています。そのなかでも、ヒトの腸内(便)から分離されるビフィズス菌は7~8菌種、1人あたり2~4菌種が検出されるといわれています。ビフィズス菌と一口にいっても、菌種によって酸や酸素への耐性や増殖の安定性、香りなどが異なるため、メーカーではそれらの特徴を考慮して菌株を選定しているのです。

身近な存在ですが、実は奥が深い「ビフィズス菌」。加齢とともに腸内から減少していき、同時に体にさまざまな悪影響を及ぼす悪玉菌が増えることもわかっています。

ビフィズス菌入りのヨーグルトをタネに、自家製ヨーグルトを作ったら…?

意外と知らずに食べている!? ヨーグルトとビフィズス菌との関係性とは?

さらにビフィズス菌には、酸素を嫌う「偏性嫌気性菌」という特徴もあります。酸素のある状況では増殖できないため、自家製のヨーグルトには基本的にビフィズス菌は入っていないと考えてよさそうです。

各メーカーでは、原料の牛乳を加熱殺菌して酸素の溶け込みを減らしたり、酸素を消費する性質の乳酸菌を一緒に使用したり、酸素の透過性が少ない容器を使用したりといったさまざまな工夫を凝らしています。

“ビフィズス菌が生きて届く”とうたう製品もよく見かけますが、その裏にはメーカーの並々ならぬ努力があるのです。

【参考文献】
ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください。」(公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会 Japan Bifidus Foundation (JBF)/Intestinal Microbiology)
ビフィズス菌の細菌学的特性とその利用」(一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会 発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会)

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