欧米人は海苔を消化できないって本当!?  食事と腸内細菌の関係

2016.11.16

腸内フローラにもお国柄が存在する!?

日本人のソウルフードともいえる「おにぎり」。そんな、おにぎりには欠かせない海苔ですが、欧米人はこれを消化することができず、そのまま便に現れてしまうケースがあるそうです。私たち日本人が海苔を食べた場合、一般的に、海苔がそのまま便に現れるということはありませんよね? この消化能力を与えてくれているのが、腸に住む菌たちです。海苔に代表されるように、腸内細菌は、その土地の食生活によって左右されます。そこで今回は、腸内フローラに表れる「お国柄」についてご紹介していきましょう。

国によって腸内細菌が異なる!?

1.健康な人の腸内細菌は3タイプに分かれる

腸内細菌のなかで、どんな種類の菌が優勢であるかを調べたところ、3つのタイプに大別できることがわかりました。このタイプには、小麦やとうもろこしといった穀類を主食とする人たちに多いプレボテラタイプ、肉食が中心の人たちに多いバクロイデスタイプ、この2つの中間に位置するルミノコッカスタイプがあります。

穀類のグループには中南米や東南アジア、アフリカ、肉食グループはアメリカや中国、中間グループには日本やスウェーデンが分類されます。きれいにわかれるというわけではなく、地域の食生活によって優勢になる腸内細菌の種類に一定の傾向がみられる、という調査結果で、アメリカ人でも菜食主義の人なら、腸内環境は野菜や穀類を多く摂っている地域の人に近くなります。

2.食生活を入れ替えると腸内細菌も変化する

なにを中心に食べているかで、優勢になる腸内細菌が異なるということは、食生活が腸内フローラの形成に大きく影響を与えているということでもあります。実は、これを実証した実験があります。

アメリカやヨーロッパで「大腸がん」は、発症しやすい「がん」として知られています。しかし、アメリカやヨーロッパとは食生活が異なる南アフリカの農村部では、大腸がんは発生率が低い病気とされているのです。同じアフリカを起源とするアフリカ系アメリカ人でも、大腸がんの発生リスクが高めです。

そこで2015年、アメリカの研究チームがアメリカに住むアフリカ系アメリカ人20人と、南アフリカ人20人の食生活をそっくり入れ替えてみたところ、2週間で腸内フローラが反転。アメリカ人の腸内フローラは南アフリカ人と同じ特徴を表すようになり、南アフリカ人の腸内は大腸がんの発生リスクが高くなることがわかったのです。

3.日本人特有の腸内細菌がいる

ご紹介してきたように腸内細菌は、その人が住んでいる土地で食べているものによって変わってきます。日本人は海苔だけでなく、海藻類の消化能力が抜群に高いのですが、その力を与えているのが腸内細菌のひとつ、バクテロイデス・プレビウスです。

この腸内細菌が、海藻を消化する酵素を作っているおかげで、日本人は海藻を消化することができるのです。ちなみにこの菌は、他の地域の人の腸内にはほとんど住んでいないこともわかっています。

腸にいい食生活を心がけよう!

食生活は、腸内フローラに大きな影響を与えます。日本人は海藻の消化能力が高いだけでなく、日本人特有の腸内フローラが、長寿や肥満の抑制に関係しているという指摘もされています。しかし、食生活が欧米化してきている現代において、その腸内フローラのバランスが変わりつつあるのも事実……。みなさんも一度、食生活を振り返ってみませんか? 代々受け継がれてきた腸内フローラを意識的に育てれば、きっと健康寿命も必然的に長くなっていくはずです。

※参考サイト
https://www.kenkodojo.com/column/guts/detail1.html
https://www.alic.go.jp/content/000122381.pdf
http://lvw.co.jp/%E5%A4%A7%E8%85%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E3%80%81%E8%85%B8%E5%86%85%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%AF%EF%BC%9F/

この記事を執筆してくれた方

author image

清水 波子

調剤薬局に勤務しながら、薬位まつわるコラムを執筆中。医学・薬学に関するお話を、噛み砕いてお話しします。漢方から東洋医学まで、薬に関することならお任せください!

pagetop