徳川家康が好物としてよく食べていたといわれる「浜納豆」。浜納豆は、酵素や乳酸菌を豊富に含む食材で、健康づくりに役立つと知られています。名前に納豆とついていますが、見た目は黒豆のようで、ネバネバもしていません。ご飯にふりかけて食べたり、そのままおやつのように食べたりすることができ、おつまみや調味料としても幅広く活躍する優れものです。
今回は、現代人も積極的に取り入れたい日本古来の伝統食品「浜納豆」の魅力をご紹介しましょう。
戦国武将も愛した日本古来の伝統食品
浜納豆の歴史は古く、中国の漢の時代に大豆を麹菌で発酵させた「鼓(シ)」という塩辛納豆がよく食べられていたのが遣唐使の時代に日本に伝わり、平城京の都で市販されていたといわれています。
日本では、お寺で僧侶が作っていたことから「寺納豆」とも呼ばれていました。この塩辛納豆が浜名湖周辺のお寺などに伝わり「浜納豆」と呼ばれ、名産品として知られるようになったようです。
浜納豆は栄養価が高く保存性もあるため、戦国時代には兵糧として重宝されていました。徳川家康の好物として知られているだけでなく、足利義勝、今川義元、豊臣秀吉などの武将などにも好まれていたと伝えられています。
納豆と異なる製造方法・栄養価
納豆と浜納豆は同じ納豆という言葉がついていますが、異なる製造方法で作られています。
納豆は、大豆を柔らかく煮た後、納豆菌を加えて発酵させることでできあがります。一方の浜納豆は、柔らかく煮た大豆に麹菌と小麦を加えて発酵させ、豆麹が漬かる程度まで塩水を入れて重しを乗せて熟成させます。半年から約1年間熟成させたあと、天日で乾燥させてできあがります。
たんぱく質、食物繊維、ミネラルなどの栄養が多く含まれ、納豆と比較するとカリウムは約1.5倍、鉄は約1.7倍、亜鉛は約2倍多く含まれています。
ただし、食塩相当量は納豆が100g当たり0なのに対して、浜納豆は約14gありますので、食べる量は少なめにするとよいでしょう。
浜納豆はそのまま食べても、料理にも使える!
浜納豆は、じっくり発酵することで作られるため、赤味噌に似たまろやかな風味と深い味わいが特徴の食材です。納豆と同じような食感でそのまま食べることができ、お酒のおつまみにも最適です。
料理に入れるとコクやうま味が加わり、ホテルやレストランの料理、洋菓子、和菓子などさまざまな料理に利用されています。
今回は、簡単に作れる浜納豆を使ったレシピをご紹介します。
冷しゃぶサラダ浜納豆ソース
<材料(4人分)>
豚肉しゃぶしゃぶ用 400g
きゅうり 100g
レタス 50g
カットわかめ(乾燥) 10g
ミニトマト 8個
●浜納豆 大さじ1/2
●豆板醤 小さじ1
●酢 大さじ2
●砂糖 大さじ1/2
●濃口醤油 大さじ1
<作り方>
1.豚肉は熱湯に入れ、火が通ったら湯を切って冷ましておく。きゅうりは斜め薄切り、レタスは食べやすい大きさに手でちぎり、カットわかめは水に戻し、硬く絞っておく。
2.浜納豆はみじん切りにし、豆板醤、酢、砂糖、醤油とよく混ぜておく。
3.1とミニトマトを皿に盛り、2のソースをかけたらできあがり。
<レシピポイント>
浜納豆入りのソースは、しゃぶしゃぶ以外にもサラダのドレッシングとしてもおいしく食べられます。食物繊維の摂れるわかめといっしょに食べることで、腸内環境を整える効果が期待できます。
簡単! 浜納豆揚げ春巻き
<材料(3人分)>
浜納豆 20粒
春巻きの皮 3枚
ピザ用スライスチーズ 12枚
大葉 6枚
揚げ油 適量
水溶き片栗粉 適量
<作り方>
1.浜納豆はみじん切りにし、春巻きの皮は1枚を4枚ずつにカットし、12枚にする。大葉は半分に切っておく。
2.春巻きの皮に、大葉、チーズ、浜納豆をのせて包み、片栗粉を水で溶いた水溶き片栗粉を端につけ、皮をとめる。
3.揚げ油を140度に熱し、焼き色がつくまで揚げたらできあがり。
<レシピポイント>
揚げ春巻きにすることで、大人も子供も食べやすい料理です。大葉も入れて、食物繊維も補います。
日本の伝統食材である浜納豆は、栄養が豊富に含まれています。そのまま食べても、調味料としてもいろいろな料理に使うことができ、コクやうまみを足してくれます。毎日の食事に取り入れて、腸内環境を整えていきましょう。
【参考】
浜松名物の浜納豆とは?家康が愛した秘密を明かします。|発酵食で腸からhappiness
浜納豆とは|コトバンク
『日本食品成分表2017七訂本表編』|医歯薬出版株式会社