発酵食品の専門家・高橋香葉さんに聞く(後編) おうちでできる発酵食レシピ

発酵食品の専門家・高橋香葉さんに聞く

左奥より、甘酒、きな粉甘酒、米麹(板麹)、米麹、味噌、塩麹、醤油麹(しょうゆ麹)

発酵食品のスペシャリストである高橋香葉さんにお話を聞く(前編)では、発酵食品の魅力についてお話をいただきました。後編では、さらに実用的な話題へ。自宅で使える発酵食レシピやおすすめの調味料などについて、お話をお聞きしました。

――発酵食品を楽しむうえで、初心者でも手軽に使えるものはありますか?

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高橋:一番のおすすめは醤油麹です。醤油に米麹を混ぜて発酵させた調味料なのですが、さまざまな調理に使えるのでとても万能なんですよ。それに、醤油は加熱処理をしているので、発酵過程で作られた酵素が失われてしまうものも通常ですが、醤油麹は米麹を足すことで、再び発酵をするため麹菌の働きにより酵素が復活します。また、同じ量の醤油を使うよりも塩分を控えることができるので、健康的でもあります。

――醤油麹を使ったレシピにはどんなものがあるのでしょうか。

高橋:手軽に味わうなら、卵かけご飯、冷奴にかけてみてください。マヨネーズと醤油麹を合わせることで、手軽にワンランクアップした生野菜のディップにもなります。

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醤油麹は、米麹が甘味を引き出してコクが出るので、醤油のみの時よりも角が取れた丸みのある味わいが楽しめます。ゆで卵を醤油麹で包んでラップをして1日~3日置くと、美味しい味付け卵になりますし、肉を漬け込んでおけば、柔らかくなって味付けも必要がありません。醤油の代わりとして使えるので、「あと1品欲しい」という時にも便利ですよ。

――本当に手軽で万能ですね。これならすぐに取り入れられそうです。ちなみに、さまざまな発酵食品がある中で、摂取する時に気を付けたいことなどはありますか?

高橋:甘酒はビタミン群やミネラル、食物繊維などが豊富で美容や健康にも効果的な発酵食品ですが、飲み過ぎるとカロリー過多になってしまう恐れがあります。また、摂取する時間帯も夜よりは朝のほうがいいですね。甘酒に含まれるブドウ糖は、脳を働かせる効果がありますから、朝食代わりにコップ1杯飲むのがいいでしょう。きな粉を足すと、イソフラボンも摂取できるのでおすすめですよ。また、甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価が高く、夏バテ防止や疲労回復にも効果的です。

――発酵食品は微生物の働きがあるため、温度管理などデリケートな印象がありますが、自宅での保存方法で気を付けたい点はあるのでしょうか。

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手前は6カ月発酵させた味噌、奥は4カ月発酵させた味噌

高橋:まず覚えておきたいのが、「発酵」と「腐敗」には明確な違いがないことです。人の体に良いものは発酵、悪いものは腐敗と人間が決めたものなのです。発酵食品を保存している時に、「酸っぱくなった」「カビが生えた」などの変化があれば、賞味期限に関わらずに使用を中止してください。これは、自宅にいる外部の菌が入ってしまって、腐敗した可能性があります。また、発酵食品は開封して空気に触れることや保存温度によって、発酵が進んでいきますから、それに合わせて味や色にも変化が表れます。発酵が進まないようにするためには、低温度で微生物の働きを鈍らせることがベストなので、冷蔵庫で保管するのが良いでしょう。

健康と美容に良い発酵食品は、現代人にとってはなくてはならないもの。また、古くから日本の文化に根付いた発酵食品は、料理を作る時のひと工夫として取り入れたり、旅先の観光やグルメのひとつとして取り入れたりと、さまざまな楽しみ方が可能です。ぜひみなさんも、「発酵食ライフ」を始めてみてくださいね。

【取材協力】
高橋香葉(たかはし かよ) 発酵料理研究家
http://takahashikayo.blog.fc2.com/

「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。現在も、日本全国の蔵を回り勉強を続けている。米麹の香りから、作り手の性格が分かるなどの特技を持つ。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。

主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等

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