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硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

便意があるのにトイレでいきんでも便がなかなか出せず、やっと出たと思ったらコロコロとした硬い便がポロポロと少しずつしか…。カチカチの硬い便が詰まった状態の便通異常や腹痛でお悩みの方は多いのではないでしょうか。

日本消化器病学会の「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、診断基準の一つとして「排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)である」ことが挙げられるように、便の硬さは便のスムーズな排泄に影響を与えます。硬い便によって生じる便通異常を改善するために、今回は、便が硬くなる理由と、それを踏まえた改善策を紹介します。

便が硬くなる原因は「大腸での滞在時間が長いから」

理想的な便は、表面が滑らかでやわらかく、ソーセージやヘビのように細長い形状をしています。しかし、便通異常の状態になると、ソーセージのような形状ではあるものの表面にひび割れが見える便や、うさぎの糞のような小さくてコロコロとした硬い便になり、強くいきんでもなかなか排泄できず、トイレにこもる時間が長くなってしまいます。

このように便が硬くなってしまう理由は、「腸内での便の滞在時間」が関係します。

口から入った食べ物は、歯で切り刻まれてすりつぶされ、食道から胃、そして十二指腸、小腸へと運ばれます。運ばれる過程で唾液や胃液をはじめとするさまざまな消化液が分泌され、食べ物は消化され栄養分が吸収されます。食べ物と混ざり合った消化液の量は1日に9〜10リットルにもなり、小腸では7〜9リットルの水分が吸収されて、その残りは水のような状態で小腸から大腸へと移動していきます。

食べ物が口から入ってから大腸へ至るまでは5時間程度ですが、大腸内では半日〜1日以上の時間をかけてゆっくりと移動します。その間に、流動体だった消化物から徐々に水分や電解質が吸収され、おかゆ状、半固形状、固形状へ形が変わり便が形成されます。大腸の動きが鈍くなっていると、便が排泄されるまで100時間ほどかかることもあります。大腸にとどまる時間が長くなればなるほど便の水分が失われて、より硬い便になってしまうのです。

便が硬いときの対処法

1:食生活を改善! 食物繊維を摂取して出やすい便を作る

硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

硬い便をやわらかくする方法として挙げられるのが、「便の材料」となり、便を作る腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂取することです。

食物繊維には、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」とがあります。

不溶性食物繊維は、消化管で分泌される消化液の酵素に溶けず、消化されて液状化した食べ物といっしょにそのまま大腸へと到達します。不溶性食物繊維が多い食品を食べると、大腸で水分が吸収したあとに残る「食べかす(食物残渣)」が増え、便の量が増えます。便の量が増えることで、大腸を刺激し、動きを活発にさせる働きがあります。

水溶性食物繊維も体内には吸収されず、液状化した食べ物といっしょに大腸へと流れ込みます。その際、水分を吸収してゲル化させることで便の水分量を増やし、便をやわらかくする働きがあります。また、大腸内に棲息する善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす働きもあります。増えた善玉菌が作り出す酸によって腸内は酸性へと傾き、悪玉菌の増殖が抑制され、腸内環境が整うことで便が出やすい状態へつながります。

不溶性食物繊維・水溶性食物繊維を多く含む食品には、以下のようなものがあります。植物性の食品に多く含まれますので、積極的にふだんの食事に取り入れるようにしましょう。

  • 海藻類(わかめ、ひじきなど)
  • 豆類(大豆や小豆、きなこ・納豆などの大豆から作る食品など)
  • 野菜類(ごぼう、にんじん、ほうれんそうなど)
  • きのこ類(しいたけ、なめこ、きくらげなど)
  • 果実類(アボカド、りんごなど)
  • いも類(さつまいも、じゃがいもなど)

