健康美を正しく知ろう! 女子大生が取り組む「女性の健康プロジェクト」に迫る<前編>

健康美を正しく知ろう! 女子大生が取り組む「女性の健康プロジェクト」に迫る<前編>

慶應義塾大学渡辺賢治研究室では、10代~20代の女性の健康リテラシー向上を目的とした「女性の健康プロジェクト」を実施しています。これは、女性にとって健康美がいかに大切かを女性のカラダのバロメーターである基礎体温について知り、基礎体温を計測、手帳につけていくことで自分のカラダを知ってもらい、若い頃から健康美についての正しい知識を持ってもらうための取り組みです。

女性の健康美や具体的なプロジェクト内容について、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員 /総合政策学部講師(非常勤) 本田 由佳先生、環境情報学部 上﨑彩絵さん、総合政策学部 金子紗由香さんの3人にお話を伺いました。

本当の「美」とは? 「女性の健康プロジェクト」で伝えたいこと

健康美を正しく知ろう! 女子大生が取り組む「女性の健康プロジェクト」に迫る<前編>
左から上﨑彩絵さん、金子紗由香香さん、本田由佳先生

――「女性の健康プロジェクト」を始めたきっかけを教えてください。

本田由佳先生(以下、本田):現在、わが国では20~30代の日本人女性は、4人に1人が「やせすぎ」と言われており、さらには、小学生~高校生の間でも“やせ願望”を持ちダイエットに励む女性が増えています。女性の「やせすぎ」は、さまざまな病気を引き起こすリスクがあるばかりではなく、将来生まれてくる赤ちゃんの健康にも影響を及ぼします。

そのことについて渡辺賢治先生より「ぜひ、私の研究会の学生さんに話して欲しい」と特別講師の依頼をいただき、授業させていただいたのが昨年の4月。その授業を受けて「真の健康美についてもっと早く知りたかった……」と感じた女子学生4名が、翌5月に自主的にプロジェクトを発足しました。

現在、プロジェクトメンバーは9名に増え、若い頃から健康とは何かを正しく判断できる知識と、やせすぎの防止、月経異常や体調不調の早期発見を促進する取り組みと研究をしています。私はこのプロジェクト立ち上げ当初から現在までアドバイザーとして、活動のサポートをさせていただいています。

――日本にやせすぎの女性が多いのには、どんな理由があるのでしょうか?

本田:日本では、メディアの影響などもあって、「やせた体=美」という認識があるため、「やせてきれいになりたい」と無茶なダイエットを繰り返す女性が多いことが考えられます。すでに海外ではこうした認識を改善すべく、広告に健康的でふくよかな体の女性を起用したり、BMIが18未満のモデルを起用することを禁止したりと、さまざまな取り組みが行われています。

しかし日本では残念ながら、こうした国単位の政策は行われておらず、「やせている女性は美しい」という概念にとらわれた女性がまだまだ多いのが現状です。このプロジェクトを通じて、「本当に美しいことは健康であること」という認識を持ち、もし間違った情報が流れても、自分で正しい判断ができるようになって欲しいと思います。

健康美を目指すことは、将来の選択肢を増やすためにも大切なこと

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――先ほど、「やせすぎによる病気」とおっしゃっていましたが、具体的にはどういった病気のおそれがあるのでしょうか?

本田:過度なダイエットは女性ホルモンの分泌量を低下させてしまいます。そのため、月経不順や無月経に陥りやすく、不妊の原因にもなりかねません。また、無月経は骨密度の低下にもつながります。将来、何かやりたいことが見つかった時や子どもが欲しいと思った時、健康な体でないとそれらを実現することは難しくなってしまいます。

――そのために、若い頃から正しい知識を持って、健康的な体作りをする必要があるということですね。

本田:はい。月経は個人差があるため、多少の痛みがあっても薬を飲んで済ませてしまう人が多く、「何となく体調が悪いかな?」というくらいでは、婦人科へ足を運ぶことはないと思います。しかし、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあるのです。

「女性の健康プロジェクト」では、女性の健康美についての正しい知識を広めることで、婦人科疾患や不妊に悩む女性を1人でも減らし、さらに、生まれた赤ちゃんの健康を守りたいという思いがあります。

そのためには、何かあったら婦人科へ行くというのではなく、かかりつけの婦人科の先生持つようにして、少しでも異変を感じたら先生に相談する習慣を持って欲しいと思います。ぜひ、月経が初めて来たら、一生付き合える病院と先生を見つけて欲しいです。

――今回のプロジェクトの中で、なぜ「女子学生向け基礎体温記録手帳『BEAUTY&HEALTH DIARY』」を作られたのでしょうか。

月経は痛みや感情の起伏など、何かとわずらわしいことが多いもの。そこで、「女性の健康プロジェクト」では、こうした月経によるマイナスイメージをポジティブイメージへ変えるべく、女子大生が中心となり、「女子学生向け基礎体温記録手帳『BEAUTY&HEALTH DIARY』」を作成しました。

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空色の表紙がかわいい「BEAUTY&HEALTH DIARY」

女子大生ふたりがプロジェクトに参加したワケとは?

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右から金子紗由香さん、上﨑彩絵さん

――プロジェクトメンバーであるおふたりは、大学でどういった研究をされているのでしょうか?

金子紗由香さん(以下、金子):女性がヘルスリテラシー(健康面で適切な判断をするために必要な知識や情報を調べて理解し、効果的に利用することができること)を持つことで、健康の向上に役立てられるのかという研究をしています。知識が身につくことで、その知識を行動に活かし、それにともなう変化について調べています。

上﨑彩絵さん(以下、上﨑):私は基礎体温と生活習慣についての関連性を研究しています。

――「女性の健康プロジェクト」に参加しようと思ったきっかけを教えてください。

金子:本田先生の授業を受けた時に「私は女性の健康に対する知識を持っていない」と自覚しました。同時に、私と同じように女性の健康について知識不足の女性は多いのではないか、そういった女性へ向けて、知識を広げていく活動がしたいと思い参加しました。

上﨑:渡辺賢治研究室は、未病(健康とはいえないが病気ともいえない状態)の研究を行う研究室なので、そこで若者の健康についての研究がしたいと思っていました。そこへ、本田先生の授業を受けて、女性の健康はこれからの時代にもっと大切になると考えて学生4人でプロジェクトを立ち上げました。

後編では、気になる手帳の内容と研究成果をご紹介します。

【取材協力】
本田由佳
慶應義塾大学SFC研究所 健康情報プラットフォーム・ラボ
上席所員/総合政策学部講師(非常勤)/健康科学者/博士(医学)
横浜生まれ。一児の母。ワーキングマザー歴20年。元東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学分野客員研究員。
自ら経験した極端なダイエット、妊娠・出産・子育てがきっかけで女性健康科学者となった。2012年7月まで株式会社タニタ開発部研究員として、女性や子ども、プロサッカーチーム選手の身体組成の研究、睡眠計の開発等を行った。現在はICTを用いた健康情報管理システムの研究をしている。夢は「女性と子どもの健康力をあげて日本を元気にすること」。著書に「ママと赤ちゃんにやさしい 産前・産後のボディケアとビューティーメソッド」(あさ出版)「価値創造の健康情報プラットフォーム:医療データの活用と未来」( 慶應義塾大学出版会)がある。
現在は、日本第一号 健康科学者として、女性の健康全般に関する研究を大学で実施している。

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