くしゃみでチビッた!? 女性に多い尿もれが起こる仕組みと改善方法を医師に聞いた

2018.05.31

おなかに力を入れたときや、くしゃみをしたときなどに尿もれを経験したことはありませんか? 尿トラブルはなかなか人に打ち明けづらいため、ひそかに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そこで、尿もれが起こる仕組みや改善方法などを、医療法人成田育成会 セントソフィアクリニックの伊藤知華子院長にうかがいました。

尿もれが起こる仕組みとは

尿もれには大きくわけて、「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」の2種類があります。

「腹圧性尿失禁は、腹部に強い力が加わったときに尿が漏れてしまう症状です。咳やくしゃみをしたときや、重いものを持ち上げたとき、階段を登ったりしたときなどに起こりやすくなります」

通常、おなかに力を入れても尿がもれないのは、骨盤底筋の組織がしっかりと尿道口を締めているから。しかし、「なんらかの理由により、骨盤内にある膀胱や子宮、直腸などを支えている骨盤底筋群やじん帯が緩むことにより、尿もれが起こります」と伊藤先生はいいます。

尿もれのなかでも、とくに女性に多いのが、この腹圧性尿失禁です。一方、切迫性尿失禁の場合は、急に尿意を感じたり、尿意をコントロールできずにもらしたりしてしまうそうです。

「切迫性尿失禁は、突然寒い場所へ出る、エアコンや冷たい水を飲むなど、体が冷えると起こりやすくなります。切迫性尿失禁になる原因は、『神経因性過活動膀胱(しんけいいんせいかかつどうぼうこう)』といって尿意を司る神経回路に障害が起こっている場合や、『骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)』という骨盤内の臓器が膣や肛門へ脱出してしまう疾患によるものです」

男女でも差がある! 尿もれの原因

女性は男性と比べて尿もれを起こしやすいといわれますが、それは「尿道と体の構造に差があるため」だと伊藤先生は指摘します。

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「尿は膀胱から尿道を通って排泄されますが、女性の尿道は男性より短いだけではなく、真っすぐで太い作りになっているため、尿が漏れやすいのです。また、尿道の後ろには膣という空洞の部分があることにより、尿路と子宮、直腸を支える構造が不安定です。対して男性の体は、空洞部分もなく臓器や骨などが密接な作りになっているので、骨量や繊維組織、筋組織の強度も強く、女性よりも尿もれが起こりにくいのです」

さらに、女性の場合は妊娠中や産後にも尿もれを起こしやすくなります。

「妊娠すると子宮が大きくなり、膀胱が圧迫されることに加え、骨盤底筋を支えている線維組織や骨盤底筋群なども伸ばされて弱くなっていきます。さらに、出産時には約3キロもある赤ちゃんが骨盤底筋を通るため、線維組織や骨盤底筋群が元に戻れないくらい伸びてしまったり、一部は切れてしまったりします。こうした骨盤底筋のダメージにより、尿もれが起こりやすくなってしまうのです」

上記に加え、便秘や肥満、運動不足、加齢なども原因としてあげられます。

「太って内蔵脂肪が増えると、骨盤内の臓器が圧迫されて骨盤底筋に緩みが生じます。便秘の場合も腸に便がたまって直腸が膨らむため、同じようなことが起こります。さらに、排便時にいきむことにより、骨盤底筋が引き延ばされます」

「骨盤底筋体操」で尿もれを改善!

骨盤底筋がダメージを負うことで起こりやすくなる腹圧性尿失禁ですが、改善するためにはどうすればいいのでしょうか。

「原因はさまざまですが、すべては骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋の緩みによるものです。つまり、骨盤底筋を鍛えることで尿もれを防止する効果が期待できます」と伊藤先生。そこで、骨盤底筋を鍛える体操を教えていただきました。

<骨盤底筋体操のやり方>

1.膣と肛門をおへそに向かうイメージで、10秒間引き締める
2.力を抜いて数10秒間リラックスしたら、再び膣と肛門を引き締める。
1〜2を10回繰り返す動作を1セットとして、1日5セットを目安におこないます。
入浴時や仕事中、電車での移動時など場所を問わずにできるので、気がついたときにこまめにやってみましょう。

骨盤底筋体操は、2~3週間ほどで効果が期待できるそうです。一方で、骨盤底筋は外部からは見えない部分のため、正しい体操になっているかどうか判断しにくい面もあるのだとか。人によってはおこなうのが難しいと伊藤先生はいいます。

「そんなときはスクワットがおすすめです。最初は1日3回・3セットくらいからはじめ、最終的に15回・3セットを朝夕、くらいできるようになると効果があります」

また、切迫性尿失禁には、「膀胱トレーニング」が有効です。

「切迫性尿失禁は頻尿になることが多く、さらには過去の尿もれを恐れることで、さらに頻繁にトイレへ行くケースが目立ちます。これを改善するには、トイレへ行く回数を徐々に減らして、排尿を我慢すること。我慢する時間を少しずつ長くすることで、膀胱の容積が増えて頻尿の改善が望めます」

同時に、適度な運動や食生活の見直しをして、肥満や便秘の改善も心がけていきましょう。

尿もれは自然に治すことはできないばかりか、放っておくと悪化する可能性もあります。場合によっては、薬物療法やレーザー治療などが必要になることも。骨盤底筋体操や膀胱トレーニングでも改善できなかった場合は、早めに病院を受診しましょう。

この記事に取材協力してくれた方

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医療法人成田育成会 セントソフィアクリニック 伊藤知華子院長

日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。
1990年藤田保健衛生大学医学部卒。名古屋大学医学部 産婦人科 研究生、名古屋第二赤十字病院 全科ローテイト研修、名古屋第二赤十字病院産婦人科、医療法人 成田育成会 成田病院、米国サウスカロライナ医科大学 生殖遺伝学教室留学、医療法人 成田育成会 成田病院などを経て、2008年より現職。すべてのライフステージに合わせた女性の健康を守るための医療を提供し、サポートしている。

セントソフィアクリニック https://su-e.asia/

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