世界の発酵食品レシピvol.15:鶏とピータンの中華粥

2019.06.28

中華前菜でおなじみのピータンですが、日本の家庭の食卓で見かけることはあまりないかもしれません。実は、ピータンは非常に栄養価の高いスタミナ食材。普段の食卓にも取り入れられたらうれしいですよね。今回は、食欲がないときに活躍する、鶏とピータンの中華粥の作り方をご紹介します。

瀕死の知事を救った?
栄養豊富なピータンの伝説

ピータンは栄養豊富で消化吸収もよく、滋養のある食べ物として古くから親しまれています。中国にはピータンの由来にまつわる伝説が、たくさん残されています。その1つには、栄養豊富だったことが伝わるお話も。

明王朝の天啓(1621〜1627年)のころ、現在の浙江省の湖州一帯で大飢饉が発生。湖州の知事が民を救うため倉の食糧を払い下げると、土地の豪族は反発し「大衆を救う名目で汚職をしている」と無実の知事を告訴しました。知事は投獄され、豪族と内通した看守から食事も与えられずあわや餓死寸前に。

知事の無実を信じた「陳」という名の百姓が、ある日アヒルの巣を掃除しているとき、糞と籾殻の中から変色した卵を見つけます。洗って殻をむき、思い切って食べてみると……意外にもこれが美味。この卵を知事へと差し入れると、思惑通り、卵の味を知らない看守は知事に与えます。後日、無実が証明され、この卵のおかげで一命を取り留めた知事は陳さんを招いて作り方を教わり、湖州でその作り方が広まりました。土地の人たちは敬意を込めて「陳卵」と呼んだといいます。

このほかに、「1319年に出版された『农桑衣食撮要』に“鴨蛋”として作り方が載っていた」「明代末期の『養余月令』で“牛皮鴨子”として載っている」など、起源についての説はさまざま。何にせよ古の時代から、中国の人々にとってピータンは栄養豊富な食物として重宝されてきたに違いありません。

滋養があり、風味豊かなピータン。お店で食べるだけでなく、気軽に食卓にも取り入れてみませんか。

世界の発酵食品レシピvol.15:鶏とピータンの中華粥

鶏とピータンの中華粥の作り方

■材料(4人分・作りやすい分量)
米…1合
水…6カップ
鶏むね肉…1/2枚
ピータン…2個
しょうが…1片
小ねぎ…適量
ごま油…大さじ2
鶏ガラスープのもと(顆粒)…大さじ1
塩・こしょう…適量

■準備
・鶏むね肉は皮をとって約1.5cm角に切り、塩・こしょう少々をまぶす。
・ピータンは約1.5cm角に切る。しょうがはみじん切りにする。小ねぎは小口切りにする。
・米はといでざるにあけ、水けを切っておく。

■作り方
①フライパンにごま油、しょうがを入れて中火にかけ、香りがたったら米を加えてさっと炒める。

【ポイント】
米は炒めることで油でコーティングされ、煮込んでも粒がつぶれずふっくら仕上がります。

②米に油がなじんだら、鶏むね肉、水、鶏ガラスープのもと、塩ふたつまみを加え鍋の底をひと混ぜし、強火にする。沸騰したら弱火にし、40分煮込む。ふたはせず、水が減って米が見えるようであればその都度水を足す。

③火を止め、ピータンを加えてひと混ぜする。塩・こしょうで味を調えて器に盛り、青ねぎを散らせばできあがり。

【ポイント】
ピータンは最初から入れると煮崩れてしまうので、できあがりの直前に混ぜ込みましょう。

朝食や体調不良時にぴったり!
おなかの中から元気になるスタミナ粥

時間をかけて丁寧に煮込んだ粥は、米の優しい甘さが引き出されています。そこにピータンのまったりとしたうま味と塩気が加わり、絶妙なおいしさに。あっさりとしているのに食べごたえがあり、朝に食べたら1日元気に活動できそう!

中華粥は中国の一般的な朝食ですが、中でもピータン粥は人気が高いそう。熟成したことで通常の卵よりも栄養価が高くなったピータンは、ビタミンAや鉄分に優れ、消化吸収を促進。風邪や二日酔いなど、調子が優れない際の食事に最適です。

栄養豊富なピータンを、お店でしか食べないなんてもったいない。普段の献立にも取り入れて、食欲が落ちる夏の栄養補給に役立ててくださいね。

【参考文献】
潘山鹰『神奇的皮蛋』(Beijing Book Co. Inc. 2013年)
味蕾「【美食典故】松花皮蛋的由來」(大紀元)

このレシピの監修者

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よしもとこゆき

世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。http://table411.net/

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