本来は“するりと出るもの“なのに…〜便秘とは?

2019.03.29

便秘の話をする前に、なぜ便通が滞ることを「便秘」と呼ぶか、考えたことはあるでしょうか? そもそもうんちのことを「便」と呼ぶ理由は、ハッキリとした定説はまだないものの、諸説あるなかで「便」の字には「支障がなくて都合がいい」との意味があるため、「するりと出る」「支障なく出る」から「便」…という考えもあるのだとか。

今回は、その“するりと出る”はずの便が滞ってしまった状態「便秘」について解説します。

便秘の定義と原因の基礎知識

便秘とは?

医学的な定義によれば「週3回未満の排便回数」が慢性便秘の基準の一つとされています。つまり2日以上続けて排便がない場合は、便秘の疑いがあるということ。理想的な排便は1日1回ですので、便秘の状態が当たり前となってしまっている方は要注意です。

また便秘という症状は同じでも原因はさまざま。腸内にできた炎症やがんの影響で物理的に便が滞ってしまう「器質性便秘」、腸以外の体の病気が引き起こす「症候性便秘」、薬の副作用で起きる「薬剤性便秘」などがあり、もっとも多いタイプが腸の働きの乱れから起こる「機能性便秘」です。機能性便秘は、さらに細かく以下の3タイプに分類されます。

  1. 弛緩性便秘…腸のぜん動を行う筋肉が緩み、ぜん動運動が弱まることで起こる便秘
  2. 痙攣性便秘…本来連続するはずのぜん動運動が断続的になり、便が通過する時間が長くなってしまうことで起こる便秘
  3. 直腸性便秘…便意をがまんし続けていると、直腸の神経の感度が鈍り、直腸に便が到達しても便意が感じないために起こる便秘

便秘状態に慣れてしまい、原因を放っておくと大腸の中で便がどんどん硬くなっていき、便秘がひどくなる悪循環に。例えば、硬くなった便が排便時に肛門を傷つけて「痔」になると、痛みを恐れるあまり排便がおっくうになり、ますます悪化してしまうことも…。便が長く腸内に留まることでさまざまな疾患を引き起こすことも。便秘が肌荒れを引き起こすこともあるのです。

簡単なものから始めよう!便秘の日常的な対策とは?

便秘の原因はさまざまで、どれか一つとも限りません。そのため、それぞれに原因にあった対策が必要です。そのなかで、どの便秘にも対応する日常的に行える対策もいくつかあります。それが以下の

水分をしっかりとる

便が腸を通って排泄されるまでには、大量の水分を必要とします。口から入る飲み物や食べ物の水分は約2リットル。さらに腸から分泌される消化液が加わり、大量の水分が腸に流れ込みます。大腸で吸収される水分量が少し増えるだけでも便の水分が少なくなって硬くなり、便秘につながりやすくなってしまうのです。

食物繊維の豊富な食材

1日3食、食物繊維が豊富な食材や、腸内環境を整える発酵食品を取り入れ、バランスが良い食事を心がけ、特に朝食をきちんととりましょう。

便意がなくても定期的にトイレへ

自然な排便リズムを回復させるために、便意を感じなくても毎日決まった時間にトイレへ入るようにしましょう。1日1回、朝食後に自然な便意を感じるのが理想的なリズムです。逆に、便意を感じたときに我慢を繰り返していると便秘につながります。

食事量を確保する

食事量が少ないと、それだけうんちの量も少なくなります。カロリーが気になる場合は、低カロリーで嵩の大きい野菜やきのこを選ぶなどして、押し出す力の元となる量を確保しましょう。ただし、過食はかえって逆効果に。

便秘のタイプによって対策が異なる場合も

脂質に含まれる脂肪酸は大腸を刺激し、香辛料やアルコール・酸味類で刺激で排便が促されるため、適度な脂質や香辛料などを摂ることは、弛緩性便秘の場合は推奨されています。しかし、痙攣性便秘の場合、まったく逆効果。脂質(特に揚げ物)や香辛料、アルコール、酸味などは避けるように心がけましょう。このように便秘のタイプによって対策が異なり、“正反対”になることもありますので、医療機関などからの信頼のおける医療情報を元に、日々の生活を見直していきましょう。

 

ちなみに便秘の「秘」は「隠される・出てこない」という意味。ただし「出てこない」という意味で「秘」を使った単語はほとんどなく、日本語では「便秘」だけともいわれています。こちらの由来も考えれば考えるほど、滞ってしまいそうですね…。

【参考文献】
・大修館書店 漢字文化資料館 漢字Q&A「『郵便』や『定期便』などに使われる『便』は、どうして排泄物の意味でも使われるのですか?」
・「便秘」(『新選漢和辞典 Web版』 小学館)
・日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会『慢性便秘症診療ガイドライン2017』(南江堂 2017年10月)
・「便秘と食事」(e-ヘルスネット 厚生労働省)

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