ダイエットの“神話”を続々論破!
ロンドン大の教授による
正しい食生活の啓蒙書

2018.12.28

エネルギー295kacl、タンパク質6.0g、脂質20.5g、炭水化物21.8g、食塩相当量0.1g…。日々私たちが口にする食料品のパッケージには、こうした栄養成分表示が印刷されています。

しかし、すべての栄養成分に熱心に目を通す方は、なかなかいないのではないでしょうか。せいぜい、カロリーだけをなんとなく気にする……くらいという方も多いでしょう。今回紹介するのは、読んだ後には栄養成分表示をじっくり見たくなる、“栄養成分表示にトコトン向き合った一冊”です。

同じ食事なのに太る人と痩せる人がいる理由は、腸にあった!

『ダイエットの科学 「これを食べれば健康になる」のウソを暴く』/著:ティム・スペクター 訳:熊谷玲美/白揚社

『ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く』の著者、ティム・スペクター氏はイギリスの名門・ロンドン大学の教授で遺伝疫学の研究者です。ダイエットと研究分野とは関連がなさそうですが、本書執筆のきっかけは自身が健康問題に直面したこと。病気のリスクを減らすべくライフスタイルを改善するなかで、世の中に発信される食品の健康効果が正しく広まっていないことに気づきます。

もしも私たちの食事に取り入れられる新しい加工食品がすべて製薬会社の開発した薬であり、肥満が病気として扱われていたのなら、その薬の効用とリスクについての豊富なデータが用意され、私たちを守ってくれていたはずだ。

しかし食品の場合は、たとえ合成添加物であっても、そのような安全装置はほとんど存在していないのが現状だ。

さらにスペクター氏は、同じ食事でも人によって体重が増えるケースと痩せるケースがあることにも注目。そして自身がおこなった双子研究の結果などのもと以下のように結論づけています。

こうした違いのいくつかは、明らかに遺伝子に原因がある。遺伝子は、食欲と最終的な体重の療法に影響するのだ。

また、こうした個人差の理由を考える上で「腸内細菌」をはじめとする微生物の働きがカギになるとしています。本書では腸内細菌のさまざまな役割について説明していますが、重要なのは腸内細菌の種類や数は人によって異なることです。

本書の原題は『Diet Myth(ダイエットの神話)』となっており、食品ラベルに表示されている栄養素が各章のタイトルになっています。スペクター氏が目指すところは、自身の腸内細菌への理解をうながすとともに、さまざまな栄養素とダイエットにまつわる“神話”を暴くことなのです。

「スーパーフード」はナンセンス!

スーパーフード

本書は、断食や糖質オフなど近年注目されている健康法やダイエットに疑問をなげかけながら展開されます。特に「糖質(糖類意外)」という章には、「スーパーフードに騙されるな」というサブタイトルが。

例えば、ごく少量でも高い栄養価を持つナッツや果物などが「スーパーフード」と呼ばれていますが、スペクター氏はこうした”スーパーフードの神話”を一刀両断。

スーパーフードというのは面白い考えに思えるかもしれないが、詐欺同然のマーケティングとも言える。新鮮な果物や野菜は、ほぼなんでもスーパーフードだからだ。

食べ物を選ぶうえで、数種類のみのスーパーフードを食べるよりもさまざまな種類の野菜や果物をまんべんなく日常的に食べるほうが、栄養面ではるかに効果が高いとしています。

よくよく考えれば当たり前のことかもしれません。しかし、とにかく「手軽に」「早く」健康になれる手法につい飛びつきがちな私たちには、ドキリとする指摘が頻出します。

本書は『ダイエットの科学』というタイトルですが、誰にでも効果があるダイエット方法を紹介する本ではありません。むしろ、万能のダイエット方法は存在しないことをスペクター氏は繰り返し強調しています。

腸内細菌を含め自分の体は誰とも違うのだから、自分にぴったり合うダイエットはそうすぐに見つかるわけではありません。「いろんなダイエットをしてきたけれど続かない」「少しずつ食生活を改善したい」という人が、自分に合った食事を見つけるために役立つ一冊となりそうです。読み応えのあるボリュームとなっていますので、「新年に一念発起して食生活を変えたい!」と意気込む方にもおすすめです。

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