《医師直伝》おならが止まらない!呑気症(どんきしょう)と空気嚥下症の原因と対策

2018.04.27

人前で出てしまうと恥ずかしいおなら……。重要な会議や冠婚葬祭の場でおならが出そうになると、余計に緊張してしまいますよね。便秘でもないのにおならの回数が多く、なかなか止まらないようであれば、それは「呑気症(どんきしょう)」や「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」という症状かもしれません。

聞きなれない「呑気症」「空気嚥下症」とはいったいなんなのでしょうか? その正体を、おならで悩まされてきた人たちを長年診療してきた「呑気症」の第一人者、医師で歯科医でもある小野繁先生に教えてもらいました。

健康な体なのにおならが止まらない! その原因は?

食事も気をつけているし便秘の症状もない。なのに、おならやゲップが多くて悩んでいませんか? それは知らない間に空気を飲み込むことで起こる、呑気症の症状が考えられます。

呑気症は、緊張したときにつばを飲み込む行為や、食事の際に同時に空気を飲み込んでしまうことによって起こる症状で、別名を「空気嚥下症」ともいいます。

「“固唾を飲む”という慣用句がありますが、緊張や不安などで知らず知らずのうちにつばと同時に空気も飲み込んでしまい、おなかにガスがたまりやすくなるのです」と小野先生はいいます。緊張や不安を感じやすい人や、うつ症状を抱えている人に多いそうです。

噛みしめも呑気症の原因の一つです。通常、上下の歯の間は少し空いていますが、噛みしめることで上下の歯のすき間がなくなると、舌が上アゴについて飲み込みの反射が起こり、唾液が飲み込まれてしまいます。

鼻炎やアレルギーによる後鼻漏(鼻の奥から、のどの方に流れる鼻汁)を飲み込む動作も呑気症を起こす原因となります。長く続くようであれば、耳鼻科の受診をおすすめします。

呑気症によって胃やおなかにたまるガスの正体は、飲み込んだ空気です。それ自体は病気ではありませんが、おなかが張る、人前でゲップやガスが出るなど、日常生活に支障をきたします。

小野先生曰く、「すっきりと気持ちよくおならが出る場合はほとんどが呑気症です(笑)。臭いに関しては、食べたものの影響はありますが、おなかにたまった空気が出ているだけなので、ガスそのものはほとんど臭いません」とのことです。

なお、おならとして出ず、おなかにガスがたまり続ける場合は腸閉塞などの病気も疑われるため、医師の診断を受けましょう。

呑気症はどうして起こる? その仕組みを解説

呑気症は噛みしめやストレスなど、さまざまな原因によって起こります。歯科医としての知識と消化器外科の実績があり、両面からの考察ができる小野先生だからこそ提唱できた症状です。

呑気症が起こる仕組みの前に、通常、食事や飲み物を飲み込む作業(嚥下反射)を見ていきましょう。

1.歯をあわせる(噛みあわせる)
2.舌が上アゴに押し当てられる
3.唾液が舌の上からのどの方へ送られる
4.反射的にこの唾液を飲み込んでしまう

口の奥にある中咽頭には常に空気がたまっており、1〜4の動作をする際、食べ物や唾液と一緒に2~5cc程度の空気を飲み込むことがあります。ストレスや噛みしめなどにより唾液を飲む回数が増えると、その分飲み込む空気の量も増えます。また、鼻づまりや鼻から息を出さずに早食いをしたときにも空気が飲み込まれやすくなります。

食道や胃にたまった空気はゲップとして、大腸まで移動した空気はおならとして体外に排出されます。

ちょっとの工夫でおならは減る!

悪性ではない「呑気症」のおならですが、それでもおならの回数が多いと困ってしまいます。では、どうすれば「呑気症」の症状を改善することができるのでしょうか?

呑気を起こしている人に有効なのは、空気を飲み込まないようにすること。「飲み込むときには多かれ少なかれ空気が飲まれています。食べ物や飲み物を口に入れたら、口を結んで、口の中の空気を鼻から出してから飲み込むと、余計な空気は飲み込まずに済みます」と小野先生は実践してくれました。

ちょっとしたことですが、上記の動作を意識することで、呑気症の症状は軽くなるそうです。

この呑気症に悩まされている人は多く、小野先生のもとには多くの患者さんが全国からいらっしゃるそう。命に関わる病気ではないものの、おならやゲップで悩んでいる人は一度専門の先生に相談するのも改善への近道かもしれません。

この記事に取材協力してくれた方

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小野繁先生

東京医科歯科大学歯学部卒。1971年札幌医科大学医学部卒。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授(心身医学)、同歯学部附属病院客員臨床教授などを歴任。現在 竹山病院 心療内科(非常勤)

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