栄養士に聞いた! 腸内を健康に保つために気をつけること 後編

腸内フローラのバランスを整える食生活

前編では、管理栄養士の竹中はる花さんに腸内細菌のベストなバランスや20~40代女性の腸内環境について伺いました。後編では、腸内環境に適した食材や食事の注意点などを教えてもらいます。

おなかを健やかにするために必要な栄養って何?

——腸内環境を整えるためにオススメの栄養素を教えてください。

竹中:食物繊維は大切な要素なので積極的に食べましょう。食材は“生”が一番栄養を持っている状態なので、葉物野菜はぜひ“生野菜”で摂っていただき、おいしさを感じてほしいです。繊維の多いゴボウやニンジンは煮物にすることで効率的にいただけます。

私が特にオススメしたいのが“生魚”です。アジやサバなどの青魚からは、良質なたんぱく質と脂質が摂れますよ。現代の日本人はお肉を食べる回数が増え、お魚を食べる量が減っています。「食物繊維」と「脂質」に注意すれば、自然とバランスのとれた食事になると思います。

また「ビフィズス菌」も食物繊維や糖質を代謝し、腸内環境を整えるのに必要です。ビフィズス菌は腸内に定着しにくいので、ビフィズス菌を加えたヨーグルトやサプリメントなどで定期的に補ってください。

——サプリメントはさまざまな種類があって、どれを選んでいいのか迷いますね。

竹中:ビフィズス菌は強い酸性の胃の中で、約0.00007%以下まで死滅してしまいます。せっかくサプリメントを摂っても、腸に届くまでに死んでしまっては意味がありません。最近では、胃液にも耐えられるカプセルタイプも販売されています。実際に試してみて、ご自分に合うサプリメントを見つけてみるといいですよ。

腸内フローラのバランスを整える食生活

——肉ばかり食べていると有害菌が増えやすいというのは本当ですか?

竹中:お肉特有の脂肪に対応する腸内菌は有害菌なんです。肉を消化する際に発生する「代謝産物」は有用菌の働きを邪魔するうえ、有害菌も増えてしまう。腸内で有害菌の割合が多くなると、“日和見菌”も有害菌化してしまいます。

お肉をよく食べる欧米人は、もともと狩猟民族で肉食の歴史があり、肉を消化しやすい腸内環境です。一方、日本人は農耕民族で穀物中心の食生活だったため、欧米人と比べると肉食に適した腸内環境ではありません。ところが日本人の食文化が急速に欧米化したため、現代の日本人の腸内環境と食事内容にひずみが生じている状態です。

——肉を食べるときに注意することがあれば、教えてください。

竹中:赤身の牛肉からは鉄分、豚肉からはビタミンB群、鶏肉からはたんぱく質など女性に大切な栄養が摂れます。決して肉類を食べてはいけないのではなく、適量を心がけていただければいいでしょう。

「脂×油」は消化器官の負担になるので揚げ物よりは、茹でたり蒸したり、肉から出る油だけで焼くのもオススメです。肉を食べるときは、野菜も意識して摂るようにするといいですね。

——発酵食品も腸内環境を整えるのに取り入れたほうがいいでしょうか?

竹中:ヨーグルトや味噌などに代表される発酵食品には、乳酸菌が含まれています。乳酸菌は、腸内で乳酸を産生し腸内細菌のバランスを整える働きをしてくれます。ただ、ビフィズス菌と同様に腸内に定着しにくいので、日々の食生活に取り入れていただくといいでしょう。

世界にはワイン、チーズ、キムチ、ピータンなどの発酵食品がありますが、飲み物やおかずがほとんどです。一方、日本の発酵食品は、みそ、しょう油、鰹節などの調味料が多いですよね。日本人は日常的に発酵食品を食す文化があるので、発酵調味料と発酵食品を組み合わせるとすごくいいと思います。

有用菌をサポートする調理法、食事、水分補給!

腸内フローラのバランスを整える食生活

——野菜をおいしく効率的にいただく調理法はありますか?

竹中:オススメはスープです。硬い食材も煮ることでやわらかくなり食べやすくなりますし、とろみをつければ食感も変化します。茹でると食材から逃げてしまう栄養素もスープなら、しっかりと摂れますよ。私はコンソメベースの野菜スープを多めに作り、トマトペーストを加えてミネストローネにしたり、カレー粉を加えてカレー風スープにしたり、日によってアレンジを加えて楽しんでいます。

夏でしたら、ズッキーニをメインにしたトマトスープや、枝豆を豆乳で煮て冷した冷製スープもおいしいですよ。ベースとなる出汁は、和風のカツオだし、洋風のコンソメなど、お好みのものをチョイスしてください。化学調味料でなければ手軽な顆粒タイプのものでOKです。

食欲がないときは「冷や汁」がぴったり! 炭水化物のごはん、たんぱく質の魚と豆腐、発酵食品のみそが一度に摂れるので、よく考えられた郷土料理ですよね。

——腸内環境によい食事を教えてもらいましたが、“食べ方”で注意することはありますか?

竹中: “早食い”にいいことはひとつもありません。よくかんでゆっくり食事をしてください。かんで、食事と消化液・消化酵素をしっかりと混ぜることは、栄養を体内に取り込む上で基本となります。この工程を飛ばしてしまっては、せっかくの栄養も効率的に摂ることができなくなってしまいます。

また、最近は満腹になるまで食べてしまう人が増えているそうです。腸内環境と健康のことを考えたら“腹八分”を意識することも大切ですね。といいつつ、私もおなかいっぱいなのに、つい食後のデザートを食べちゃうのですが(笑)。

——外食の場合、食事内容に気をつけるのが難しいようにも思えます。気をつけるポイントを教えてください。

竹中:ランチなら、丼物や麺類の単食タイプよりも、ごはん・主菜・副菜のバランスがとれた定食がオススメです。女子会や職場の飲み会のときは、最初にサラダや冷しトマト、枝豆、冷奴などを食べるようにしましょう。

一人暮らしの方は、自宅で魚介を食べることは少ないと思うので、外食時に焼き魚、刺身、貝類を積極的にチョイスするのもいいと思います。

——水分補給の注意点はありますか?

竹中:水分補給はものすごく大事です。水分が足りないとうまく消化できませんし、腸のぜん動運動で便を移動させるにも水分は必要です。夏は熱中症予防のためにも、こまめに水分補給してください。砂糖が入っていなければ、お水でもお茶でも好きな飲み物でいいと思います。

カラカラの喉を潤すのに冷たいドリンクを飲むのはかまいませんが、冷たいものばかりを飲みすぎると内臓温度も下がり、腸を刺激してしまうので、“ほどほど”にしましょう。

下半身の冷えに悩まされていたという竹中さんですが、腸内環境を意識したところ慢性的な冷え性が緩和されたんだとか。 腸内環境を整えることは体の不調を防ぐことでもあるんですね。おなかの中の菌をバランスよく大切に育てて、健康的な毎日を送りましょう!

(取材・文/小野喜子)

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