抗生物質が有効なのはどっち? 「細菌」と「ウイルス」の違いについて

2018.02.20

インフルエンザやノロウイルスに代表されるウイルスと、サルモネラやカンピロバクターなどの細菌。私たちの身のまわりには、たくさんのウイルスや細菌が存在しています。場合によってはそれらが病気や食中毒を引き起こす原因となりますが、ここで、ふと気になることがありませんか? そもそもなぜ「細菌・ウイルス」とわけるのでしょうか。

いったい何が違うのか、きちんと理解している人は少ないかもしれません。ここでは、それぞれの特徴と気をつけたいポイントについて解説します。

ウイルスに抗生物質は効かない

細菌とウイルスはどちらも非常に小さく、肉眼で見ることはできません。ただしサイズには違いがあり、細菌はウイルスよりも数10倍~100倍くらい大きいのです。

また、細菌は水と糖などの栄養があれば自らの力で増殖することができますが、ウイルスは人や動物など、宿主になるものの細胞に入らなければ増えることができません。

もうひとつ大きな違いは、抗生物質が効くかどうかという点にあります。ペニシリンなどの抗生物質は、細菌を破壊することはできるのですが、ウイルスにはまったく効果がありません。

インフルエンザにはタミフルなどの薬がありますが、これは「抗インフルエンザウイルス薬」。つまり、体内でのウイルス増殖を抑えるもので、抗生物質とは異なるものです。

おもな病原体と感染症

ウイルスと細菌、それぞれの病原体には下記のようなものが挙げられます。

【ウイルス】

病原体……ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルスなど
感染症……感染性胃腸炎、インフルエンザかぜ症候群、麻疹、風疹など

【細菌】

病原体……黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌など
感染症……腸管出血性大腸菌(O157)感染症、結核、破傷風など

よく聞く名前もありますが、意外と混同している人も多いのではないでしょうか。

食中毒の原因はウイルスのほうが多い

厚生労働省が発表している「平成28年 病因物質別月別食中毒発生状況」によると、細菌による患者数は7,483人、ウイルスによる患者数は11,426人となっています。

ウイルスは低温や乾燥した場所で長く生きることができるため、ウイルス性食中毒は意外なことに気温が暑い夏ではなく、冬に多く発生します。なかでも最も多いのが、ノロウイルスによる食中毒。ウイルスに汚染された二枚貝を加熱が不十分まま食べたことによって起こるケースが多く、年間の食中毒患者数の半数以上を占めています。

体内の細菌による効果と「日和見感染」

「細菌=バイ菌」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、細菌は私たちの体内にもたくさん存在しています。これを「常在細菌」といいます。

体の中は適度な温度と湿度、また栄養もあるため、常在細菌にとって住みやすい環境なのです。とくに腸内には約100兆個もの細菌がすみついており、病原体の侵入を防ぐといった効果も発揮しています。
しかし、免疫機能が低下して抵抗力が弱った場合、通常は無害の常在細菌が感染症を引き起こすこともあるのです。これを「日和見感染」といいます。

清潔を保ち、食品は十分加熱する

感染症を防ぐためには、まず清潔を保ち、免疫力を低下させないことが大切です。手洗い、うがいはもちろん、栄養バランスの良い食事や適度な運動、規則正しい生活をこころがけましょう。

また、食中毒を防ぐ三原則は「清潔」「迅速&冷却」「加熱」です。まな板や包丁、布巾は清潔なものを使用し、調理前には手を洗いましょう。冷蔵・冷凍保存が必要な食品は、購入後すぐに冷蔵庫へ。食材は早めに調理し、十分に加熱しましょう。

細菌とウイルス、似ているようで実はそれぞれ違う特徴があるのですね。なお、1~2月はインフルエンザとノロウイルス感染症のピーク時期です。手洗い、うがいだけでなく、食中毒対策や日々の生活習慣などに気をつけ、感染症を防ぎましょう。

【参考】
細菌とウイルスとの違いとは
細菌とウイルスの違い、知ってますか?
知っておきたい!家庭の感染と予防
厚生労働省 食中毒統計資料/平成28年(2016年)食中毒発生状況
厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」

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