子どもの便秘を放置すると遺糞(いふん)症になる?(前編)

子どもの便秘を放置すると遺糞(いふん)症になる?

便秘は大人だけでなく、子どももなるものです。さらに、子どもの便秘は放置しておくと「遺糞(いふん)症」になる可能性があります。

遺糞症とはどういうものなのか? その原因は? 東京女子医科大学小児科・主任教授永田智教授に伺いました。

赤ちゃんのころからの便秘が原因になることも

——遺糞症とはなんでしょうか? 症状も含めて教えてください。

「幼稚園に入園する年齢になってもトイレで排便せず、下着に便失禁してしまう状態が1カ月に1回以上あり、3カ月以上続いた場合を「遺糞症」といいます。

その背景にはしつこい便秘があり、石ころのように硬くなった便の周囲からやわらかい便が染みでて、便失禁をおこしてしまうのです。

また、遺糞症は女の子よりも男の子に多く、男の子では100人に1人程度にみられるといわれています」

——遺糞症の原因はなんでしょうか? 子どもが便秘になりやすい時期も含めて教えてください。

「乳幼児期から続く習慣性の便秘が一番の原因になります。便秘の始まる時期はお子さんによって異なりますが、離乳食開始以降など乳児期におこることも珍しくありません。お母さんに聞くと、たいてい『赤ちゃんのころから毎日便がでていなかった』という答えが返ってきます。ときに、厳しすぎるトイレットトレーニングなどの精神的な要因でおこることもあります。

便秘が続くと腸は太く長くなり、ますます便をため込みやすくなります。つまり、便秘が習慣化するわけです。便が硬くなると排便時に肛門が裂けるなどして、痛みを伴います。そのため、硬い便によるつらい排便しか経験していないお子さんは、トイレは暗くて怖いところというイメージを持っていることが多いです。次第にトイレが嫌いになり、トイレに行くことすら嫌がってきます。

また、失禁があると親などに怒られるけれど、自分ではどうしようもないため、『絶対にトイレではしない』など、意固地になってしまうこともあります」

——遺糞症になった場合、放置するとどうなるのでしょうか?

「便意を感じにくくなります。これは便秘が慢性化するとよくあらわれる症状です。さらに進行すると、大腸で便の水分が吸収され、コチコチの石のようになってしまいます。

これが栓のような働きをすると、便秘の薬は効きにくくなってしまいます。便栓は浣腸くらいでは取り除けません。遺糞症ではまずこれが治りを悪くする元凶といえます」

——排便を嫌がる、便をもらすなどの症状があらわれたら、病院を受診した方がいいということですね。

「遺糞症は、便秘の治療によって改善することが多く、小学生のうちに治ることが多いといわれています。

言い換えれば、便秘を根本的に治療しなければ治りにくい病気です。便の臭いが原因でいじめの対象になるほか、便失禁について親や幼稚園・学校の先生から叱られることにより、ストレスからうつ病になったり、嘔吐や頭痛などの心身症の症状を起こしたりすることもあります」

「ただの便秘」と思っていたはずのものが、遺糞症という大きな問題へとつながってしまうことがわかりました。子どもの心身を守るためにも、遺糞症を防いでいきたいものです。

後編では、遺糞症対策や便秘のチェック方法について教えていただきます。

(取材・文/神之れい)

【取材協力】
・東京女子医科大学小児科
http://www.twmu.ac.jp/PED/

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