世界の発酵食品レシピvol.12:豆苗とにんにくの腐乳炒め

2019.04.15

美食の国・台湾や中国の人々にとって欠かせない調味料である「腐乳」。麹に豆腐を漬けて発酵させた調味料で、炒め物や揚げ物、鍋のつけダレなどに愛用されています。クセも少なく、味噌やしょうゆのような気軽さで使える隠れた万能調味料です。今回は腐乳を使って、中華料理の定番である青菜の炒め物を作ります。

「腐る」「乳」と書いて「腐乳」

名前からは、一体どんな食べ物だろうと思ってしまいますが、中国や台湾ではおなじみの食材。豆腐を発酵させたもので、言うなれば豆腐版チーズ。味もチーズのようにまったりとしてコクがあります。

発酵によってたんぱく質が分解されうま味成分であるアミノ酸に変わるので、複雑で奥深いうま味があるのです。そのため、料理の調味料として使うとたちまち料理をおいしくしてくれますし、腐乳をちびちびとつまみながら飲むお酒も格別です。

腐乳の歴史は古く、中国では1000年以上も前から食べられていたと考えられています。豆腐を麹と一緒にカメに漬けて発酵させるのが伝統的な作り方で、紅麹で発酵させた赤い腐乳は「紅腐乳」と呼ばれます。

この腐乳、日本にも似たような食材があることにお気づきでしょうか。そう、沖縄の「豆腐よう」ですね。島豆腐を麹や泡盛に漬けて発酵させた豆腐ようも、腐乳の仲間。古くに中国より伝来した食べ物なのです。

琉球王朝時代の医師、渡嘉敷通寛は食医学の本に豆腐ようを「香しく美にして胃気を開き、食を甘美ならせむ諸病によし」 と記しています。たんぱく質やビタミンを含み滋味豊かな豆腐ようは、高貴な人々の間で病後の滋養食としても重宝されたそうです。

長期間保存がきき、栄養豊富でおいしいといいことづくめの腐乳。食卓の新定番として、取り入れてみたい調味料のひとつになりそうですね。

豆苗とにんにくの腐乳炒めの作り方

■材料(2人分)

  • 豆苗…1袋(正味85g)
  • にんにく…1片
  • 赤唐辛子(輪切り)…適量

<調味料>

  •  腐乳…1かけ(10g)
  •  酒…大さじ1
  •  鶏ガラスープの素…小さじ1
  •  こしょう…少々

  • サラダ油…大さじ1

■準備

  • 豆苗は根の部分を落として半分に切る。
  • にんにくは薄切りにする。

■作り方

①ボウルに<調味料>の材料をすべて入れ、混ぜ合わせる。

【ポイント】
強火でさっと短時間で炒めたいので
調味料は事前に混ぜ合わせておきましょう。ムラなく味がつきます。

②炒め鍋にサラダ油とにんにくを入れ、弱火にかける。にんにくが色づいてきたら火を強め、豆苗、赤唐辛子を加える。

③油が全体に回ったら①を加えて手早く炒め、火を止める。味をみて塩気が足りないようだったら塩を適量加える。

コクがあるから味が決まる。
腐乳があれば青菜の炒め物が
得意料理に!

しゃきっとした豆苗の食感に、にんにくの香り、そして腐乳のまろやかなうま味――シンプルなのに、目が覚めるようなおいしさの青菜の炒め物が完成!

中華料理店ではおなじみの一品ですが、しょっぱかったり味気なかったり、当たりはずれのあるメニューでもあります。青菜の味の強さによって塩分を加減しなければいけないので、簡単なようで実は難しい料理なんです。

そこで活躍するのが、腐乳! 塩の代わりに腐乳で味付けすることで、まろやかな塩味と発酵由来のうま味成分が加わり、しょっぱすぎたり味が足りないなんてことがなくなるんです。使う腐乳によって塩分は変わりますので、まずは少量で味付けして、最後に味見をして加減するのがおすすめです。

中国から海を渡って伝わってきた調味料、腐乳。なじみの薄い食品ですが、ひとたび使ってみればとりこになるはず。炒め物や肉料理の下味、汁ものの調味料として、気軽に取り入れてみてくださいね。

【参考文献】
包啓安「中国の乳腐」(公益財団法人 日本醸造協会『日本釀造協會雜誌』82巻3号 1987年)
安田正昭「豆腐ようと紅麹(1)」(公益財団法人 日本醸造協会『日本釀造協會雜誌』78巻11号 1983年)

このレシピの監修者

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よしもとこゆき

世界にもっと、「おいしい」魔法を広めるため、レシピ開発やスタイリング、飲食店プロデュースなど食に携わる仕事を中心に、デザインやイラスト、コラムの執筆など幅広く活動中。http://table411.net/

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