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睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

便通異常が続いた影響で腸にガスが充満して、夜中に目が覚めてしまった経験はないでしょうか。実は、便通が睡眠に影響するケースはそれだけではありません。便通を左右する腸の調子や腸内環境、腸内細菌と睡眠とは密接な関係があるのです。その理由と、睡眠の改善による便通異常対策を紹介します。

腸の活動は自律神経によってコントロールされている

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

全身の隅々にまで張り巡らされている「神経」は、知覚、運動などの諸機能を統御・調節する「中枢神経系」と、中枢神経系と皮膚や筋肉、感覚器官などとをつなぐ役割を持つ「末梢神経系」の2つに大別されます。腸の働きをつかさどっているのが末梢神経系のうちの「自律神経系」です。自律神経は「交感神経系」と「副交感神経系」の2種類があり、交互にそれぞれが活発になることでリズムを作っています。

睡眠不足は自律神経の働きに影響し、腸への悪影響を

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

交感神経が活発になると、体は活動的になり緊張状態となり心拍数や呼吸数は増加し血管は収縮して血圧は高くなります。いっぽう、副交感神経が活発になると、体はリラックス状態になり、心拍数や呼吸数は低下し、筋肉も緊張が解けて血圧は下がります。いわば体が回復モードになるのです。

胃腸の消化・吸収の活動は、副交感神経が優位のときに促進され、交感神経系が優位のときに抑制されることで正常に機能しています。つまりリラックスしている状態にある睡眠時に腸のぜん動運動や消化機能は活発になります。睡眠不足になると、副交感神経系が優位になる時間が短くなるなど、交感神経系と副交感神経系とのバランスが悪くなってしまいます。その結果、腸の働きは鈍くなり便通異常が起こりやすくなってしまうのです。

鈍くなる働きの一つが「ぜん動運動」です。口から食べた食物は、食道・胃・十二指腸・小腸を通りながら消化され、栄養分が吸収されます。消化されずに残ったものは「水様便(水分が90%以上の便)」となって大腸へと移動します。大腸のなかで水分が徐々に吸収されて便が形成されると、S状結腸にしばらく留まり、1日に1~3回起こる大きなぜん動運動(大ぜん動)によって直腸に移動します。すると便意を感じるようになり、肛門から体外に排泄されます。ぜん動運動の低下による便通異常は腸内環境のさらなる悪化をもたらします。

排便に至る腸の働きのほとんどを、交感神経系と副交感神経系とがバランスをとりながらつかさどっています。この腸の動きを意志で変えることはできず、可能なのは「食物繊維などを積極的に摂るなど、食生活に気をつけること」「排便のときに腹圧をかけること(いきむこと)」「便意を我慢すること」程度なのです。

睡眠時間の確保には「起床時間」を一定にすることが大切

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

腸の働きを整えるには、副交感神経を活性化させること、つまり質のよい睡眠を十分にとることが大切です。睡眠の質を高め、睡眠時間を確保するにはどうすればよいのでしょうか。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」によれば、大切なのは寝る時間が遅くなってしまっても、「朝起きる時間を遅らせず、できるだけ決まった時間に起きること」。寝だめをしたり、眠くないのに寝床に入るのはかえって逆効果。朝の一定時間に起きて太陽光を浴びることで、入眠時間が徐々に安定し、睡眠の質を高めるのに効果的です。

起きているときに副交感神経を刺激する方法

睡眠の質を高めるには、起きているときにストレスを軽減しリラックスする時間を作ることも大切です。副交感神経を刺激する方法には、以下のようなものがあります。

ストレッチで筋肉の緊張をほぐす

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

ストレッチには体の柔軟性が増すのに加えて、リラクセーション効果があります。全身の筋肉を順番に伸ばすストレッチを30分程度行い、ストレッチの前後の脳波や自律神経活動を調べた結果では、感情・注意・思考などを支配する前頭葉でのα波(瞑想時など気分が落ち着いたときに現れる脳波)がストレッチ後には増加し、心拍数を低下させる効果があるといわれています。

ぬるいお風呂にゆっくりつかる

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

入浴でも血管が拡張して血流が増加し、体と心をリラックスさせる効果があります。熱いお湯は交感神経を刺激してしまうため、ぬるめのお湯でじっくりと体の芯を温めるといいでしょう。また、炭酸ガスを含んだ入浴剤などで作る人工炭酸泉も、副交感神経を活発にさせる働きがあるという研究結果があります。

「毎日決まった時間の食事」が腸内細菌の変動リズムを整える

睡眠不足が便通異常の原因になるのは「睡眠時に腸は働くため」

さらに、近年の研究では腸の内部に生息する腸内細菌にも1日のなかで減少したり増加したりするリズムがあり、睡眠不足などによりそのリズムは崩れてしまいますが、マウスを使った実験では「毎日決まった時間に食事をすること」が腸内細菌の増加・減少リズムを整えるのに役立つという結果も報告されています。

規則正しく質のよい睡眠をとり、体内時計を調節することで副交感神経の働きを整え、ひいては腸の働きを正常化させるとともに、食事の時間を一定にして腸内細菌の体内時計も整えることで、便通異常を改善へと導きましょう。

【参考文献】
「ストレッチングの効果」「自律神経失調症」「体内時計」(e-ヘルスネット)
大崎紀子、落合龍史、時光一郎、西條一止「人工炭酸泉浴の自律神経機能に及ぼす影響」(日本温泉気候物理医学会『日本温泉気候物理医学会雑誌』第63巻 2号 2000年2月)
「健康づくりのための睡眠指針 2014」(厚生労働省)
入江潤一郎、伊藤裕「睡眠と腸内細菌叢」(腸内細菌学会『腸内細菌学雑誌』31巻3号 2017年)
「生活習慣で乱れた腸内環境を整える方法」(健康長寿ネット)

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