《専門家監修》国内初!「便秘診療ガイドライン」をチェック!

2018.05.18

便秘に悩む人が多いといわれる日本。厚労省の調べにより、およそ1千万人もの日本人が便秘の症状を訴えているという結果が出ています。高齢化が進んだことで、女性だけでなく男性にも増えており、目を背けがたい症状です。
2017年に、日本初となる「慢性便秘診療ガイドライン」が発表されました。今回は、このガイドラインに記載されている便秘の種類や治療法について解説していきます。

「慢性便秘診療ガイドライン」とは?

これまで、便秘はありふれた症状であると考えられ、真剣に治療研究がされていませんでした。しかし便秘に悩む患者数が増加し、正しい診断がされないケースもあったことから、診断技術の向上のために「慢性便秘の診断・治療研究会」が発足し、診療ガイドラインが作成されました。

これは、国内初の慢性便秘のガイドラインで、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。また、そのなかでも大きく2つにタイプ分けされています。

あなたはどのタイプ? 慢性便秘の分類

これまで慢性便秘は、弛緩性・痙攣性・直腸性の3つに分類されていました。しかし、医師により適切な診断をされずに「弛緩性便秘」として下剤を処方されるケースが多く、下剤の副作用が問題として取りあげられてきました。今回改めてガイドラインが作成されたことで、より適切な診断ができるようになったのです。慢性便秘は以下の2つのタイプに分けられます。

1.便の回数や量が少ない「排便回数減少型」

大腸内に糞便が滞り残ってしまっている状態で、排便の量や回数が少ないタイプです。この型のなかでも、大腸通過が正常な人と遅れてしまう人がいます。

・大腸通過は正常な「大腸通過正常型」
食事摂取量が少ないことが原因で量や回数が減り、便が固くなって排便が難しくなります。このタイプは、大腸が糞便を送り出す力には問題がないため、食物繊維や食事量を増やすことで改善されます。

・何らかの病気が原因…!?「大腸通過遅延型」
原因不明の突発的なものや、何らかの病気が原因でなるもの、薬の服用によるものがあります。大腸が糞便を送り出す力が弱いため、腸に糞便が滞ってしまいます。
このタイプは、食物繊維を増やすと逆に悪化してしまう恐れがあるので、下剤を使って治していくことになります。

2.肛門や大腸に原因あり…「排便困難型」

肛門付近にある直腸まで便が来ていても、そこから出すのが困難で、残便感が残ってしまうタイプです。こちらも、主に2つの原因が考えられます。

・大腸周りの筋肉の低下が原因!「機能性便排出障害」
直腸付近にある筋肉(恥骨直腸筋)の働きの低下が原因です。便を止める働きをしている恥骨直腸筋が、いきむ際にうまく協調運動せず、肛門が閉ざされたまま排便できない状態になります。これには、肛門を絞めたり緩めたりする訓練や、近年少しずつ取り入れられている「バイオフィードバック療法」と呼ばれる、肛門に圧力測定器を仕込んで肛門の力を抜く感覚を覚えていく療法により改善されます。

・加齢や出産などで起こる「器質性便排出障害」
加齢や出産、習慣的にいきむことで、直腸が変形し女性器の膣側にふくらんでしまう直腸瘤などが原因です。手術が必要となることがあります。

いずれのタイプも、病院でしっかりと検査を受けて診断されるものです。気になる症状がある方は、一度医師に診てもらうことをおすすめします。

下剤を処方されたら、薬の性質や正しい飲み方を知っておこう

医師に処方された下剤を飲むのも症状を和らげる手段のひとつですが、薬の特徴を知り副作用についても理解しておきましょう。ここでは、下剤のタイプについてご紹介します。

下剤は、刺激性と非刺激性の薬に分けられます。
刺激性下剤の代表薬「センノシド」には、アントラキノン誘導体という成分が含まれ、大量に飲み続けると大腸がんのリスクが高まります。

また、腸に刺激を与え続けると、腸が伸び切って垂れ下がり、変形してしまうこともあります。週に2回までの服用を基準とし、長期服用は避けましょう。

一方、非刺激性の下剤は、腸内の水分量を増やして便を柔らかくすることで、排便を促す働きがあります。刺激性下剤よりも効き方がマイルドで、副作用が少ないといわれています。代表的な薬として酸化マグネシウムやルビプロストンがあげられますが、これらの薬にも注意が必要です。

腎機能が低下している高齢の方などは、酸化マグネシウムを長期服用することで高マグネシウム血症を引き起こす恐れがあります。またルビプロストンは、妊娠している場合は服用できず、吐き気を催すという報告もあります。

下剤には多くの種類がありますが、正しく薬を処方してもらうためには、自身の体調や体のことをしっかりと医師に伝えることがとても大切です。また、薬を処方された際は、薬の特徴についてもしっかりと確認しておくといいでしょう。

「慢性的な便秘は寿命に関連する」という米国の調査結果も出ており、便秘は意外とあなどれない症状です。便秘で悩んでいる方も、そうでない方も、理想といわれる「軟らかいソーセージ状の便」を目指して、日々の生活を見直すところからはじめてみてはいかがでしょうか。

文・杉岡弥幸 監修・森田博美

【参考】
便秘解消に前進? 初のガイドラインの気になる中身|NIKKEI STYLE
「便秘治療ガイドライン」便秘薬のみ続けると大腸がんも!?|介護ポストセブン
慢性便秘症に効くのは食物繊維?酸化マグネシウム?…「国際基準」で的確治療|ヨミドクター
便意はあるのに出ない!?便秘の新タイプ解消SP|ためしてガッテン

この記事を監修してくれた方

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森田博美

漢方薬剤師。 都内の有名美容クリニックで漢方薬剤師として勤務した経験を活かし、セミナー、執筆、カウンセリング等を通じて女性の健康と美容に携わっている。現在はウィメンズ漢方( https://womens-kampo.co.jp)にて、妊活女性に対するカウンセラーとしても活躍中。
インスタグラム( https://www.instagram.com/romi1208/)や各種ウェブ媒体では、薬剤師の視点から美容やインナービューティについて発信を行う。ミスグランドジャパンに出場した経験を活かし、女性の健康的な美しさについてアドバイスを行っている。
漢方薬剤師 森田博美のウェブサイトhttp://romibalance.com

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