「女子トイレ研究室」6月 勉強会レポート その1:女性のからだと生理と子宮頸がん

「女子トイレ研究室」6月 勉強会レポート

女性同士でもなかなか話題にしづらい“トイレの話”。トイレを通じて女性の悩みを解決する「女子トイレ研究室」のイベントが6月25日(日)に東京・青山で開催されました。

3回目となる本イベントのテーマは「女性のからだと生理と子宮頸がん」。生理は女性のからだと切っても切り離せないテーマですが、その悩みはなかなか人には話しづらいもの…。

そして近年やっと認知されるようになった「子宮頸がん」は、女性ですら知識が乏しいのが現状です。今回は、一般社団法人シンクパール代表理事・難波美智代さんに講師を務めていただきました。

「子宮頸がん」とは? 予防医療の大切さ

「子宮頸がん」とは子宮頸部に発生するがんで、その原因の多くは「HPV(ヒトパピローマウィルス)」の感染であることが特定されています。このウィルスは性交渉により感染しますが、感染したからといって必ずがんを発症するわけではありません。また、喫煙も子宮頸がんのリスクのひとつといわれています。

性交経験のある女性がHPVに感染する確率は80%です。しかし、感染した人の9割は、約2年間で免疫力などによりウイルスが体内から排除されます。HPV感染から「子宮頸がん」に進行する原因については、まだ解明されていないそう。

「子宮頸がん」は誰でも発症する可能性があると同時に、予防することもできる病気なのです。

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「私は2009年に子宮頸がんになり、子宮を全摘出しました。当時、自覚症状もなかったのですが、たまたま受けた検診で子宮頸がんが見つかったんです。産婦人科医の友人に相談したら、“最近20~30代の女性に増えていて、かなり進行しないと自覚症状が出てこない病気”だということがわかりました」

ご自身の経験から、これまで子宮頸がんや検診の重要性を学ぶ機会がなかったことを実感された難波さん。もともと情報を発信するお仕事をされていたこともあり、ご自身の子宮頸がん罹患がきっかけで女性の健康教育の推進と、婦人科系疾患の予防啓発活動を行う「シンクパール」を立ち上げました。

<シンクパールの活動内容>

・女性からだ会議®…これから日本に訪れる人生100年時代を個人、家族、組織がどう考えるか、女性の健康を社会全体で考える活動です。
・シンクパールよびかけ運動…子宮頸がん検診のよびかけを行うとともにWHO平和の憲章に基づき、シンクパールよびかけ9か条を制定しています。
・子宮頸がん検診基金…「子宮頸がん無料検診車」を全国に走らせています。

【新プロジェクト】

・シンクパール・ソーシャル・カレッジ
・・・大学生を中心とした子宮頸がん検診啓発のプロジェクト。体験から学び行動を通じて社会に貢献します。
・女性の健康推進イニシアティブ(WHI)
・・・健やかに生きる!働く!を支える企業アクション。
「女性の健康」に関心のある企業コンソーシアムを確立します。

当時、「いつも元気な難波さんががんになるなんて!」と、難波さんの周りでは子宮頸がんの検診率が上がったそうです。それくらい症状が出にくく、検診じゃないと発見できない病気だということがわかるエピソードですね。

女性を取り巻く社会のニーズとライフスタイルの変化

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現代の女性は、「こんな仕事がしたい」「子どもは何人欲しい」「結婚はもう少し先で、今はバリバリ仕事がしたい!」など、キャリアプランやライフプランを自らマネジメントするようになったと難波さん。そんな現代の女性をサポートするには“ダイナミックな社会の変革”が必要だといいます。

そこで日本人女性を取り巻く状況について教えていただきました。

<“平均寿命”と“健康寿命”について>

日本人女性は平均寿命が87.03歳に対して、健康寿命(健康で自立した生活ができ、病気などの制限がない年齢)が73.6歳、つまり約14.3年も病気を抱えて過ごさなくてはいけません。※2015年簡易生命表(2016年厚生労働統計)より

<ジェンダーギャップ指数について>

「経済活動の参加と機会」「政治への関与」などの評価項目に沿って男女格差を比較している、世界経済フォーラムから毎年発表される指数です。2016年のランキングで日本は111位、毎年下位に位置しています。

その中で「健康と生存」の評価項目が寿命を基準に評価されているため、健やかな生活が送れているかどうかの数値が見逃されています。

昔の女性、現代の女性の違い

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今も昔も、女性のからだ自体はあまり変わっていませんが、女性特有のサイクルは大きく変化しています。どのような変化があるのでしょうか?

