トイレは大事な“文化の1つ”!
誰かに話したくなる
「うんちとトイレの偉大な話」

2019.03.05

「きのう、何食べた?」と尋ねることはあっても、「きのう、うんちした?」とはめったに話しませんよね。ですが、こうして気軽にうんちの話題を出せる社会こそ、私たちが目指すべき姿かもしれない…と、思わせる本があります。

私のうんちは大丈夫?
排泄にあらゆる角度からアプローチ!

イースト新書Q 『うんちはすごい』/NPO法人日本トイレ研究所代表理事 加藤篤 著/イースト・プレス

NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤氏による『うんちはすごい』は、私たちが健康的かつ文化的な生活をおくるうえで、いかにうんちが重要な鍵を握っているかを解説した1冊です。

性別や年齢、職業、国籍に関わらず、誰もが毎日関わるトイレ。一方で、「汚い」「下品」と、つい避けてしまいがちな話題です。「トイレ、さっさと済ませるだけの場所でしょ」と思いきや、加藤氏は本書の冒頭で私たちにこう投げかけます。

トイレって密室ですよね。だから、他人がどのように用を足しているかなんて見る機会もなければ、そのことについて話す機会もなかなかありません。だから、なんとなく、こういうことだろうという思い込みでやっていると思います。
もしかしたら、自分だけ、特殊なやり方をしているかもしれませんよ(笑)。

改めてそう言われると、自分のうんちの状態やトイレの作法は大丈夫かな?と思わず考え込んでしまいます。また、加藤氏は清潔な日本のトイレにも注目。人々の生活にトイレがもたらす影響力は極めて重要であり、トイレは“大切な文化の1つ”だと提唱しています。

うんちのすごさ、トイレのすごさに目を向け、必要に応じて文化をアップデートすることが必要なのです。

本書では、うんちの基本的な役割やメカニズムに始まり、日本が誇るトイレの技術まで、あらゆる角度から私たちの排泄にアプローチ。

特に、トイレットペーパーやウォシュレット、公衆トイレの仕組みなど、トイレにまつわる話は必見! 目が届きにくい場所だからこそ、それに関わる人々によって隅々まで想像と工夫が凝らされた技術には、驚きの連続です。例えば、日本のトイレットペーパーには裏と表があることや、世界遺産にも登録された一大観光地である富士山のトイレが2000年ごろまで非常に深刻な状況にさらされていたことなど、この書籍に出会わなければ知り得なかったでしょう。

うんちは、生きるために必要不可欠!


食事をとらなければ死んでしまうように、きちんと「出す」ことをしなければ同じく健康を損なうと、本書では繰り返し提唱しています。本書では下痢はもちろん、うんちを「恥ずかしい」と我慢してしまうゆえに引き起こされる、便秘のリスクに注目。

うんちが大量に溜まって腸が詰まったら腸閉塞ですし、ずっとうんちを腸に溜めていると腸内環境が悪化して悪玉菌が増えるので腐敗物質も生まれます。
免疫力が低下し、様々な病気を引き起こすことにもつながります。

本書では、日本消化器病学会関連研究会「慢性便秘の診断・治療研究会」が編集した『慢性便秘症診療ガイドライン』を引用し、便秘の定義を提示。便秘と判断される回数の目安は1週間に2回以下、つまり3日以上うんちが出ないと便秘を疑う必要があるとしています。

そのうえで、大人の便秘対策を8つのポイントに分けて紹介。その内容は主に腸の正しい働きをうながすためのもので、バランスのとれた食事や質のよい睡眠、運動など日常生活の基本となる事柄ばかり。そして加藤氏は、見過ごされがちな「便意」の重要性も解説。「うんちがしたくなったら、すぐにトイレに行く」という基本中の基本となる行動も、日々の健康を支えているのだと改めて気づかされます。

うんちは身体からのメッセージで、うんちをすることは生きるために不可欠です。うんちをするときの「快」は生得的なもので、食べることと同じくらい大切な機能です。快眠、快食、快便という言葉もありますね。快便と壊すこと、つまり便秘になることは、身体全体に悪影響を及ぼすことにつながると思います。

私たちの健康には気持ちのよいうんち、ひいては、規則正しい生活と清潔かつ使いやすいトイレが欠かせません。誰かに話したくなる知識がたくさん詰まったこの1冊は、タイトルの通り「うんちはすごい」と私たちに教えてくれます。

また本書では、災害時には水や食料と並んで、いかにトイレが重要かという点にもボリュームを持って触れています。付録として「災害時のトイレの知恵(自宅編)」が付いており、断水時における用の足し方、携帯トイレの使い方を細かく解説。防災ブックとしても、一家に1冊あれば非常に役立つことでしょう。

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