意志では動かせない腸をコントロール!〜自律神経と便秘の関係とは

2019.03.29

季節の変わり目に、おなかの不調を感じた経験はありませんか? 寒暖差などで体がストレスを受けやすい今の時期は、自律神経のバランスが乱れやすく、それがもとで便秘や下痢など、腸のトラブルを引き起こしてしまうことも少なくありません。今回は、自律神経が排便に及ぼす影響について解説します。

腸をコントロールする自律神経

わたしたちの全身に張りめぐらされ、各部分に情報を送るネットワークの役割を担っている「神経」は、脳や脊髄にある「中枢神経」と、全身にある「末梢神経」の大きく2つに分けられます。

自律神経とは

末梢神経のうち消化器・血管系・内分泌腺・生殖器などの活動をつかさどっているのが「自律神経」です。体の活動力を高める「交感神経」と体をリラックスさせる「副交感神経」から成り立つ自律神経は、同じ末梢神経の運動神経とは違い、人間の意志とは無関係に働いているのが特徴です。

自律神経の調子が腸の働きにも影響を与える

胃腸の消化・吸収は、副交感神経が優位のときに促進され、交感神経が優位のときに抑制されることで正常に機能しています。しかしストレスなどの要因で自律神経のバランスが崩れると、腹痛や下痢、便秘などのおなかの不調を起こしやすくなります。こうした症状は「過敏性大腸管症候群」「痙攣性便秘」と呼ばれ、通常の検査では体の器質的な異常が見つからないことが多いため注意が必要です。

さらにストレスが慢性的になるとストレスホルモンが放出され、脂肪が体内にため込まれて肥満になったり、反対に痩せたりする人もいます。過食や拒食につながることもあるので、日ごろからなるべくストレスはためないように生活するように心がけましょう。

自律神経と排便の関係

ところで、わたしたちが食べたものが便となって排泄されるまでには、体内ではどんなことが起こっているのでしょうか。摂取した食物は、食道・胃・十二指腸・小腸を通りながら栄養分が消化吸収され、残ったものは「水様便(水分が90%以上の便)」となって大腸に移動します。そこから水分が徐々に吸収されて便が形成されると、S状結腸にしばらく留まり、1日に1~3回起こる大きなぜん動運動(大ぜん動)によって直腸に移動。やがて便意を感じるようになり、体外に排泄されていきます。

自律神経はこうした一連の流れのほとんどをつかさどっています。つまり、自分の意志でコントロールすることはほぼできないのです。わたしたち自身が意識できることといえば、食生活に気をつけること(一定量の食事・食物繊維を摂る)と、排便のときにうまく腹圧をかけること、そして便意を我慢すること程度なのです。

自律神経のバランスを整えるには?

ただし、自律神経のバランスを整えてうまく働かせるために意識できることならあります。交感神経と副交感神経は互いに拮抗して作用するので、生活の中で「緊張状態」と「リラックス状態」の時間をうまく配分することが大切です。常に気の休まらない生活を続けていると交感神経ばかりが優位になり、自律神経が乱れやすくなって便秘になってしまうおそれがあるので注意しましょう。

誰でも簡単に行える自律神経を整える対策は「ストレッチ」。全身の筋肉を順に伸ばしながら、30分ほどストレッチを行った前後で脳波や自律神経の活動を調べたところ、前葉頭でのα波が増加し、副交感神経を活発化させるのです。

自律神経とは

また、排便する際には副交感神経の働きも重要です。トイレが自分にとってリラックスできる空間でないと、排便が途中で止まってしまったり、漏れてしまったりする場合もあります。日頃から身の回りに、自分がリラックスできるトイレをいくつか見つけておくと安心ですね。

自律神経は消化器に限らずさまざまな器官をつかさどっている神経です。体に不調を感じたときは、一度自分の生活環境を見つめなおし自律神経を整える”リラックス活動”から始めてみてはいかがでしょうか。

 

【参考文献】
「自律神経」(『デジタル大辞泉』小学館、『栄養・生化学辞典』朝倉書店、『大辞林』三省堂)
「交感神経」「副交感神経」 (『大辞林』三省堂)
「過敏性大腸症候群」(『世界大百科事典 第2版』平凡社)
北岡和代「ストレスと食生活」(「e-ヘルスネット」厚生労働省)
中野美和子「排泄のメカニズム」(『Consultant』Vol.271 建設コンサルタンツ協会 2016年4月)
宮地元彦「ストレッチングの効果」(「e-ヘルスネット」厚生労働省)

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