キノコの一種? ふしぎで楽しい “変形菌”って一体ナニ?<前編>

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(1)

突然ですが、「変形菌」というモノを知っていますか? 長い間キノコの仲間だと考えられていた不思議な生き物が、変形菌なのだそうです。

いまだ謎の多い生き物である変形菌ですが、今回「日本変形菌研究会」の松本淳さんに、そのふしぎな生態をはじめ、変形菌研究会の活動についてお話をうかがいました。

変形菌はキノコではなくアメーバの一種

―そもそも、変形菌とはどのようなものなのでしょうか?

変形菌とは、キノコやカビのように「子実体」で胞子を作って繁殖し、大型アメーバ状の変形体となる生き物です。周囲の小さな生き物や有機物を食べて育ちます。

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ルリホコリ

―変形菌はキノコの一種ではないってことですか?

変形菌は現在、「アメーバ類」であることがわかっています。キノコやカビなどの菌類のように胞子をつくって繁殖するため、長い間菌類の仲間だと考えられてきました。

菌類は、胞子が発芽すると菌糸(きんし)という細胞壁をもった糸状の細胞を伸ばします。これに対して、変形菌では10㎛ほどの小さなアメーバが生まれます。このアメーバはバクテリアなど周囲の小さな生き物や有機物を食べて成長し、やがて大型アメーバ状の「変形体」となります。

現在では、変形菌はアメーバの仲間で、子実体を作ることにより、空中を飛んで繁殖するように進化した生物と考えられています。
たとえば哺乳類のコウモリ、恐竜から進化した鳥類、花粉を散布する顕花(けんか)植物などと同じように、空中を利用するように進化した陸上生物なのです。

子実体の時期は、一見、キノコと見分けがつきにくい変形菌ですが、生態の違いなどみていくと、実は違いが明確です。
写真をじっと見ていると、なんだかクセになる愛くるしさを感じる人もいるかもしれません。

変形菌学会に変形菌の楽しさを教えてもらう(1)
タチケホコリ

全国から変形菌好きが集まる「日本変形菌研究会」

変形菌を愛し、研究するという「日本変形菌研究会」。一体どんな人がどんな目的で、この会に参画しているのでしょう。

―「日本変形菌研究会」とは、どのような経緯で立ち上がった団体なのでしょう?

日本変形菌研究会は、変形菌に興味を寄せる人々の交流と研究を目的として、1977年に約10名からスタートしました。現在は日本全国に約200名の会員がおり、変形菌に興味を持つ方ならどなたでも会員になれます。
会員には大学や博物館、研究機関に勤務する研究者もいますが、アマチュアの愛好家も多いんです。

―具体的に、どのような活動をされているのでしょう?

年3回の野外観察会、年1回の研究発表と講演会、年1回の会報『変形菌』の発行をおこなっています。
そのほか、博物館の展示会や観察会のサポート、各種イベントへの講師の派遣など、変形菌に関する活動を支援しています。
今年8月には和歌山県田辺市で「第9回国際変形菌類分類生態学会議」を主催しました。世界中から変形菌研究者が集まって、研究発表や野外観察を通じて、学術的な交流をおこないました。

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ハチノスケホコリ

ふしぎな生態で多くの人を魅了している変形菌。そんな変形菌の魅力にとりつかれた方達が、熱量高く活動をおこなっているのがよくわかります。

インタビュー後半では、身近な場所で見られる変形菌や、変形菌の魅力について、より深く語っていただきます。

【取材協力】
日本変形菌研究会
http://henkeikin.org/

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