知っているようで意外と知らない?
レム睡眠の「レム」とは何か?

2019.03.05

人間の生活時間の3分の1近くを占め、健康維持にも欠かせない睡眠。一口に睡眠といっても大きく分けて、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分類されるのはご存じの方も多いでしょう。では「レム」とは何か? 今回は睡眠の基礎知識「レム睡眠とノンレム睡眠」について解説します。

レム睡眠の発見は60年以上前!
そして人間以外にも…

「レム(REM)」とは「Rapid Eye Movement(急速な眼球の運動)」の頭文字をとったもので、これを伴う睡眠がレム睡眠、伴わない睡眠はノンレム睡眠と呼ばれます。

レム睡眠が発見されたのは、1953年のこと。シカゴ大学のナサニエル・クライトマン教授と、当時大学院生だったユージン・アゼリンスキーが幼児の睡眠時の眼球運動を観察していると、脳波が睡眠状態なのにもかかわらず、眼球が急速に動いていることが判明します。この眼球運動は幼児だけではなく成人でも確認されたため、「レム睡眠」と名付けられました。

レム睡眠中の被験者を目覚めさせ、夢を見ていたかどうか尋ねると、約80%の確率で「夢を見ていた」と答えたことから、「レム睡眠中は夢を見ている」と考えられるようになりました。その後の研究で、哺乳類にはレム睡眠の存在が確認され、鳥類でもレム睡眠があるといわれています。しかし、ノンレム睡眠中にも夢を見るという説もあり、脳と睡眠との関係はいまだに研究が進められています。

レム睡眠はノンレム睡眠とくらべて浅い眠りで、脳波は覚醒時に非常に近い状態です。眼球の運動だけでなく脳も働いており、睡眠中にみる夢はレム睡眠が強く関係しているといわれています。夢の中では昔の記憶が再生されることもあるため、記憶回路の成長や活性化、知的発達に役立つという説もあります。

ただし、レム睡眠中は抗重力筋(地球の重力に対抗する筋肉)が完全に停止するので、頭は働いているのに体が重く動かないといった状態になる場合もあります。これがいわゆる「金縛り」です。


レム睡眠時は交感神経活動が覚醒時と同じくらい、あるいはそれ以上に上昇します。目覚めたときにドキドキしていることがあるのは、夢の内容だけでなく、こうした特徴も関係しているのです。

一方、ノンレム睡眠はレム睡眠よりも深い状態の眠りです。この状態では、脳や交感神経活動が休息し、心拍数や呼吸数、血圧は低下します。ノンレム睡眠は脳波のパターンによってさらに4段階に分けられ、段階が上がるにつれて眠りが深くなります。人間のリフレッシュ感は、2段階目以上の睡眠がある程度持続することで得られるといわれています。

一般的な成人の一晩の睡眠を分析してみると、10~20%はレム睡眠とノンレム睡眠の1段階目、15%はノンレム睡眠の3~4段階目、残りの40~50%はノンレム睡眠の2段階目が占めており、レム睡眠とノンレム睡眠は約90分周期で繰り返されます。睡眠時間の前半はノンレム睡眠が多く、後半になるにつれてレム睡眠が多くなるのも特徴です。

質のよい眠りのために…8つのポイント

レム睡眠とノンレンム睡眠のサイクルが約90分ということを利用して、「90分後に目が覚めれば、短い睡眠時間でもスッキリできる」といった話もありますが、実は誤り。レム睡眠とノンレム睡眠にはそれぞれ違った役割があり、また「睡眠中に1周期あればよい」ということではないのです。どちらも欠かすことのできない重要な睡眠なのです。

それでは、スッキリと目覚めのよい「質のよい眠り」をとるために、わたしたちは日ごろどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。茨城県立健康プラザが公開している資料によると、以下の8つのポイントが挙げられています。

  1. 睡眠時間にこだわらない(寝つきの悪い人が無理に早く寝ようとすると緊張して眠れなくなることも)
  2. 同じ時刻に起床して、直後に日光を浴びる(体内時計のリズムを整える)
  3. 午後から夕方に軽い運動をする(運動で体温を上げ、下がってくるころに眠りやすくなる)
  4. 睡眠の環境を整える(明るさ、音、温度、湿度を適度に調整。寝具も自分に合ったものを)
  5. 寝室は「眠る場所」として使う(だらだら寝室で過ごすとメリハリがなくなる)
  6. 夕食後は睡眠を妨げるものを避ける(カフェイン、喫煙、アルコールなどは寝つきが悪くなる原因に)
  7. 寝る前は自分なりの方法でリラックス(マッサージ、香り、音楽など好みのものを取り入れる)
  8. 睡眠薬は必要に応じて少量・短期間ならOK(不眠に悩むよりも薬を上手に活用する)

現在の日本では、5人に1人が睡眠で悩んでいるというデータもあります。寝つきが悪い、日中強い眠気に襲われるなどの状態でお悩みの場合は、医師に相談してみましょう。

【参考文献】
「レム睡眠」(『日本大百科全書』『日本国語大辞典』小学館)
「睡眠」(『日本大百科全書』小学館)
「レム睡眠とノンレム睡眠」(『家庭医学館』小学館)
鈴木博之「夢とREM,NREM睡眠 -夢はいつ起こっているのか-」(『バイオメカニズム学会誌 vol.29』バイオメカニズム学会 2005年12月)
「睡眠に関する基礎知識」「快適な睡眠のために」(「5-6. いばらき睡眠プログラム」茨城県立健康プラザ 調査・研究資料)

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