《医師監修》「痩せの大食い」は胃下垂が原因? 太りにくい体になるにはどうしたらいい?

2018.06.29

とくにダイエットをしている様子もなく、しっかり食べているのに太る気配のない人。いわゆる“痩せの大食い”さんは、胃下垂であることが多いと聞いたことはないでしょうか。

太らないイメージのある胃下垂ですが、そもそもどういう状態をいうのでしょうか。また、本当に太りにくいのかも気になるところです。そんな胃下垂にまつわる疑問を工藤内科の工藤孝文副院長にうかがいしました。

食べても太らない? 胃下垂の仕組み

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胃下垂とは、胃の下部が垂れ下がっている状態のことをいいます。通常、胃は楕円状の形をしており、横隔膜の下からへそよりも上の位置に収まっています。胃下垂の場合、胃の下半分が骨盤あたりにまで延びて垂れ下がっているそうです。

「胃下垂は、とくに症状が出ない人もいることから、医学的には問題はないとされています。しかし、中には消化不良などを発症する場合もあり、その際には治療の対象となります」(工藤先生)

胃下垂には、先天的と後天的の2つのタイプがあります。先天的タイプは生まれつきの体質によるもの。一方、後天的タイプは、何らかのきっかけで痩せ型の体型へ変わることが考えられるそう。「あくまでも推論ですが」と前置きした上で、工藤先生は続けます。

「痩せて腹部の脂肪や筋肉量が減ったことにより、胃に入ってきた食物の重さを支えきれず、胃の下部が垂れ下がってしまいます。このような状態が重なることにより、胃下垂になっていくのではないかと考えられます」(工藤先生)

「胃下垂だから太らない」は間違いだった!

胃下垂と聞いて、「食べても太らない」とイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし、これは必ずしも正解とはいえないそうです。

「胃下垂だから太らないというではなく、長身や痩せ型の人が胃下垂になりやすい傾向にあるのです。これらの人に共通しているのは、もともと胴回りが細いこと。体型に収まるような形に胃が変化した結果、胃下垂になると考えられます」(工藤先生)

ダイエットに励む人にはうらやましい話ではありますが、胃下垂とダイエットに関連性はみられないそう。食べても太れない人は存在しますが、それは胃下垂だからではなく、もともとの体質によるものなのです。

「痩せの大食い」のおなかの中は何が違うの?

それでは、“食べても太らない人”は、そうでない人と比べて何が違うのでしょうか。食べても太らない人には、いくつか考えられる特徴があるそうです。

基礎代謝の高さ

筋肉量が多い人は、筋肉を維持するために消費カロリーが高くなるため、多少食べ過ぎたとしても太りにくい傾向にあります。

内臓機能の働きの違い

食べても太らない人は、胃で食べ物を分解するための消化酵素がうまく働いていない場合が多く、栄養を吸収しきれないまま排出されてしまいます。

ほかにも、インスリンの分泌量が低く、糖を体へ取り込みにくい体質の人も該当します。

実は、この“食べても太らない人”の特徴の中に、一般的な体型の人が“太りにくい体質”になるヒントが隠されています。それは、筋肉を付けて基礎代謝を上げることです。さらに、食物繊維や発酵食品を積極的に摂取して腸内環境を改善することも太りにくい体質作りにつながるそうです。

「食物繊維や発酵食品を摂取することにより、腸内の有用菌を増やすことができます。有用菌は余分な栄養を抑制する役割もあるので、一般的な体型の人でも脂肪や老廃物をため込みにくくなりますよ」(工藤先生)

つまり、“太りにくい体”を目指すためには、適度な運動と栄養バランスの取れた食事が必要ということです。腸内環境が改善されれば便秘の解消や美肌にもつながります。美しく健康な体を作るために、まずは食事を意識することから始めてみるといいかもしれません。

この記事に取材協力してくれた方

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工藤孝文先生

工藤内科 副院長、日本内科学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、日本東洋医学会、小児慢性疾病指定医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療をおこなう。 2017年よりスマホ診療を導入し、全国規模での診療も実施。
また、「得する人損する人」(日本テレビ)を始め、メディアにも多数出演。「教えて!ドクター家族の健康」(BSジャパン)では、「糖尿病はこうして起こる」をテーマに対談をおこなっている。
工藤内科:http://www.kudonaika.com/

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