• TOP
  • 腸活How to
  • 玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

精米された白米よりも、栄養価が高いことで知られる玄米。特に、食物繊維が豊富なことから、便通異常対策として選ばれている食材です。玄米と便通改善との関係や、どのような栄養素が白米よりも多く含まれているか、また気になるデメリットについて、解説していきます。

玄米とは?

玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

頭を垂れた稲穂に実る、茶色の「籾米(もみまい)」からもみ殻だけを取り除いたものが「玄米」です。米食文化の長い日本では、古くから精米した白米を食べるほうが一般的で、玄米食が健康によいとして薦められるようになったのは、今から100年ほど前のことといわれています。

玄米と白米の違い

対して白米は、玄米から「ぬか」や「胚芽」を取り除いたものです。食味では白米に軍配が上がりますが、ぬかや胚芽に含まれるさまざまな栄養素を含んでいるのが玄米の特徴です。

玄米が多く含む成分

玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

玄米が、白米よりも多く含んでいる栄養成分には、以下のようなものが挙げられます。

ビタミン

ブドウ糖をエネルギーに変換するときに必要となる栄養素が「ビタミンB₁」です。茶碗一杯(可食部140g)当たり0.22mgで白米と比べると約7倍も含まれています。ビタミンB群の一種で糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関わる「ナイアシン」とそれと同じ作用を持つ成分の合計量(ナイアシン当量)も140g当たり5.0mgで白米の1.1mgと比べると約5倍になります。

ミネラル

また人体に欠かせないミネラルも多く含まれています。カルシウムは140g当たり10mg(白米は4mg)、マグネシウムが140g当たり69g(白米は10mg)、鉄が140g当たり0.8mg(白米は0.1mg)となっています。

食物繊維

日本人に不足しがちな成分として知られる、食物繊維が多く含まれているのも、玄米食に注目が集まる理由です。玄米140g当たりに含まれる不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の合計値は食物繊維総量は2.0gで、白米(140g当たり)の0.4gに比べて5倍にもなります。

玄米食のメリット

玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

栄養素を豊富に含む玄米を食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

白米とはカロリーがほぼ変わらず、栄養素が多く含まれている

白米のエネルギーは140g当たり218kcalなのに対し、玄米は140g当たり213kcalとほとんど変わりません。ふだん食べている白米を玄米に置き換えるだけで、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が多く摂取できます。

咀嚼回数が増えて満腹感を早く感じる

「早食い」の習慣がある人ほど、肥満度が高いという調査結果があります。食事をとると血糖値が上昇して、脳に満腹感が伝わります。早食いをしていると、脳が満腹だと感じる前に、過剰に食べ物を摂取してしまうために、肥満につながるのではないかと考えられています。

食物繊維が便通改善につながる

玄米食に注目が集まる大きな理由が、豊富な食物繊維を摂取することで、便通改善につながると考えられているためです。

食物繊維は人体の消化管では消化されないため、胃を通過して小腸、そして大腸へとそのまま到達します。大腸内の腸内細菌のエサになって腸内環境を整えるほか、便の量を増やして腸を刺激し、ぜん動運動を促す働きがあります。日本人の多くは、食物繊維不足といわれていて、1日の不足分は3g程度です。主食の白米を玄米に代えるだけで、食物繊維不足を補うことができます。ふだんの食事量で、摂取目標となる食物繊維量を満たすのに適した食材が玄米なのです。

玄米食のデメリットはある?

ミネラルの吸収を阻害する作用がある「フィチン酸」を玄米は含んでいるため、しばしば玄米食のデメリットとして指摘されますが、フィチン酸は体内のようなアルカリ性の環境では、鉄や亜鉛と結合して水に溶けにくい「フィチン酸塩」として存在し、体内では吸収されずにそのまま排出されます。そのため、体内に存在するミネラルと結合して欠乏させてしまう心配はありません。

あえて玄米食のデメリットを挙げるならば白米よりも消化しづらいことです。炊飯前には水に長時間(5〜6時間程度)浸水し、玄米の中心部まで吸水させると、やわらかく炊けて消化もよくなります。またよく噛んで食べるようにすると、消化されやすくなるとともに玄米ならではの味わいが楽しめます。

工夫してうまく食事に取り入れれば健康につながる

玄米は本当に便通改善に良いの? 玄米食のメリット・デメリット!

ほぼ同じカロリーなのに、白米よりも栄養素が豊富に含まれる玄米ですが、食感や食味に慣れない人も少なくありません。玄米の栄養を取り入れつつ、白米のような食べやすさを求める人には、「分づき米」という選択肢もあります。精米の度合いは3分づき、5分づき、7分づきなどがあり、数字が小さいほど玄米に近くなります。また、胚芽のみを残した「胚芽米」も白米のおいしさをそこなわずに、白米よりも多くの栄養を摂れます。

精米の度合いを選べば白米に近い食味になりますが、ビタミンやミネラル、食物繊維は精米度合いが玄米に近いほど多くなりますので、好みの度合いを見つけて玄米食を取り入れましょう。

【参考文献】
『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』(文部科学省)
「チェック&トピックス 中高年男性編 ゆっくり食べる」(農林水産省WEBサイト)
「FAQ 3. 早食いの人には肥満傾向にあるというが、早食い=大食いによるのではないか?」(咀嚼支援マニュアル「咀嚼支援のページ」)
「食物繊維の必要性と健康」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)
「フィチン酸について」(日本植物生理学会WEBサイト「植物Q&A」)

pagetop