① 初経、閉経の時期……昔 初経年齢:16歳前後 閉経年齢:40歳代
2014年 初経年齢:12歳前後 閉経年齢:50歳前後

② 生涯平均月経回数……昔 約50回
2014年 約450回

③ 生涯出産数……昔 4〜6人
2014年 1.42人

その昔日本の女性は4~6人の子どもを産むことが一般的だったそうです。戦後直後では、栄養状態などの要因も重なり、妊娠・授乳期間が長く、その分月経の回数も少なかったということ。

当時と比べると、現代女性が生涯で生理を経験する回数はなんと9倍から10倍と驚くべき数字です。月経中は子宮内膜がはがれて出血しますが、実は逆流するケースもあって、それが体内で溜まってしまうのだとか。

それだけ子宮に負担がかかり、婦人科系疾患になるリスクも高まるのです。

働く女性の“からだ”のこと

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では、“働く女性のからだ”の現状はどうなのでしょうか? 日本医療政策機構の平成28年発表の調査によると、婦人科系疾患を抱える働く女性の年間医療費支出および生産性損失の合計は6.37兆円にものぼることがわかりました。

また、子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系疾患を抱える方も増えてきて、女性が安心・安全に赤ちゃんを産めると言われる期間=“妊孕性(にんようせい)の高い期間”が短くなっているともいわれています。

現代の働く女性は妊孕性の高い期間のうちに、「キャリア形成をしてから産むか」「産んでからキャリア形成するか」を選択しなくてはいけません。

前者はキャリアアップしてからの出産になるので30代以降と考えると不妊や病気などの心配が生じます。一方、後者は20代を出産育児の期間として考えたときにその後のキャリア形成、“自己実現”という面でも不安になります。

しかし、このことを男性に話してもなかなか理解されないこともあるそう。そこで難波さんは以下のようなお話をされていました。

「政府が『女性の活躍推進』を目標に掲げている以上、この問題は避けては通れません。また、子育て中の女性が大病を患った場合、子育てと家事の担い手を失うわけですから家庭を持つ男性の就業状態や家計にも大きな影響を及ぼします」

“女性特有の病気”は何も女性だけの問題ではなく、男性も、ひいては社会全体で考えていかなくてはいけない問題なのです。

自分の“生理”を知ろう!

他の人と比べられないからこそ自分の生理がふつうなのか、異常なのかわかりづらい。というのが正直なところ…。

「生活に支障をきたすほど生理がつらい場合は、なんらかの婦人科系疾患のリスクが潜んでいると思って婦人科を受診してください。

また、毎月の生理やおりものの状態を観察することで、婦人科系疾患の早期発見にもつながります。日本の子宮頸がん検診の受診率はアメリカの約半分の42%と諸外国と比べても最低レベルの数値です。

私たちは『セックスデビューと同時に、 子宮頸がん検診デビューをしよう!』と発信しています。毎年お誕生日月に受診して習慣すると良いですね。

日本は健康教育が遅れていることもあり、病気自体を知らない方も多い。もっと日本の女性たちに知ってもらう活動をこれからも続けていこうと思います!」

子宮頸がんは、一度でも性交渉の経験がある場合は感染の可能性があり、頻度や回数は関係がありません。しかし、中にはパートナーや第三者から「セックスが好きだから?」「不特定多数の男性と経験しているのでは?」など心無い誤解をされてしまうという悲しい現状もあります。

デリケートな問題ですが、家族、パートナーにも理解してもらわなくてはいけません。そして「年に1回のバースデーには検診を」をお忘れなく!

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休憩タイムを挟み、後半では、参加者と難波さんのフリートークの内容をお伝えします。

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「女子トイレ研究室」6月 勉強会レポート

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