《栄養士に聞いた》腸内を健康に保つために気をつけること 前編

栄養士に聞いた 腸内を健康に保つために気をつけること 前半

「菌トレ」を読んでいる皆さんなら、毎日の快適なお通じや健やかな生活には腸内環境を整えることがカギとなることは、すでにご存じのはず。

でも、“腸内環境が整っている”とはどんな状態をいうのでしょうか? 今回は管理栄養士の竹中はる花さんに腸内を健康に保つコツなどを伺いました。

内的要因、外的要因、さまざまな理由でバランスを崩す現代人の腸

——「腸内細菌のバランスを整える」と聞きますが、有用菌、有害菌のベストバランスを教えてください。

竹中:腸内には有用菌、有害菌のほかに、中間の“日和見菌”という菌がいます。一般的には「有害菌:1、有用菌:2、日和見菌:7」がベストバランスとされています。バランスが悪い状態というのは、有用菌より有害菌が上回った状態。現代人には腸内細菌のバランスが崩れてしまっている人が多いんです。

日和見菌には、有用菌と有害菌のうち、腸内に多く生息する方の性質に変化してしまうという特徴があります。つまり、有用菌が多ければ有用菌と同じ働きをしますし、有害菌が多ければ悪さをしてしまう可能性もあるんです。

実は、腸内には、有用菌、有害菌のどちらも必要なんですよ。

——腸内の有用菌、有害菌のバランスが崩れてしまう原因はなんですか?

竹中:腸は消化器官なので、日々の食生活が大きく影響しますし、運動不足や冷えなど腸をとりまく環境にも左右されます。また、有用菌の一つであるビフィズス菌の数は年齢と共に減少します。ストレスなどで免疫力が下がったときも腸内細菌のバランスは崩れやすくなります。

——有用菌、有害菌のバランスが崩れるとどんな症状が出てきますか?

竹中:有害菌が増えてしまうと、下痢や便秘などが起こります。また、有害菌の代謝物質が腸の細胞から血管に吸収され、全身を巡ってしまうことも…。それが原因となり、肌のかゆみや肌荒れなどの症状が出てしまいます。最近では、有害菌が認知機能の低下や肥満の原因、大腸がんの原因ではないか? という研究も進められているそうです。

60代より栄養不足の20代。食事も健康法もバランスが大切!

栄養士に聞いた 腸内を健康に保つために気をつけること 前半

——自分の腸内細菌のバランスをチェックする方法はありますか?

竹中:実は腸内にどんな菌がいるのか、調べることは難しいんです。便を採取して調べる「糞便調査」という方法はあるものの、二次的な検査ですし、日々の生活の中では現実的な方法ではありません。

なので、日常的に「生モノを食べると下痢になりやすい」「人より食べている量は少ないのに、おなかの調子が悪くなる」など、自分の“おなかの変化”をよく観察することが大事だと思います。

——20代~40代の女性が、腸内の有用菌・有害菌のバランスを保つ秘けつはありますか?

竹中:20代~40代の女性は60代の女性に比べて、たんぱく質・カルシウム・食物繊維が不足しているといわれています。食物繊維に関しては、「サラダを毎日食べています」という健康志向の方でも、成人女性の1日あたりの目標摂取量である18gに達していないのが現状です。

理由として考えられるのは、食べる量が少ないこと。特に朝食を摂らない人が多いですね。60代以上の方は朝食をしっかり食べているので、その分栄養も摂れているんです。働く女性は忙しく、朝ゆっくり食事をする時間をとるのも難しい。ますますこの状況は悪化していくと思われます。(※参照)

※<女性の朝食欠食率>
20-29歳:25.3%
30-39歳:14.4%
40-49歳:13.7%
50-59歳:11.8%
60-60歳:6.7%

——最近は、手軽に野菜の摂れるグリーンスムージーを朝食代わりに飲む人も多いようです。

竹中:スムージーでも野菜の栄養は摂れますが、咀嚼をしない分、消化の工程が省かれてしまいます。かむことで食べものの表面積を増やすと、唾液に含まれる消化酵素・アミラーゼとよく混ざるため、消化しやすくなります。咀嚼によって脳の満腹中枢も刺激されるので、食べ過ぎも防げます。

朝食をグリーンスムージーだけで済ませると、偏った栄養素になってしまいます。あくまでも “サポート飲料”として飲むのがオススメです。一品だけでバランスのいい栄養が摂取できる完全食はないので、肉、魚、野菜、穀物などをバランスよくいただきましょう。

食事と同様に、水分補給や適度な運動、お通じの改善も重要です。腸内に便を滞留させないことは、腸内を健やかな状態に保つために必須です!

——朝食を少なめにしたり、週末にプチ断食をしてリセットしたり、体内をデトックスすることも腸内にはいいのでしょうか。

竹中:例えば、脂っこい食事が続いたり、食べ過ぎて胃腸に負担がかかってしまったりしたときなどに試してみて、体調にフィットすればいいと思います。

ただ、普段から健康を気遣ってバランスの良い食事をしている人がプチ断食をしても、単に“食事をしない期間”が生じるだけになってしまうため、オススメできません。何ごともやりすぎはNG! 大切なのはバランスです。

腸内環境も食事もバランスが肝心のよう。「太っちゃうから…」と、やみくもに食事を抜いてしまっては、健康にも腸内環境にも悪影響だと再確認できました。

後編では、腸内環境を整えるための食事や食材について教えていただきます。お楽しみに。

(取材・文/小野喜子)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
栄養士に聞いた 腸内を健康に保つために気をつけること 前半

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

おすすめ記事