【医師監修】女性ホルモンも原因になりうる! デリケートな悩み“痔”の症状と予防法は?

2018.07.31

座っているときや立っているときなど、お尻のあたりがどうもヒリヒリする。日本人の3人に1人が「痔」に悩んでいるという話もあり、刺激的なものを食べた翌日の突発的なものであればまだしも、慢性的となると日常生活にも支障をきたしかねません。

とりわけ女性にとっては、デリケートな部分の話のため避けがちだという意見も。痔だと自覚していない人、痔であることを恥ずかしく思う人もいるかもしれませんが、そもそも痔とはどのような種類や症状などがあり、日常生活で予防するためには何が必要なのか。女性肛門科専門医・マリーゴールドクリニックの山口トキコ院長にうかがいました。

よくある痔の症状3つを解説

痔とひとくちにいっても、さまざまな種類があります。なかでもとくに、よくある症状だといわれる「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」について、山口先生にうかがいました。

いぼ痔(痔核)

一般的には「内痔核」を指す症状。山口先生によれば「痔核と呼ばれるいぼが肛門付近に現れるもので、男女ともに多く、痔の半数以上を占めている」といいます。痔核は、肛門に強い負担がかかることで、肛門を閉じる役割をするクッション部分が腫れてしまった状態です。直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目を歯状線といい、直腸側にできた痔核は内痔核、肛門側にできた痔核は外痔核といわれます。

排便時に出血をともなうほか、人によっては「内痔核が大きくなることで、排便時に脱出して指で押し込まないと戻らない状態」になる場合も。内痔核は通常、痛みがなく排便時に出血することが多いといいますが、外痔核の場合は、急に肛門周囲に血栓(血の塊)ができ、激しい痛みをともなう「血栓性外痔核」になるおそれもあります。

切れ痔(裂肛)

硬い便を出したときに、肛門の皮膚が切れることで起こります。山口先生によれば「便秘やいきみが強い、若い女性に多い症状」だそうですが、血はそれほど出ず、紙や便につく程度。排便時や排便後にはしばらく痛みが続くことがあり、慢性化すると肛門が狭くなってしまう場合もあります。

痔ろう

直腸と肛門の境目にある歯状線のくぼみから細菌が入り込むことで、中でうみがたまる「肛門周囲膿瘍」が原因となりうる症状。痔ろうは、たまったうみが出たあとに肛門内部へ通じる管「ろう管」が残った状態です。山口先生によれば、前兆として「肛門周囲膿瘍を原因とした高熱や激しい痛み、腫れ」もあるそうです。

膿瘍が自然に破れたり、切開すればうみは排泄されますが、約半数の人はろう管が残ってしまいそのまま痔ろうを抱えてしまう傾向も。下痢体質の人に多く、女性よりも男性に多くみられるといいます。

女性ホルモンによる影響や妊娠が痔の原因に

痔になる基本的な原因は、排便習慣や便秘になってしまうような食習慣。そのため山口先生は「性差はない」と話しますが、その一方で「女性ホルモンによる影響や妊娠」といった女性ならではの理由も考えられるそうです。

女性ホルモンによる影響

生理前に女性ホルモンのひとつである黄体ホルモンが優位になると、便秘傾向になるといわれています。黄体ホルモンは体に水分などをため込む作用があるため、その分泌が高まると大腸の腸壁から便の水分が吸収され、便が硬くなって出にくい状態となってしまいます。

ただ、山口先生によると「便秘の患者さんは生理周期と無関係な方が多い印象」とのことでした。

妊娠や出産

妊娠すると、黄体ホルモンの分泌も多くなり、便秘の原因となります。また、妊娠の影響で血液がおなかに集中して肛門周囲の血行が悪くなることや、大きくなった子宮が周囲の静脈や腸を圧迫して、うっ血が強くなることも原因の一つ。さらに、出産時のいきみで排便時の何倍もの力が肛門周辺にかかることでも、痔になりやすくなります。

ただ、妊娠や出産をきっかけとした痔は一時的なものであるようです。「当院のデータでは、出産後に手術が必要と診断した患者はすでに妊娠前から痔主である傾向が多い」と山口先生は話します。

このほか、食事制限によるダイエットをきっかけとする、女性によくありがちな便秘の悩みも痔の原因になりえます。では、どのような生活習慣を心がけるべきなのかを、続いて紹介していきます。

排便・食事が痔を予防するためのポイント

排便や食事に気をつけることが、痔を予防するための第一歩。日頃からの生活習慣を見直していくことが大切です。そのために何が必要なのか、山口先生に3つのポイントを教えてもらいました。

1)排便のポイント

「気がつけば長い間、便が出ていない…」そんな人は、すこしでも便意を感じたら、我慢せずになるべくすぐにトイレに行き、がんばって出してみるよう心がけましょう。ただ、力みすぎるのも体にとってはよくないので、3分以内を目安として排便を試みてください。

2)食事のポイント

1日20~25gを目標に、食物繊維をしっかり摂りましょう。また、水分は食事以外に少なくとも1.2リットルは飲むことも重要です。朝食を食べると胃腸の動きを活発にさせて便意を促せられるので、しっかり食べておくのも肝心です。アルコール類や香辛料は摂りすぎるとよくないため、適量を心がけましょう。

3)生活習慣のポイント

腸の動きをよくするためには、適度な運動がおすすめ。なかでも冷えは大敵なので、毎日入浴をして体を温めることも大切です。また、座りっぱなしなどで同じ姿勢を取り続けると肛門がうっ血しやすくなります。体操などをして血行をよくしましょう。

デリケートな悩みのため、誰にも相談できない人たちもいるかもしれません。食生活や生活習慣に気をつけて、痔のない快適な生活を意識してみてください。

【取材協力】
マリーゴールドクリニック/山口トキコ院長
http://www.marigold-clinic.com/

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