キノコの一種? ふしぎで楽しい“変形菌”って一体ナニ?<後編>

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)

キノコのようでキノコではない、不思議な生き物「変形菌」。前編では、その奥深い世界の研究に励む「日本変形菌研究会」の活動内容についてうかがいました。

後半では、身の回りで観察できる変形菌の楽しみ方や学び方について、聞いてみました。

公園にも!? 意外と身近に生育する変形菌

―代表的な変形菌には、どんなものがあるか教えてください。

変形菌は世界で800種類以上、日本で約400種類が知られています。高校の生物の教科書では、「ムラサキホコリ」が採り上げられることが多いです。

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)
ムラサキホコリ

キノコ栽培地でキノコを食べてしまう「ブドウフウセンホコリ」、芝生を汚してしまう「ハイイロフクロホコリ」などが注目されることがありますね。

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)
ブドウフウセンホコリ

また、長雨が続いた後などに、大型の「ススホコリ」が発生して人目を引くこともあります。

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)
ススホコリの変形体

―普段の生活の中で、実際見ることができる種類はありますか?

人間の生活で変形菌を見ることは少ないかもしれませんが、決して珍しい生き物ではありません。

たとえば街路樹や公園の木の樹皮にも、小さな子実体を作る種類が普通に生育しています。雪深い地域では春の雪融け跡に大量に子実体が見られる「好雪性(こうせつせい)」の変形菌も数多く知られていますよ。

気付かないだけで、野外は変形菌であふれているんです。

見た目の美しさや未知の部分が人を惹きつける

―ズバリ、変形菌の魅力は何でしょう?

まず、子実体の多彩な色や形に魅かれる人は多いです。クローズアップした画像を作ったり、デザインに取り入れたりして楽しんでいます。

また変形体の挙動に興味を持つ人もいます。変形体の動きを利用して迷路を解かせたり、路線図を描かせたりと、ユニークな研究を行う先生もいるんですよ。

変形菌類は、アメーバ状の変形体の時期には、大きくなると1㎡以上になりますが、単細胞で硬い殻を持っているわけではありません。

一見弱々しい生き物が、倒木や落ち葉の下でどのように生育しているのかは、まだ完全にはわかっていないのです。

しかし変形菌は、根雪の下や砂漠の真ん中にも進出します。もちろん身近にも生育しており、地球上の歴史の中で、生き残ってきた一つのモデルケースといえるのです。我々人間がまだ知らない、“地球の使い方”を変形菌が教えてくれている気がするんです。

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)
ヨリソイヒモホコリ

本やイベントで変形菌をもっと知ってみよう

―「変形菌についてもっと知りたい!」そんな人におすすめの本や、学べる場所などはありますか?

初心者には『森のふしぎな生きもの 変形菌ずかん(川上新一・伊沢正名、平凡社)』がおすすめです。図がふんだんに使われているので、初めて変形菌の世界に触れる人には読みやすいでしょう。

日本変形菌研究会では、会員以外でも参加できるイベントを各地で開催しています。ふしぎだけどどこか愛くるしい変形菌の世界。興味を持たれたら、研究会のHPから、イベント情報をぜひチェックしてみてください。

ユニークな生態や美しさを持ちながらも、未だ謎の多い変形菌。私たちの身近な場所にも生育しているので、この夏ひっそりと生きる変形菌を、探してみてはいかがでしょう。

【取材協力】
日本変形菌研究会
http://henkeikin.org/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(2)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう