《専門家監修》「宿便」のタイプは1つじゃない?おなかの状態や排便状況からチェックしよう

「宿便」という言葉は、現在では一般的によく使われ耳慣れたものになりました。意味合いとしては「長い間たまって腸を汚している古い便」といった解釈でしょうか? 実は「宿便」は医学用語ではないので、医療従事者にとってはなじみがなく、うまく説明ができません。

そこで、約1万人の腸の中身をみてきた齋藤早苗氏の体験や経験から、いわゆる「宿便」のタイプについて、教えてもらいました。

「宿便」のタイプには複数ある

よく、「宿便は本当にあるのか!?」といった質問をうけますが、個人的には「『宿便』はある」と認識しています。

ただ、その言葉が指す意味は、前述の「長い間たまって腸を汚している古い便」よりも、もっとさまざまな状態が含まれると考えているのです。たくさんの方のおなかに触れてきた経験で考える「宿便」には、大きく3つのパターンがあります。それぞれのパターン別に解説していきます。

1.大腸の奥にある「滞留便」

通常の便の形成過程では、直腸(上のイラストの、中央下部)で便は固くなり、排出されます。しかし、その前の段階で固くなってしまい、たまった状態になってしまうこともあるといいます。

医療従事者が認識している「宿便」とは、一般的にこの滞留便を指していると思います。通常、便は腸の出口近くの左下腹部あたりのS状結腸(上のイラストの右下部分)と呼ばれる位置で固まります。

しかし、大腸の動きが悪くなり、便通が滞ってくると右側のウエスト辺りにある右結腸曲(上のイラストでは、左上の曲がり角部分)と呼ばれる大腸の部分に、固形の便が詰まったようにたまることがあるのです。

実際に「コロンハイドロセラピー(腸内洗浄)」の施術前におなかを触ると、おへその右側からウエスト辺りにかけてゴツゴツとした物を触っているような感触がある方がかなりいます。

便秘を自覚している方で、何日も排便がないときは、おなかを押して確認してみましょう。ときには便秘薬などをかしこく利用して、定期的に排便するのも腸ケアのひとつです。

2.胃腸の処理能力を超えたため、腸内に停滞した内容物

厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食物繊維の摂取目標値は、成人男性で1日20g以上、女性は18g以上なのに対して、「平成30年国民健康・栄養調査結果」での数値は男性が14.7g、女性が14.1gと、通常の食事では不足しがちです。しかし、摂取不足を意識し過ぎて、かえってとりすぎになってしまうことも…。

胃腸の処理能力を超えた量を食べてしまうと、腸内に内容物が停滞するときがあります。これも「宿便」のパターンの1つといえるでしょう。このタイプの方は、おへその周りがパンパンに張っています。駅弁で有名な「イカめし」を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。

この症状の方に生活習慣を聞いてみると、夜遅くにたくさん食べたり、消化の悪い玄米や硬い食物繊維をたくさん食べたりしていることがわかりました。

「夜遅くにたくさん食べている」「すぐに胃が苦しくなる」「朝に食欲がない」「最近便の量が減ってきた」そんな習慣や症状がある方は要注意です。もしかすると、小腸にも「宿便」が未消化物としてたまっているかもしれません。

ケアのポイントは胃腸の休息です。動く隙間もないほどパンパンに詰め込まれている腸を労わるため、胃腸が重苦しく感じたら、思いきって夕食を1回抜いてみるなど、食事量を減らすことを考えてみてはいかがでしょうか。

3. 絶食や断食が続いたときに見られる排泄物

齋藤氏によれば、上記の「宿便」とは違うタイプには、体からの「SOS」の知らせともいうべきものがあるのだとか。その理由とは…。

何日も食事をせず栄養素の補給がなされない日が続いたあとは、細長い茶色いヒモのような排泄物が出てくることがあります。これも「宿便」と解釈することがあります。

しかし、これは他の「宿便」と呼ばれるものとはちょっと性質が違います。飢餓状態へのSOSだと考えてください。

ある一定の飢餓状態の後に出てくる茶色いヒモ状の排泄物の正体は、「脱落した腸粘膜の塊」です。この腸粘膜に生息する腸内細菌は、私たちが毎日食べる食物をエサとしているため、栄養がストップすると餓死してしまいます。すると、腸粘膜はやがて腐敗して、ゴソっと一気に脱落してしまうのです。

絶食・断食をした経験がある人のなかには、この細長いヒモのような便をみて「宿便が出た!」と思った人もいるかもしれません。しかし私たちが健康でいられるのは腸に生息している腸内細菌のおかげでもあります。意図的に出すことがよいとは判断しかねます。

いわゆる「宿便」の性質を知れば、腸をどうケアすればいいかもわかりやすくなります。自己判断でも十分ですが、どうしても気になるという人は医師などに相談して腸内環境を改善していきましょう。

kintre!の記事「『食べ物のカス』だけではなく『腸内細菌の死がい』も! 便の『組成』を知っておこう」にもありますが、便に含まれる成分のうち、約80%は水分。水分以外の残り20%は「食べ物のカス」「はがれた腸粘膜」「腸内細菌の死がい」などなのです。つまり水分と食べ物のカスがない状態の便、というわけです。

腸内環境の改善方法は「kintre!」の過去記事から

齋藤氏が解説してくれた、「宿便」の3タイプ。自分のタイプが思い当たる人もいるのでは? kintre!では、さまざまな便秘対策法を紹介しています。便秘のお悩みを解決するヒントとして、気になる記事をぜひ合わせてご覧ください。

【参考文献】
「平成30年国民健康・栄養調査結果の概要」「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)

この記事を監修してくれた方

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齊藤 早苗

コロンハイドロセラピスト・インナー美人アドバイザー
看護師として大学病院などに勤務。2000年、米国で腸内洗浄の研修を受け、8000人以上のガンコな便秘やポッコリおなかに悩む女性に、腸内洗浄(コロンハイドロセラピー)を行う。現在、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座(http://www.腸内洗浄クリニック.com)にて現職。また、腸の健康推進や腸もみマッサージ指導などの啓発活動として、セミナーや講演、TVや各種雑誌の取材などにも応じる。日経ヘルスで連載した「おなかのきもち」は大好評にて8年間の長期連載記録を樹立。「美女になる腸トレ」(小学館)・「美腸やせ」(主婦と生活社)など著書多数。早稲田大学卒。国際コロンハイドロセラピー協会会員。日本抗加齢学会会員。
齊藤早苗公式サイトhttp://www.saito-sanae.com/

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