腐敗と発酵、実は同じもの? 腸内細菌を味方につけて!

おなかの中では、一体何がおきている?

ご自分の腸の温度は、何℃くらいかご存じですか? 私たちの身体は、体温が36.5℃くらいで、腸は、体温を利用して体温より1~2℃くらい高い温度を保っています。ということは、腸の中は夏の猛暑日の気温と同じくらいの温度です。

想像してみてください。もし、うだるように暑い日に生ごみを放置して出かけたら、おうちの中は、どのようになってしまうでしょう? 玄関のドアを開けた途端に、もわぁ~と漂ってくる悪臭を、思い描くことができるのではないでしょうか。腸内で良い状態を保っていないということは、これと同じことが、ご自身の体内でおきているということ。なんだかちょっと、恐ろしくなってきませんか?

腐敗と発酵の違い

私たちは日々発酵食品を食べ、一方で、ときには食品を腐らせてしまうことがあります。ここで少し疑問がある方も多いはずなので、一度、腐敗と発酵という現象をもう一度整理しておきましょう。

生活の場では人間だけでなく、あらゆる動植物が共存しています。これは、微生物についても同様で、この微生物の多くは、我々人間とちょうど同じくらいの環境で程よく増殖し、生存しています。そして、生存過程で酵素を産生し、この酵素によって食べ物は分解されます。そしてこの分解の結果、悪臭が漂う有害物質に変化させてしまうと「腐敗」となり、人間にとって有用なものを作り出せば「発酵」となります。

つまり腐敗と発酵は同じ現象で、その結果作り出されるものが我々にとって有害か有用かで勝手に呼び分けているだけなのです。海外の方など、「納豆なんて臭くて食べられないよ!」と言う方が、納豆を「腐っている」と表現することがあります。これは、納豆が受け入れられない彼らにとって納豆は有用ではない(好みとして受け入れられない)ということなので、腐っているという主張はある意味正しいのかもしれません。

そして微生物が生存し、そこに微生物にとっての栄養分が存在するという点では、腸の中も同じなのです。つまり腸内で、腐敗も発酵も起こるとしたら……腐敗ではなく、発酵してもらいたいですよね。

発酵が進んでいる状態の腸は

腸で起こる現象が発酵か腐敗かを決める、大きな要素が腸内細菌です。発酵が進んでいるときの腸内細菌のバランスは、有用菌が優勢! たとえば乳酸菌のように、乳糖やブドウ糖を栄養として増殖し、発酵を起こして乳酸菌を作り、腸内環境を酸性に保ってくれるような菌は有用ですよね。ビフィズス菌も酢酸や酪酸を産生してくれる有用菌にあたります。これらの菌が「有用菌」と呼ばれるのは、腸の働きを助けて便秘や下痢を防いでくれるから。免疫細胞も活性化させてくれるので、身体の免疫力も高まります

腐敗が進んでいる状態の腸は

腐敗が進んでしまうのは、たんぱく質を腐敗させて毒素を産生するような、ウェルシュ菌をはじめとする有害菌が優勢だから。このような菌が増えると腸内で発生したガスであるおならも臭くなってしまいます。そして、腐敗が進むと便秘や下痢が起こり、肌荒れなどの不調につながることも。

発酵を促すためには

発酵を促す有用菌を優勢にするには、3つのことが有効です。まず1つめは、有用菌の生育に良い環境を与えてあげること。腸内を酸性環境に保ちましょう。そして2つめは有用菌のエサを与えてあげること。有用菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖などを積極的に取りましょう。そして3つめは、有用菌に、味方をつけてあげること。有用菌を優位にして、腸内細菌の中の日和見菌に有用菌へ加勢してもらいましょう。日和見菌を味方につけるためには、乳酸菌が豊富な食品を摂取することが大切です。乳酸菌にはヨーグルトやチーズなどの動物性発酵食品や、味噌や納豆などの植物性発酵食品に多く含まれているので、双方をバランスよく摂取しましょう。この3つと考えると、なんだかがんばれそうじゃないですか?

腸内細菌を味方につけよう

いかがでしたか? みなさんの腸でおきているのは、腐敗?それとも発酵? 腸内フローラを食生活からバックアップして、体に良い「発酵」ができる腸に近づけていきましょう!

【参考】
『よくわかる便秘と腸の基本としくみ』坂井正宙著 秀和システム
『大便通』辨野義己著 幻冬舎新書
『腸をきれいにする特効法101』後藤利夫監修 主婦と生活社

pagetop