お通じの不調は、ストレスや食生活、生活習慣や月経などさまざまな要因が重なり合って引き起こされるといわれています。厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査の概況」によると、お通じの滞りを訴える女性は、男性の約2倍にも及びます。
「毎日決まった時間帯に排便があるのが理想だけど、なかなかうまくいかない……」と頭を悩ませる人も少なくないでしょう。
その問題、おなかを温めることで改善できるかもしれません。具体的な温め方や、おすすめの“温めスポット”を紹介します。
目次
おなかを温めてスッキリお通じを目指そう
スッキリしたお通じのために運動や食事などの生活習慣を見直すことは大切ですが、これまでの習慣を変えていくことは根気がいるものです。
そこで取り入れやすい習慣として注目されているのが、おなかを温めること。医療の現場では、入院患者のお通じ
のために看護師がおこなってきた「温罨法(おんあんぽう)」と呼ばれ、腰やおなかの部分の皮膚に温熱刺激を与えることで腸管の運動を助け、お通じを促すと言われています
お通じのためのおなかの温め方
病院でおこなわれる温罨法は、大きくわけてふたつあります。ひとつは60℃で10分間温める方法。もうひとつは、40℃で5時間温める方法です。
それぞれ以下のような結果が報告されています。
1.60℃で10分間温める方法(60℃の湯で絞った熱布を使用)
排便の回数が増加し、下剤の使用回数が減ったという報告があります。
2.40℃で5時間温める方法(薬局などで簡単に購入できる温熱シートを使用)
排便のない日数が減少し、お通じの滞りの自覚症状がなくなったとのことです。
なお、温罨法を何日間継続するのが良いのかや、決まった時間に温めると良いのかといった細かい部分に関しては、まだまだ研究の余地があるそうです。しかし、温めることに関してはお通じの悩みがある方にはおすすめなので
試してみる価値はあるといえるのではないでしょうか。
自分でおこなうなら使い捨てカイロや温熱シートが便利!
生活に取り入れやすく適切な温度でおなかを温めてくれるアイテムが、使い捨てカイロや温熱シートです。市販の使い捨てカイロは平均温度52~53℃が16~20時間持続します。温熱シートの場合は、約40℃が5~8時間ほど続くのが一般的です。
カイロは手軽に利用できる反面、使い方を間違えると低温やけどのリスクもあります。長時間同じ場所に貼り続けることや睡眠時に貼ったままにすることは避けた方がいいでしょう。また、皮膚に直接貼るのもNGです。必ず衣類の上から貼り、貼らないタイプのものはタオルで包むなどして、温熱刺激を調節しましょう。
広範囲を温めたい場合は、湯たんぽやペットボトルを活用したり、シャワーやドライヤーを当てたりするのもいいでしょう。ペットボトルにお湯を入れておなかまわりをコロコロ転がせば、熱と同時に力による刺激も与えられます。
温めるべき3つのスポットと効果
おなかを温めることがスッキリお通じにつながるとはいえ、ただ温めるだけではもったいない!
以下の部分を温めることを意識しましょう。
1.仙骨(せんこつ)
仙骨とは、骨盤の中央に位置する逆三角形状の骨で、骨盤の中にある生殖器を守る働きをしています。仙骨の近くを温めることによって血流がよくなるといわれています。
また、筋肉や脂肪が少ない仙骨は外からの熱が伝わりやすいため、温熱刺激を与えることで腸管の運動を活発にし、お通じを促します。
2.丹田(たんでん)
おへそから指4本分下にあるツボが丹田です。東洋医学では気力が集まるところともいわれ、女性特有の悩みも良い
とされています。
内臓でいうと腸がある位置であり、温めることによって腸の運動が活発になります。寒い時期にもおすすめのツボです。
3.大巨(だいこ)
長く続く滞りにも、短期的な滞りにもおすすめなのが大巨(だいこ)というツボです。おへそから指3本分外側に進み、さらにそこから指2本分下に進んだ左右対称の2カ所に存在します。
大巨を温めることによって腸のぜん動運動が活発になると言われていますが、やりすぎると逆にスッキリしたお通じから遠ざかることも。
おなかを温めると、腸のぜん動運動を活発化させるだけでなく、血流にも良い影響があります。おなかから全身の循環を整えて、スッキリ軽い身体で過ごしましょう。
【参考】
介護ポストセブン「仙骨ってどこ?「なんとなく不調」に効果アリの仙骨温め」
HUFFPOST「腰を温めて便秘を解消する際に、最適な温度とは?【私達を支える看護学3】」
AERA dot.「使い捨てカイロの貼る場所を知って、効果的にカラダを温めよう」
せんねん灸「とっておきの13のツボ 関元(かんげん)」
『温めるだけで体の不調がみるみる治る 温ツボ健康法』(マガジンハウス、福辻鋭記)
『家庭の医学』(主婦の友社)