2:「睡眠」「食事」「排便」リズムの改善! 生活習慣の改善でぜん動運動を促す

硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

大腸内の便の滞在時間が長くなる理由としては、大腸のぜん動運動が鈍くなっていることが挙げられます。その場合、ぜん動運動をつかさどっている自律神経のバランスを整えると、便の動きがスムーズになり、便が硬くなりすぎるまえに排泄できるようになります。自律神経のバランスを整えるには、「睡眠」「食事」「便意」のリズムを一つ一つ整えることから始めましょう。

睡眠リズムの改善

硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

睡眠のリズムを整える方法は、「眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない」。睡眠が浅くなってしまったらむしろ積極的に遅寝・早起きにシフトして、日中は太陽の光をたっぷり浴びましょう。目から入った光が体内時計に伝わると、体内時計のズレが少しずつリセットされ、朝に目覚め夜には眠くなるリズムが整ってきます。

食事リズムの改善

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食事のリズム調整のポイントは、1日3食を規則正しく食べることです。特に大切なのが朝食。朝食による刺激が胃や腸を動かし、排便反射を促すためです。合わせて、水分不足の状態だと便が硬くなりやすくなってしまうので、水分をしっかりととることもお忘れなく。

排便リズムの改善

硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

仕事や家事で忙しい生活を送っていると、便意があったときにトイレに行けないことも少なくなく、便意のリズムも乱れてしまいがちです。排便を我慢する機会が続くと、直腸に便が入ると便意を催すセンサー(神経)の感度が鈍くなり便意を催さなくなってしまいますので、我慢のしすぎには注意をしましょう。「睡眠」「食事」のリズムが整うと朝食後に自然と便意を催すようになってきます。

日ごろから自分の便をチェックしよう

食生活と自律神経から大腸の働きを整えるアプローチに加えて、自分の便が大腸内にどのくらいとどまっているのかを知ることも、硬い便からくる悩みの解消に役立ちます。便の形状は大腸を通過する時間と関係していて、便の形状を分類した「ブリストルスケール」を参考にすると、便が大腸を通過した時間の目安が分かります。

硬い便を改善したい!原因と対処法を知ろう

硬いコロコロ便は、大腸に長くとどまりすぎた証拠

ブリストルスケールでは「コロコロ便」から「水様便」まで、便の状態によって7段階に分類されていますが、この形状は大腸内の通過時間によって変わります。理想的で健康な便とされているのが「普通便」で、バナナやソーセージのような形で、表面は滑らかで、ヘビのようにとぐろをまけるやわらかさが特徴です。

口から入った食べ物が便として排泄されるまでの標準的な時間は約24時間〜約72時間、また、大腸内に到達するのは口に入れてから約5時間後ですので、大腸内を通過する時間はおおよそ19時間〜67時間になります。しかし大腸の動きが鈍くなっていて便が押し出されないまま、大腸内を通過するまで100時間ほどかかってしまうと便の水分はどんどん減少し「コロコロ便」になってしまいます。

いっぽう、大腸が活発に動きすぎてしまい、大腸内を10時間程度で便が通過してしまうと、ほとんど水分を吸収されていない「水様便」になります。便の状態から、自分の大腸の調子を見極めることが「コロコロ便」を「普通便」へと変えていくヒントになります。

まとめ

排便後、自分の便の形状を観察して、大腸を通過する時間を推測することで、腸の状態が分かり適切な対策も見えてきます。硬い便でお悩みの方は、食物繊維をたっぷりと食事から摂取するとともに、睡眠・食事・排便のリズムを見直して自律神経のバランスを整えることで、便が大腸を通過する時間が短くなり、やわらかい便が出せるように心と体に働きかけていきましょう。

【参考文献】
「便秘と食習慣」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)
「健康長寿と腸と排泄の関連について」(公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」)
一般社団法人 日本臨床内科医会『わかりやすい病気の話シリーズ49 便秘』
中野美和子「排泄のメカニズム」(『Consultant』Vol.271 建設コンサルタンツ協会 2016年4月)
高橋陽子「繊維質と食物繊維」(『日本食品科学工学会誌』58巻4号 日本食品科学工学会 2011年)

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