災害時に必要な携帯トイレ、選ぶポイントと用意すべき数を知りたい!

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それまでの生活が一変してしまう災害時、私たちはどうやって排泄をしていけばいいのでしょうか? 「ストレス状態が続く非常時に、トイレだけでも普段通りに使えることは、とても重要です」とNPO法人「日本トイレ研究所」の代表理事・加藤篤さんはいいます。

今回は、携帯トイレの選び方や必要な数などを加藤さんに教えていただきます。

災害時用の携帯トイレの種類と選び方

災害時用の携帯トイレには、さまざまなタイプがあります。自宅に常備しておくには、どのタイプがオススメでしょうか?

「災害時であっても、トイレは普段と同じように安心できることが大切です。自宅のトイレは使い慣れた貴重な空間なので、もし断水していたとしても、有効活用すべきです。そういった意味で、便器に設置するタイプの携帯トイレがオススメです」

排泄物の処理方法も、薬剤でゼリー状に固めるタイプや、タブレットで菌を分解するタイプ、シートに吸収させるタイプなどさまざまです。これも家族がストレスなく使いやすいものを選びましょう。実際に数種類購入して、家族で試してみるのもいいですよ。

災害時用の携帯トイレはどのくらい用意しておくべき?

それぞれに合う携帯トイレを見つけたら、どのくらいの量を準備しておけばいいのでしょうか?

「よく、何日分準備しておけばいいですか? と聞かれるのですが、日数より重要なのは回数です。家族の1日の排泄回数、そして住んでいる自治体のインフラ復旧予定日数(自治体のHPをチェックしましょう)を調べてください。家族の人数×トイレに行く回数(1日あたり)×備蓄日数で計算すると、どのくらい準備すればいいか割り出すことができます。最低でも7日分は用意しておいていただきたいです。」

1日あたりのトイレの回数を知るためにも、年に1回は家族で災害時のトイレについて話し合っておいた方がいいですね。

携帯トイレには、「1回分」「●cc」など、使用回数や吸収量が記載されているものもあり、なかには連続して使える商品もあるそうです。

「自分の1回あたりの排泄量をざっくりと計算してみるといいですよ。大人の1日あたりのおしっこの量は、約1200〜1500㎖といわれています。たとえば、1日に1400㎖で7回排泄する場合は、1400÷7=200㎖、つまり1回あたり約200㎖です。仮に800㎖まで吸収できるものなら、大きく見積もって3回は連続して使用できます。ただし、連続使用できないものもあるので、注意してくださいね」

携帯トイレを効率的に使用できれば、ゴミの量も抑えられます。ただし、これはあくまでもおしっこの場合。うんちは臭いの原因にもなるため、1回ごとに捨てるようにしましょう。

災害時に必要な携帯トイレですが、もし準備していないときに災害が起きてしまったら、何かで代用できるのでしょうか?

「オムツやペットシートなどで吸収させることも考えられますが、応急的に対応すると、使いづらかったり、周辺や衣服を汚してしまったりする可能性があるので、災害時用に開発された携帯トイレをオススメします。災害時はさまざまなストレスで悩まされますから、トイレだけでもシンプルに使えるものが必要です。携帯トイレは必ず常備するようにしてください」

洗濯や入浴などもままならない災害時には、できるだけ衣服や体を汚したくないものです。非常食と同様に、携帯トイレも防災用品のマストアイテムといえます。

トイレのほかに用意しておくといいもの

災害時は水道や電気などのインフラ機能が停止してしまいます。携帯トイレ以外に準備しておくべきものをリストアップしてみましょう。

<必ず準備しておくもの>

・携帯トイレ
・大きめのゴミ袋(通常、水洗トイレの底には水がたまっています。そのまま携帯トイレを取り付けると濡れてしまうため、便座の下に大きめのごみ袋を被せておくと効果的です)
・トイレットペーパー(トイレ同様、家族の回数×インフラ復旧日数分を準備しましょう)
・ウェットティッシュ(水道が止まった場合、手についた汚れをふきとるために使用します)
・アルコール消毒剤(水道が止まった場合、手指を消毒するのに便利です。ウエットティッシュで汚れを落としてから使用しましょう)
・女性なら生理用ナプキン、赤ちゃんや介護が必要な人がいる場合はおむつ(ふだん使っているものを、1日の必要枚数×1週間分くらい準備しましょう)
・ランタン(停電になった場合、トイレの空間全体を明るくするため)
※懐中電灯は片手がふさがってしまううえ、当てている場所しか照らせないため、トイレには不向き

<あったら便利なもの>

・ヘッドライト(ランタンがない場合。排泄中は両手がフリーになるライトが便利)
・防犯ブザー(女性や子どもは持っていると、いざというときに安心)
・S字フック(トイレを利用する際、トイレットペーパーやランタンを引っ掛けるのに便利)
・ポンチョ(万が一、個室が確保できないトイレを利用する際、体を隠すのに便利です)

外出中に災害に見舞われる可能性もあるので、バッグに携帯トイレを入れておくことも大切です。最近はセットになっている商品もありますよ。
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また、集合住宅の場合は、災害時に排水管が壊れてしまうと建物全体に影響が出てしまいます。排水管が壊れているのに無理に水洗トイレの水を流してしまうと、トイレットペーパーと排泄物が詰まってしまい、汚水が溢れたり逆流したりしてしまう恐れもあります。

災害に見舞われたとき各部屋でどう対応するべきか、マンション全体でルールを決めておくのも大切なこと。お住まいの住宅がどんなルールにしているのか不明な場合は、管理会社に問い合わせてみてください。“モノ”の準備だけでなく“ルール”も準備しておきましょう。

「災害時は全てが非日常です。その中で、トイレは唯一1人になれる場所です。トイレの備えをしておくことは、安心につながると思います」と加藤さん。

実際に災害を体験してみないとわからないことは多いですが、過去の災害から学ぶことは多いです。この機会に、災害時のトイレについて考えてみてはいかがでしょうか。

【取材協力】
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NPO法人日本トイレ研究所代表理事 加藤篤
まちづくりのシンクタンクを経て、現在、特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事。野外フェスティバルや山岳地などにおけるトイレ計画づくり、災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、養護教諭を対象にした研修会、子どもたちにトイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。「災害時トイレ衛生管理講習会」を開催し、災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組んでいる。日本トイレ大賞(内閣官房)審査委員、避難所の確保と質の向上に関する検討会・質の向上ワーキンググループ委員(内閣府)、徳島県災害時快適トイレ計画策定検討委員(徳島県)も務める。
おもな著作文等に、『うんちさま』絵本(金の星社)、『四快のすすめ』(共著・神山潤編)(新曜社)、『元気のしるし朝うんち』(共著)(少年写真新聞社)がある。

日本トイレ研究所:https://www.toilet.or.jp/

災害用トイレガイド:http://www.toilet.or.jp/toilet-guide/

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