「善玉菌」「悪玉菌」の名付け親が語る“乳製品の選び方”とは?

2018.12.19

腸イコール「食べ物から栄養を吸収し、便を作る器官」という印象はもう過去のもの。便秘や下痢だけではなく、アレルギー、うつ、糖尿病、がん……これらすべてに「腸」が関係することが最新の研究により判明しつつあります。

腸内細菌研究の第一人者によれば、腸を健康に保つことで免疫力が上がり、肌の調子がよくなり、なんとストレスにも効果があるというのです。

腸内細菌学のパイオニアによる
腸と菌の入門書!

『腸を鍛える−−腸内細菌と腸内フローラ』(祥伝社新書)の筆者である光岡知足氏は、「善玉菌」と「悪玉菌」の名付け親であり、赤ちゃんの腸にしかいないと考えられていたビフィズス菌が大人の腸内にもいると発見した、まさに腸内細菌研究のパイオニアです。

「菌」といえば悪いもの、というイメージが強く、海外にもほとんど事例がない時代から腸内細菌の研究を続けてきた光岡氏。日ごろ私たちが何気なく目にしている「ビフィズス菌」や「乳酸菌」の効果をはじめ、善玉菌と悪玉菌の名にある「善」と「悪」の意味、腸に「生きた菌」が届くメリット、そして「トクホ」表示の意味など、腸内細菌を知り尽くした筆者が分かりやすく解説していきます。

腸内細菌のパイオニアが指摘する
乳製品を選ぶ際の注意とは?

腸を健康に保つためには、食事が重要なカギを握っています。本書では、日常生活ですぐに実践できるヨーグルトなどの乳製品の選び方まで紹介されています。

ヨーグルトや乳製品というと、つい広告や口コミのままに「良いって言ってたから…」と手にとったり…。そもそも見分ける基準自体もさまざまです。それに対し、光岡氏は以下のように説明しています。

免疫を刺激することが目的であれば、菌の種類よりも、数のほうが大事になってくるからです。

個々のヨーグルトを比べていくと、重要なのは乳酸菌と腸の相性、つまり「どんな種類の乳酸菌が自分の腸を元気にしてくれるのか?」という点だと分かってきます。

本書を読んでいると、健康な腸を手に入れるためには、特効薬など無いことがしみじみと理解できます。日々、数多くの健康食品が登場していますが、もっとも重要なのは自分の体の調子に向き合い「これは自分の体調に合っているだろうか?」と吟味すること。筆者は「消費者である私たちは『表示が全てではない』と知るべき」とも指摘しています。

「高地民族」から「日本兵」まで
便を調べて腸内研究

善玉菌

こうした日常的に役立つ話のほか、興味を引いたのは筆者が事あるごとに便を採取し比較する点。もちろん腸内細菌の研究には欠かせない非常に重要な行為です。

マウスはもちろんのこと、「カナダ・トロントに住み典型的な欧米食をするカナダ人」「長寿地域で知られる山梨県上野原町棡原に住む高齢者」「パプアニューギニアの高地民族」「イギリスの学生」「アフリカの田舎に住む人びと」「太平洋戦争中の日本兵」など、あらゆる人びとの腸内環境が本書では明らかに。筆者がかなり詳細に人びとを分類しながら、腸内に注目してきたことが伺えます。

同じ人間の腸内といえども食事や生活環境の違いがいかにその環境に影響し、そして私たちの身体そのものにどのように関係してくるのか。長年詳細な研究を重ねてきた筆者が語るからこそ、ひとつひとつのことがらに納得感をもって理解を深められます。

専門家による書籍は、ときに丁寧に説明するがゆえにどんどん学術的な話になっていき「自分には難しかったかも…」と挫折しがちですが、難しい専門用語はほとんどありません。健康を意識する過程で自身の「腸」に興味を持った方に、入門書としておすすめできる一冊です。

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