親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?

2019.06.28

腸内環境を左右して健康にも大きく関係する「菌」。そのなかの「発酵菌」が持つ作用で、納豆や漬物など私たちの生活に身近な食品を作り出す「発酵」。

今回は「菌」や「発酵」について小学生向けに分かりやすく解説した『夏休み! 発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』をご紹介します。さまざまな発酵食品を自由研究気分で楽しく学びながら作れる一冊です。

親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?
『夏休み! 発酵菌ですぐできる おいしい自由研究』/小倉ヒラク 著/あかね書房

そもそも「菌」ってナニ?

著者の小倉ヒラクさんは「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする『発酵デザイナー』」。アートディレクターから転身して、東京農業大学の醸造学科研究生として醸造学を学び、一般向け講座で発酵学の講師としても活躍する異色の経歴の持ち主です。本書の冒頭、子どもたちに向けて小倉さんは菌についてこう語ります。

菌はどこにでもいる。空気のなかにも、土のなかにも、水のなかにも、さむい北極にも、あつい火山のなかにも、みんなのからだのなかにも、からだの表面にもいる。菌は、とにかくいっぱいいる。たとえば、みんなの口からツバをとってみると、1グラムあたりのツバに、100,000,000(1億)びきくらいいる。

(本書3ページ)
親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?

キノコのように目に見えるサイズの菌類もありますが、目に見えない小さな菌のなかには太陽の光がなくても生きていけたり、空気が無くても平気なものもいて、地球のあらゆるところに生息しています。私たちは菌と共生しているのですね。

菌は、生きもののからだを細かく細かく分解して、別のモノに組みかえているんだ。たとえばきのこは、木を分解して土や水や大気にもどすはたらきをしている

(本書3ページ)

菌には大きく分けて「人間に役立つ菌」と「害を与える菌」があるといいます。役立つ菌は私たちの体内で食物を分解してくれるだけでなく、物を発酵させて栄養を高めたり、保存が利くようにしてくれます。

動物や植物にも、いろいろな種類がいるように菌にもいろいろな種類がいる。でも、この本では、つぎの2種類にわけて扱うよ。人間の役に立つ菌=発酵菌 人間に害をあたえる菌=ばい菌

(本書4ページ)

親子で発酵菌を“育てて”みよう

親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?

本書では「自由研究」と銘打たれているように、親子で一緒に菌を育てて、発酵食品を作る方法を紹介しています。扱う菌は「乳酸菌」「納豆菌」「こうじ菌」「酵母菌」です。

そのなかで、一番手軽にできるのが「乳酸菌」を使ったヨーグルトの作り方。その材料はたったこれだけです。

材料(ヨーグルト500グラム分)
 牛乳:500ミリリットル
 プレーンヨーグルト:大さじ2

道具
 ふた付きガラスびん
 温度計
 鍋

あると楽しい道具
 リトマス試験紙

(本書12ページ)

作り方は本書をご覧いただくとして、準備にかかる時間は約20分。準備を済ませてから5~6時間経つと牛乳の様子が変わるのが見えるそうです。室温が20度前後なら20~24時間、30度近い場合は12時間くらいでヨーグルトが完成! トロリとしてコクのあるヨーグルトができたということは、乳酸菌がしっかり働いてくれた証拠です。

液体だった牛乳が、なめらかな舌触りと爽やかな酸味を持つヨーグルト変身できたのは乳酸菌による発酵のおかげ。できあがったヨーグルトをタネにして、牛乳を発酵させればまたヨーグルトが作れます。また、リトマス試験紙を用意しておけば、中性だった牛乳が乳酸菌による発酵で酸性のヨーグルトになることを色の変化で確かめられますよ。

こんな風に、発酵菌を使った食品を手軽に作れるレシピが分かりやすく紹介されています。一番簡単なヨーグルトに成功したら、こうじ菌が活躍するみそ、しょうゆ、お酢などにも挑戦していけば、お子さんオリジナルの調味料作りも!

私たちは菌と生きている

親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?

発酵菌となかよくなれば、おいしい食べものをつくることもできるし、ゴミを土にかえすこともできる。逆にやり方を間違えれば、食中毒や病気になってしまう。

(本書63ページ)

昔から人間は発酵菌の働きを知り、生活に取り入れて上手に付き合ってきました。しかし、多くの恩恵を受けているにもかかわらず、私たちは菌について知らないことがあまりにも多いのではないでしょうか。もっと菌を身近に感じることができれば、自ずと腸内や体内の環境にも目を向けることができるようになりそうです。

ぼくがこの本でつたえたいのは、「見えない生きものたちがぼくらのくらしをささえてる」ということ。

(本書63ページ)

小倉さんが「21世紀になってからたくさんの研究者が発酵の力に注目している」と述べているように、最近では研究者だけでなく、一般の人々の間でも腸内細菌への注目が集まっています。腸内環境を整え、健康を維持するためにも「菌」について理解し、よい菌を体に取り込めるようにしていきたいですね。

自由研究の“タネ”にも、大人の入門書にも

親子で学んで味わえる! 今年の夏の自由研究テーマに「発酵」はいかが?

本書『夏休み! 発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』はその名の通り、菌を使った自由研究のヒントが詰まっています。菌を育て、その発酵作用を利用しておいしい食べものを作ることで、目に見えず、その存在や働きが分かりづらい「菌とは何か?」という疑問を、親子で体験しながら理解できます。

乳酸菌を育てて手軽に作れるヨーグルトから、納豆、みそ、甘酒、ちょっと手強い酵母菌を育てるパン作りまで、その準備から、発酵のメカニズム、実際に発酵菌を使って発酵させるときの手順やポイントが豊富なイラストや写真、分かりやすい文章で紹介されています。発酵がうまくできなかったときに考えられること、やれることも丁寧に説明され、読んでいるだけでも楽しい一冊です。

小学生向けの本ではありますが、発酵について知りたい、試してみたい、発酵食品を作ってみたいという大人の入門書としてもピッタリです。

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